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事件発覚後の2020年、ベトナム政府は関与が疑われた税関局長ら11人を出勤停止処分とした。東京地検特捜部は外交ルートを通じて現地の当局に捜査共助を要請。今月23日、同社前社長の藤野兼人被告(69)ら3人を不正競争防止法違反(外国公務員への贈賄)罪で在宅起訴した。
関係者などによると、子会社「天馬ベトナム」元社長の吉田晴彦被告(51)らは17年6月中旬、同国バクニン省税関局の検査で追徴金が18億円近くに上るとの見通しを指摘され、藤野被告の了承を得て、賄賂の支払いを計画した。
同局のグエン・ヴァン・フック検査チーム長に1000ドルを渡し相談したところ、局長と面会するよう促され、6月27日に面談。局長から「再検査で結果が変わらない場合は3倍の追徴を科すルールがある。(チーム長と)相談するように」と指示された。
その後、吉田被告らがチーム長に20億ドン(約980万円相当)の支払いを提案。その結果、同29日に「追徴免除の了承が局長から得られた」と連絡があり、クッキー箱に入れて社内保管していた現金を来社したチーム長の車に積み込んだ。局長決裁の仮の通関後検査決定書が届いたのは4日後で、追徴金の指摘はなくなっていた。
贈賄事件では19年にも追徴金減額の見返りに同省税務局員に約1380万円相当の現金を渡しており、吉田被告と本社前経営企画部長の細越勉被告(57)が起訴されている。 (了)【時事通信社】