特に50代から急激な増加がみられ、高齢化の進む日本において患者数は年々増加傾向にあるといいます。
女性にとっても、大切な家族のことを考えると他人事ではありません。
そんな前立腺がんの治療の現状と課題に関するプレスセミナーを、バイエル薬品株式会社が開催。
最前線で活躍する東邦大学医療センター佐倉病院 副院長・泌尿器科教授 鈴木啓悦先生が登壇しました。
病期に合わせて様々な治療法が行われる前立腺がん
前立腺は男性の排尿機能に関わる部位で、がんが発症するとQOLの低下を招いてしまうといいます。
前立腺がんは男性の部位別がん罹患率第1位ですが、ステージ3までに見つかれば3年生存率はほぼ100%で、比較的亡くなる患者さんが少ないがんです。
しかしステージ4になると、生存率は7割程度に落ちてしまいますので軽視はできません。
進行は比較的ゆっくりで、今は手術、薬物療法、放射線療法など、病期に合わせて様々な治療法が行われているそうです。
転移性前立腺がんに対する新規ホルモン療法薬の開発が進む
前立腺がんは男性ホルモンが進行に関わっており、注射や飲み薬で治療を行いますが、転移した場合は基本的にホルモン療法で男性ホルモンを抑える治療を行うそう。
しかしホルモン療法を続けていくと、治療効果が徐々に薄れていき、効果が出なくなってしまう「去勢抵抗性前立腺がん」に進行する場合があるそうです。
こうしたことからより強いホルモン療法薬の開発が進み、男性ホルモンを強く抑制する新規ホルモン療法薬が誕生。副作用が少なく、他の薬を飲んでいても相互作用が非常に少ない特徴があるニュベクオなど様々な薬が登場してきています。
生存期間延長に貢献する新たな治療法と今後の課題
日本人では、転移量が少ない前立腺がんは約4年で去勢抵抗性へ進展し、約8年で死亡。
転移量が多い場合は約1. 5年で去勢抵抗性へ、約4. 5年で死亡に至ってしまうというデータがあるそうです。
また、一旦去勢抵抗性になると排尿障害など生活に支障を感じる場合が多いのだとか。
このことから、いかに去勢抵抗性になるまでの期間を延ばし、転移性前立腺がんの初回治療を強化するかが、今の課題の一つになっているそうです。
現在では従来は転移が進んだ患者さんに使用していたタキサン系抗がん剤を、転移初期の初回治療に使用することが可能に。
副作用が軽く、治療の初めから使ったほうが、生存期間が延長したという結果が出ているそう。
さらに通常の治療で用いるアンドロゲン除去と抗がん剤、新規ホルモン薬の3つを使用したトリプル療法という治療法も出てきており、相対的な死亡リスクの軽減や、副作用の少なさなど、転移性前立腺がんの治療選択肢として、生存期間延長が期待できるそうです。
他のがんに比べ比較的予後も良いといわれる前立腺がんですが、早期に発見し、病期に合わせた適切な治療を行っていくことが重要なようです。
大切なパートナーのためにも、情報にアンテナを張っておくことが必要ではないでしょうか。
情報提供元: WomanSmartLife