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冬〜春に花を咲かせる花木をピックアップするにあたって、日本で昔から親しみのある植物たちに焦点を当ててみました。
日本の建築や庭園に合い、茶花や生け花にもよく使われてきた、ワビサビの佇まいを感じるお花たち。
しかし、平成以降のスタイリッシュな建築や洋風の庭ではあまり見かけなくなりました。昭和には近所のどこかしらに植わっていた庭木でも、若い世代では見たことがないという人も多いかもしれません。
しかし里山らしい素朴な雰囲気の花たちは、無垢材を使ったナチュラルな雰囲気の家や、和モダンなエクステリアにもやはりよく合います。
さらに一癖ある枝ぶりや花々は、植物やエクステリアとの組み合わせ次第で これまでのスタイルとは違ったかっこよさも見出せるかもしれません。
そしてどれも日本の気候によく合い、庭木としてコントロールしやすくて手がかからないのも魅力です。ぜひ参考にしてみてくださいね。
透き通った蝋細工のような黄色い花が美しい、冬の花木です。11月頃~2月頃まで、花の少ない時期にも花を咲かせます。
臘梅と書きますが、ウメとは別の植物です。花の中心部が赤いロウバイと、花全体が黄色いソシンロウバイがあり、庭木としてはソシンロウバイがよく植えられています。
ロウバイは甘い香りがするのも魅力 です。ソシンロウバイはロウバイと比べ香りが弱いといわれていますが、満開になればふんわりと甘い香りが漂ってきます。
中国原産の落葉小高木で、日向を好みます。
若いうちは枝が暴れがちになるのでこまめな剪定が必要ですが、 成木になれば自然に樹形が整います。 花芽は6月〜7月頃につくので、剪定は花後すぐの3月か花芽が出た11月頃が適期です。剪定には強い性質があります。
夏の姿はどこかもさもさとして、あまり目立ちません。秋には花の色と同じような明るい黄色に紅葉します。
1月〜3月頃に、リボンのような細い花びらの黄色い花をつけます。蕾がゆるみ、細長い花びらをするすると解いて開いていく姿はとても見応えがあります。
自然樹形も美しく、丸っぽい葉も魅力的です。 夏は緑が映え、秋の紅葉する姿も綺麗 です。
マンサクには品種がいくつかありますが、赤い花がつくアカバナマンサク、白い花の品種もあるアメリカマンサクや、甘い香りがするシナマンサクなども人気です。また、常緑性のトキワマンサクは生垣やトピアリーにも向いています。
本州から九州まで自生するマンサクは、 寒さ暑さに強く、病害虫の被害も少ない のが特徴です。
やや樹形が乱れることがありますが、剪定には強いためコントロールしやすいでしょう。コンパクトに育てたい場合は花後に強剪定します。
日当たりを好みますが、強い西日が当たる場所は苦手です。冬には乾燥した寒風が当たらない場所に植えましょう。
無骨な枝々につく、ふんわり素朴な黄色い花が魅力のサンシュユ。小さい花の集合体で、さらにひとつひとつの花から飛び出した4本のおしべが、より魅力的なフォルムを作り上げています。3月〜4月頃が開花時期です。
花が終わると出てくる葉も端正で美しく、秋には真っ赤な実をつけ、 一年を通して鑑賞価値の高い花木 です。
本種は中国・朝鮮半島が原産地ですが、斑入りの葉が特徴のセイヨウサンシュユも庭木に好まれます。
非常に丈夫で育てやすく、手がかからない落葉性高木です。花を楽しむには日当たりのよい場所に植えます。
自然樹形は美しいですが枝が混み合いがちになるので、花後に透かすように剪定するといいでしょう。 萌芽力が強いので、剪定は難しくありません。
病気はあまりありませんが、7月〜10月にかけてイラガの幼虫がつくことがあります。イラガは触ると電気が走るように痛いので要注意。春になると葉裏に卵が見られるので、花後の剪定の時に駆除しましょう。
クリーム色と黄色の不思議な形をした花をつけるミツマタ。枝先が三つに分かれていることが名前の由来で、葉が落ちた樹形もおもしろく魅力的です。樹皮は強い繊維質で、和紙や日本紙幣の材料にもなっています。
3月〜4月頃に開花し、花からは甘い香りがします。 蕾は蜂の巣のような形をしており、日に日に花が開いていく様子も観察しがいがあります。
花は細かい毛に覆われていて、ふんわりと暖かい印象を受けます。春の訪れを感じる落葉低木です。
中国原産ですが、中国地方や四国で自生しています。暖かい場所を好みますが耐寒性もあり、東北南部まで地植えが可能です。
日当たりを好みますが、若苗は直射日光が苦手です。自生地では高木の下で育つため、1日中木漏れ日が当たるような場所が適しています。移植を嫌うので、植える場所はよく選びましょう。
どんどん枝分かれするため、こんもりと丸く育ちます。 剪定しなくても樹形が美しい ので手がかかりません。
3月〜4月に開花するトサミズキは、枝先からこぼれるように咲く小さな花が魅力の落葉低木です。
マンサクの仲間で、名前のとおり高知県に自生しています。花のひとつひとつは小さいですが、蛍光イエローの明るい花をたくさんつける姿は、砂糖をまぶしたようなかわいらしさがあります。
葉はハート型で葉脈が美しく、夏は涼しげな緑色に、 秋に紅葉する姿も見事です。 秋に連なった実をつけ、花が咲く頃までぶら下がっている姿も面白みがあります。
剪定しなくても樹形が整い、 病害虫の被害も少なくて育てやすい です。日陰でも育ちますが、花をたくさん咲かせるには日向で育てましょう。本来は湿り気のある土質を好みますが、比較的どんな土質でも育ちます。
花に香りのあるニオイトサミズキや、別種ですがよく似たヒュウガミズキなども同様に庭木として人気があります。ヒュウガミズキはトサミズキよりも花も葉も小さくコンパクトで、寒さにも強いのが特徴です。
冬〜早春に咲く少し変わった花木を集めてみたら、黄色のお花ばかりになってしまいました。ほかにもミモザやスイセンなど、この時期に咲く黄色の花はたくさんあります。
これは、春の早いうちから活動する虫たちが黄色を好むからだそう。冬空に映える暖かみのある黄色には、人間も引き寄せられてしまいますね。
そしてこの一癖ある花たちは、 春に近づくにつれどんどん形を変えるので目が離せません。 もうすぐ春だと教えてくれるようで、毎年愛おしくなること間違いなし。香りのある花も多いので、庭に出る楽しみにもなりますよ。
ぜひ庭づくりの参考にしてくださいね。
余暇プランナー
田舎暮らしの30代フリーライター。イングリッシュガーデンやオージーガーデンが好きな2児の母です。花屋と園芸店で勤務経験があり、今はガーデンデザインの勉強中。最近ついにマイガーデンに着手し、ゆる〜くかつ素敵なお庭を作るべく、日々試行錯誤しています。かっこよくて魅力的なネイティブプランツや、のびのび育つのに繊細なフォルムのハーブや花々が好き。リアルな庭作りの情報をお届けしたいと思います。
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