パンフレット、カタログ、チラシなどの大ロット印刷でスピードと品質を両立し、顧客から絶大な信頼を得ている株式会社アイカ。市場の縮小が懸念される印刷業界で利益を伸ばすアイカのこだわりとチャレンジ精神、そして「おもてなしの心」とは。

創業時から脈々と受け継がれるアイカのチャレンジ精神

 デジタル化やペーパーレス化が進み、これまで紙だったものが次々とデジタルに置き換えられる昨今、印刷市場は2000年を境に縮小し、現在はピークの半分近くにまで減少したと言われています。

 しかし、そうした変革の時代の中、本業である「紙に刷る」ことにこだわり、ものづくりの精神で売上を伸ばしている会社があります。東京・名古屋・大阪を拠点に営業し、愛知県小牧市に東海エリア随一の「Dream小牧工場」を持つ印刷会社、株式会社アイカです。

 その特徴は、大量部数の印刷物を高速で印刷する巨大な輪転機6台と最新鋭の枚葉印刷機12台と製本ライン9台を備えた大工場での生産体制。24時間稼働のDream小牧工場は、印刷・製本・加工・梱包・配送も一貫生産できるため、大ロット・中ロットの印刷物を短期間で、しかもコストを抑えつつ高品質に仕上げることが可能です。

「たしかに印刷業は斜陽だと言われますし、実際、ここ数年はチラシのニーズも減ってきています。ただ、私どもはパンフレットやカタログを中心に扱っており“チラシもできます”というスタンス。月の半分はパンフレットやカタログで製造枠が埋まりますから、仕事がなくなるような状況ではありません」

 そう柔和な語り口で話すのは取締役社長を務める大橋宏治さん。1976年、名古屋市西区に工場を建ててスタートしたアイカは、90年に東京支社を開設するなど順調に顧客を開拓してきましたが、2000年の東海豪雨によって西区の工場が浸水する被害に見舞われました。しかし、現会長の渡邉照雄氏が小牧市の敷地を購入して工場を建設すると、顧客の要望に応えるべく次々と機械を導入。不死鳥のごとく復活を遂げました。

「ふつう印刷会社を立ち上げるときは小さい機械から入れるんですけどね、創業者の渡邉は『他社が導入しないような機械から入れるんだ』と。B1ポスターが印刷できる機械や、A4の16ページを1枚で折り出せる大型輪転機から導入したんです。何なら、A4の32ページを折り出せるハイデルベルグ(ドイツの大手印刷機器メーカー)の輪転機を入れて、水を使わない方式にカスタマイズしたこともあります。これは当時、世界に1台しかありませんでした」(大橋社長)

 そのハイデルベルグのA倍印刷機は全長47mもの巨大なもので、最初に買った小牧市の敷地に収まらなかったという逸話も。

「他社にできないことができれば、お客さんは振り向いてくれる。すごい機械を入れたんだから、どんどん営業してこい、という感じでした」(大橋社長)

 そのチャレンジングな設備投資が功を奏し、アイカの売上は100億円に到達。以降、ネット通販事業の「良安」の展開や、東京の印刷会社のM&Aを行い、コロナ禍で落ち込んだ売上も、現在では大幅に回復しています。

スピードに対応しながらも「品質至上主義」を貫くアイカ

 大胆な設備投資によって構築された生産体制は「印刷のアイカ」が存在感を発揮するための大きな武器となっています。

 印刷業の市場が縮小し多様化する昨今、実は、工場を手放して営業に専念する中小の印刷会社が増えています。現在、アイカが主に引き受けるのは、こうした全国900社を超える印刷会社からの依頼です。とくに大ロットの印刷物はアイカのような生産力の高い会社に頼らざるを得ません。

 他業種へ軸を移す印刷会社も多い中、むしろ変わらずに、残存者利益ともいえる多くの受注を獲得し「誇りある技術者集団」として本業に邁進できていることがアイカの強みと言えるでしょう。

「デジタル化の波にあっても、紙が無くなるわけではありませんから。紙でしかできないことをやる。印刷にこだわる。それが当社の企業姿勢でもあると思っています」(大橋社長)

 そんな大橋社長がことさらに重要視しているのは「品質」の追求です。今どきの印刷機に性能差はほとんどありませんが、印刷物を発注したことのある方なら、納品された冊子の色味が良くなかったり、インキが完全に乾き切っていなかったり、表面の加工にムラがあったりといった仕上がりの違いを感じたことがあるかもしれません。

「現在の印刷機にはCCDカメラが搭載されていて、印刷不良を検知する仕組みになっています。とはいえ、印刷はデータを機械に流せば終わりというものではありません。例えば乾燥不良ならインキと水のバランスがきちんと合っていないことも考えられます。そうしたトラブルはオペレーターの知識と経験があれば気付けるものなのです」(大橋社長)

 昨今の顧客のニーズはとにかくスピード。そのため、翌朝納品も可能な体制を構築してきたアイカですが、だからこそ大橋社長は「品質至上主義」を掲げ、社員と意識の共有を図っています。その象徴が、万一ミスが生じた場合には徹底的に是正する、社長直轄の「品質保証部」です。

「品質というのはオペレーターの気持ちが関わるものだと思います。やはり、お客様がこの印刷物を見てどう感じるか、どんなことを楽しみにされているのかを想像しながら印刷・製本に臨むことが大切なんですよね。当社の熟練社員は、速さ重視のチラシでさえ念入りに確認するほど真面目ですよ(笑)」(大橋社長)

eスポーツを支援し、福利厚生も充実。若い社員が入社する環境に

 さらにアイカが力を入れているのが、若手社員が楽しめる会社づくり。そのユニークな取組みとして業界から注目されているのが、eスポーツ部の創設です。

「このところ入社する若い社員の趣味を聞くと、多くがアニメやゲームなんですよね。であれば、それを会社が応援してはどうだろうかと始めたのがeスポーツです。若手の人材不足は、印刷業界に限らず製造業全体の深刻な問題でもありますから」(大橋社長)

 大会出場経験のある若手社員を中心にスタートしたeスポーツ活動は、社内コミュニケーションの活性化にも貢献。eスポーツ部の部室には会社が用意したゲーミングデバイスやゲーミングチェアが揃い『スマッシュブラザーズ』や『スプラトゥーン』などの人気タイトルで大会上位を狙う“ガチ勢”から、パーティーゲームに興じる“エンジョイ勢”まで、さまざまな社員が参加しています。

 アイカは一般社団法人・愛知eスポーツ連合の賛助会員としてもeスポーツを支援。今年は社員の要望に応えてゲーミング機器を増台し、工場間で通信可能な環境を整備する予定なのだそう。

 業界でもいち早くSDGsに取り組んだアイカは、社員の福利厚生や健康経営を本格的に推進し、経産省の「健康経営優良法人」にも選出されています。

 かつては残業の多いイメージもあった印刷業ですが、アイカでは24時間360日工場を稼働させながらも、社員の希望を聞きながら複数のシフト制を導入。年間122日の休日も実現し、グラフィックアーツ科のある地元の学校などから、毎年、新卒社員を採用しています。

「インターネットは何か知りたいことや目的があって使うことが多いですよね。一方、紙媒体は意識していなかった人に“気付き”を与えるという特性があります。QRコードが普及しているように、紙がきっかけでネット検索につながることも意外と多いんです。紙の手触りやインキの匂いなど、感覚に訴える楽しさも、世代を問わず好まれるポイントではないでしょうか」(大橋社長)

 手元に置いて、必要な情報をすぐに読み返すことができる紙媒体は、とくに高齢者にとって欠かせない存在です。例えば、市町村が発行する広報誌やフリーペーパーの需要は高く、同じ案件について5社の同業他社から見積り依頼が届くことも珍しくありません。

「自分たちが刷った印刷物を街や店舗で見かけたときほど、嬉しいことはありません」と語る大橋社長。

 現在、アイカでは印刷物に関する相談はもちろんのこと、東京本社の営業担当者や営業アシスタントも募集しています。印刷に少しでも興味を持った方は、ぜひアイカの門を叩いてみてはいかがでしょうか。

◆株式会社アイカ ホームページ
https://www.printing-aika.com/

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東京本社:03-3234-1641
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◆株式会社アイカ 採用ページ
https://www.printing-aika.com/recruit/

◆印刷通販「良安」ホームページ
https://www.ryoan.net/

◆株式会社アイカ Instagram
https://www.instagram.com/aika_2022_dream/

◆株式会社アイカ Facebook
https://www.facebook.com/aika.printing/

情報提供元: アーバンライフメトロ
記事名:「 「紙にしかできないことを」 ―― 印刷という仕事に誇りを刻む印刷会社アイカの挑戦