大地震で住宅が倒壊を免れても、その後の繰り返される揺れによって住み続けられなくなるケースがあります。


全国の工務店・住宅会社の経営を支援する一般社団法人日本優良ビルダー普及協会(JGBA)は10月8日、岡山市で「ライフデザイン・カバヤ視察会 in 岡山」を開催。


実物大住宅に震度5〜7の地震波を含む振動を70回加えて検証した耐震技術や、その技術を住宅づくりに生かす方法を学ぶ機会を創出しています。


今回は、JGBA代表理事の田島亮さんに、視察会を開催した背景や耐震住宅の重要性、これからの工務店に求められる取り組みなどについてお話を伺いました。


 


全国の工務店の成長を支援する「JGBA」!視察会で学びと交流の機会を創出


一般社団法人日本優良ビルダー普及協会(JGBA)は、全国の工務店や住宅会社を対象に、経営支援や情報提供を行う団体。



2021年1月に設立され、住宅業界の発展を目指して、経営・営業・商品開発などをテーマとした勉強会や、先進的な取り組みを行う企業への視察会、交流会などを実施しています。


同協会の代表理事を設立当初から務める田島亮さんは、こうした活動を通じて工務店に学びの機会を提供することが、住宅業界全体の成長につながると考えています。


田島さんは、



「私自身も本を読んだりセミナーに参加したりして成長してきたので、勉強することは大事だというのが前提です。伸びている会社と伸びていない会社の違いは、“勉強しているかどうか”だと私は思っています。」


と、継続的に学ぶことの重要性を強調しました。


少子高齢化や建築資材などの価格上昇によって、住宅業界を取り巻く環境は大きく変化しています。


田島さんによると、従来と同じ方法で経営を続けるだけでは、こうした環境の変化に対応することが難しくなっているとのこと。


一方、成長を続ける工務店は、他社の取り組みやトレンドなどを積極的に学び、経営者同士のつながりをつくることで、新たな情報や知識を取り入れているといいます。


ただ、地域の工務店が独自に他社の現場を視察したり、経営者同士のネットワークを構築したりすることは、決して簡単ではありません。


JGBAでは、こうした企業が垣根を越えて学び合える機会を設けることで、各社の経営や住宅づくりを後押ししているそう。



また、近年は各地で発生する地震災害を背景に、住宅の耐震性能に対する関心も高まっています。



この変化について田島さんは、


「地震や災害に対する意識の変化は業界全体で起きていると思います。ただ、地域の小さい工務店レベルでは変化に対応できていないところもあります。」


と指摘。


住宅のデザイン性や住みやすさ、コストパフォーマンスを重視するだけでなく、地震が発生した際に住む人の命や暮らしを守るという視点も、これからの家づくりには欠かせないと考えています。


 


繰り返す地震に耐える「CLTハイブリッド構法」を学ぶ!全国から46人が参加した視察会の内容とは


10月8日に岡山市で開催された「ライフデザイン・カバヤ視察会 in 岡山」には、東北や九州、四国など全国各地から46人が参加しました。


視察会では、ライフデザイン・カバヤが手掛けるモデルハウスや、独自の耐震技術を紹介する構造ショールーム、本社など計3か所を訪問。


最初に訪れた「OHKハウジング展示場」では、同社のモデルハウスを見学し、住宅のデザインや間取り、商品づくりの工夫などを学びました。



田島さんは、


「最新のモデルハウスでは、どんなことをやっているのかを見てほしかったですね。自社のモデルハウスは果たしてどうなのかというのを比べてもらえればと思います。」


と、他社の取り組みを直接見ることの重要性について説明。


続いて訪れた「岡山南展示場 構造Lab.」では、ライフデザイン・カバヤが開発した独自の耐震技術「CLTハイブリッド構法」について学びました。



この構法は、一般的な木造軸組構法に、CLTと呼ばれる木質パネルを使った耐力壁を組み合わせたもの。


高い耐震性能を確保しながら、従来の木造建築工法を組み合わせることで、建築コストを抑える工夫が施されています。



同社が行った実物大住宅を使った振動台実験では、震度5〜7の地震波を含む振動を合計70回加え、実験後も構造体に大きな損傷がないことを確認したそう。


一度の大地震に耐えるだけでなく、その後も繰り返される揺れに備え、住宅の損傷を抑えることを目指した技術。


田島さんは、こうした耐震技術について、


「何度も研究を重ねた結果、一回の地震に耐えて終わりではなく、その後に大きい地震が来ても耐え続けられる家です。」


と、その特徴を説明しました。


さらに、3か所目のライフデザイン・カバヤ本社では、住宅づくりの技術だけでなく、同社の組織づくりや職場環境にも注目。



本社には、社員が自由に席を選べるフリーアドレスのスペースなどが設けられており、社員同士が活発に意見を交わす様子も見ることができたそうです。


田島さんによると、こうした社内の雰囲気や社員同士の関係性は、実際に現地を訪れなければ分からない部分でもあるとのこと。


「ライフデザイン・カバヤさんの社風ってすごく魅力的なんですよ。風通しが良くて、社員が仲がいいという。生のオフィスを見させてもらうことで、その会社の社風を肌で感じられるじゃないですか。」


と、同業他社の職場を直接見学できることも、視察会ならではの価値だと話します。


今回の視察会では、参加者からも高い評価が寄せられました。



終了後のアンケートでは、5点満点中4〜5点の評価が多く「構造Lab.が勉強になった」「社員から直接話を聞けた」「規模の大きな会社の視察は初めてだった」といった感想が寄せられたそうです。


田島さんは、現地を訪れて実物に触れることに加え、参加者同士が交流し、各社の取り組みについて情報交換できる点も視察会のメリットだと説明。


「当協会の目指すところは、この勉強と横のつながりを作るというこの2つなので、それが視察会だと体験っていう形で勉強になるし、視察会だとみんないらっしゃるので、出会って仲良くなって横のつながりもできる。」


と語りました。


住宅の耐震性能から商品づくり、組織運営まで、幅広い視点で学べる今回の視察会。


参加した工務店や住宅会社にとって、自社の家づくりや経営を見直すきっかけとなる機会になったようです。


 


住宅業界の未来を支えるために!JGBAが目指す学び続ける工務店づくり


今回の視察会を通じて、耐震技術や経営戦略など、さまざまな学びの機会を提供したJGBA。


今後も全国の工務店や住宅会社に向けて、幅広いテーマの勉強会や視察会を展開していく方針です。


田島さんは今後の活動について、



「耐震に対しての視察会もやるし、海外で事業を広めるっていうのも一つの選択です。トップ営業マンに話してもらう営業についてのセミナーや、建築技術が学べるセミナーもやっていきます。」


と、特定の分野に絞らず、多様なテーマを取り上げていく考えを説明しました。


また、あらかじめ年間のテーマを固定するのではなく、建築資材の価格上昇や人材不足など、その時々の住宅業界が抱える課題に応じて、タイムリーな情報を届けることを重視しているそう。


こうした活動を通じて、各社が自社の課題を見つめ直し、新たな取り組みを始めるきっかけをつくりたいと語ります。



さらに、住宅性能に対する基準や消費者の期待が高まる中、田島さんは耐震性能や断熱性能の高さが、今後の住宅づくりでは当たり前になっていくと予想。


そのうえで、地域の工務店が成長を続けるためには、住宅性能だけでなく、各社ならではの強みを見出すことが重要だと指摘しました。


最後に田島さんは全国の工務店・住宅会社に向けて、


「一言で言えば、“勉強をしましょう”。毎日忙しく働いて、お客さんのために汗水たらして働いている方たちばかりの業界なので、それももちろん大事なことなのですが、ちょっと間を置いて俯瞰して見て、よその会社がやってる営業手法や、現場管理の手法を見に行ったり聞いてみる、そういったところにヒントは落ちてると思います。」


とメッセージを送りました。


地震に強い住宅づくりをはじめ、経営や人材育成など、多くの課題に直面する住宅業界。


JGBAが提供する学びと交流の機会は、地域の工務店が新たな可能性を見出し、より良い家づくりを実現していくための後押しとなりそうです。


JGBA:https://jgba.net/

情報提供元: TORSO JACK
記事名:「 「地震で倒れない」だけでは足りない!JGBAが震災後も住み続けられる家づくりを学ぶ視察会を岡山で開催 」