インフルエンザは冬だけじゃない!異例の早期流行「オフピークインフルエンザ」に備える日常の対策とは
インフルエンザと聞くと、寒い冬に流行する感染症を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
「対策を始めるのは、もう少し涼しくなってから」と考えている方もいるかもしれません。
しかし、医師が注意を呼びかけているのは、例年の流行シーズンから外れた「オフピークインフルエンザ(季節外れの時期に流行するインフルエンザのこと)」です。
今回は、感染症に詳しい寺嶋毅先生の解説をもとに、その背景や気を付けたいポイント、日々の暮らしで意識したい備えを紹介します。
例年より約3か月半早い流行入り!「オフピークインフルエンザ」の背景にあるものとは
2026年は8月17〜23日の第34週に、全国のインフルエンザの定点医療機関当たりの報告数が1.11となり、流行入りしました。
昨シーズンの第39週より約5週間も早く、過去10シーズンの流行入りの中央値である第49週と比べると、約15週間、約3か月半も前倒しになったことになります。
こうした例年の流行シーズンから外れたインフルエンザを「オフピークインフルエンザ」と表現。
国際医療福祉大学市川総合病院呼吸器内科部長・同大学医学部教授の寺嶋毅先生は、
「冷房を使用している時期から、インフルエンザが流行したことは、今まで経験がありません。」
と話し、同院ではすでにインフルエンザに感染した患者が肺炎を合併し、入院したケースもあると説明しています。
その背景として、寺嶋先生が注目しているのが、夏から秋にかけての「多雨疲労」
残暑に加え、ゲリラ豪雨や長雨、日照不足などが続く中、気温・気圧・湿度の変化に繰り返しさらされることで、自律神経のバランスが乱れ、疲労の蓄積や免疫機能への影響につながる可能性を指摘しています。
オランダの労働者12,140人を追跡した研究※1によると、疲労度が高い人ほどインフルエンザに似た症状を伴う「インフルエンザ様疾患」の発生が多かったと報告されており、日頃の疲れにも目を向けたいところ。
また、海外との人の往来も、季節外れの流行に影響する可能性があるのだとか。
南半球では日本の夏に当たる時期にインフルエンザが流行し、熱帯地域では年間を通じて流行する場合もあります。
人の移動に伴い、海外で流行しているインフルエンザウイルスが国内に持ち込まれることも考えられるでしょう。
さらに、日本政府観光局のデータでは、2023〜2025年のいずれも、10月の訪日客数は8月と比べて約13〜17%多くなっているそう。
こうした背景からも、寺嶋先生は海外との往来が活発になる時期の感染状況にも注意を促しています。
「インフルエンザは冬のもの」というイメージにとらわれず、流行の動向を意識することが大切といえそうです。
感染対策と毎日の食生活を見直そう!たんぱく質と乳酸菌を摂れるヨーグルトにも注目
早い時期から始まったインフルエンザの流行について、寺嶋先生は流行期間の長期化や、シーズン中に複数回のピークを迎える可能性も指摘。
異なる型のインフルエンザに複数回感染することも考えられるため、一度かかったからといって油断はできません。
また、ワクチンは接種してすぐに十分な免疫ができるわけではなく、抗体がつくられるまでには、およそ2週間かかるとされています。
接種前後も含め、日常の感染対策を継続することが大切。
マスクの着用やこまめな手洗い・手指消毒、屋内の換気などに加え、十分な睡眠や適度な運動、ストレスをため込まない生活が肝要です。
寺嶋先生自身も、
「ストレスをためないために、小説を読んでリフレッシュすること、仕事をできるだけ楽しく行うことを心がけています。」
と、日頃から意識している習慣を紹介しました。
そして、体調を整えるうえで欠かせないのが、栄養バランスを考えた食事。
中でも意識したい栄養素として挙げられているのが、免疫細胞や抗体の材料となる「たんぱく質」です。
主食だけで済ませがちな朝食や昼食では、卵や乳製品など、手軽に取り入れられる食品を組み合わせて、不足を補いたいところ。
さらに、免疫機能の維持には、腸内環境を整えることも重要だと説明しています。
そこでおすすめの食品がヨーグルト。
たんぱく質と乳酸菌を一緒に摂ることができ、食欲が落ちているときにも比較的食べやすい点が特徴です。
寺嶋先生も、
「毎日飲むヨーグルトを摂取しています。飲むヨーグルトなら手軽に摂取でき、買い置きもしやすいので、重宝しています。」
と自身も積極的に摂取していることを明かしました。
ヨーグルトを食べれば感染を防げるというものではありませんが、朝食や間食に取り入れるなど、たんぱく質や乳酸菌を摂り、バランスのよい食生活を支える選択肢の一つになりそうです。
季節のイメージにとらわれず、基本的な感染対策と日々の生活習慣を見直すことから、インフルエンザへの備えを始めてみてはいかがでしょうか。
【寺嶋先生プロフィール】
●寺嶋毅(てらしまたけし)先生
国際医療福祉大学市川総合病院呼吸器内科部長、同大学医学部教授。
慶應義塾大学医学部卒業、医学博士。
呼吸器学会専門医だけでなく、がん薬物療法専門医、緩和ケア専門医、感染症専門医などの資格を持ち、多くの経験と新しい知見を踏まえた医療を提供している。
※1:Mohren DCL, et al. Eur J Epidemiol. 2001;17(12):1081-1087