人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った角膜の移植手術を世界で初めて実施した大阪大の西田幸二教授(眼科学)らの研究グループが4日、同大で記者会見し、患者4人を対象とした臨床研究を完了したと発表した。安全性と有効性が確認され、来年にも臨床試験(治験)を始めて4年後をめどに実用化を目指すという。  移植を受けたのは、角膜が白く濁って失明する可能性のある難病「角膜上皮幹細胞疲弊症」の患者。西田教授らは2019年7月~20年12月、他人のiPS細胞から作った角膜上皮シート(直径3.5センチ、厚さ0.03~0.05ミリ)を、30~70代の男女4人に移植した。  いずれも拒絶反応やがん化などの有害事象はなく、安全性が確認できた。失明に近い状態の患者もいたが、3人は視力が顕著に回復したという。   西田教授は記者会見で、「安全性と有効性が確認でき、実用化に向けて前進した。角膜のドナーは著しく不足しており、将来的には世界の患者に貢献できると思う」と話した。(了) 【時事通信社】 〔写真説明〕iPS細胞から作った角膜移植の臨床研究が完了したことを受け、記者会見する大阪大の西田幸二教授(右)=4日午後、大阪府吹田市
情報提供元: 時事通信社
記事名:「 iPS角膜、患者4人に移植完了=安全性、有効性を確認―大阪大