本当に必要なものって？ヨガ哲学からみる“心の断捨離”法

気圧など天候の変化も大きく、「秋うつ」という症状もあるほど何かと心身のバランスが乱れやすい秋。心の不調はつい見過ごしてしまいがちですが、ネガティブな感情をそのまま放置していると、気付かないうちにホコリのように堆積し、心身のパワーダウンを招く原因に繋がりかねません。心の中に溜まったストレスやモヤモヤした感情も、お部屋と同じように定期的な掃除＝断捨離が必要です。今回は、そんな“心の断捨離”の大切さをみていきましょう。

心の断捨離とは？

「断捨離」と聞くと、必要のない物を捨てることを連想する人が多いのではないでしょうか。しかし、実際私たちの身の回りには物質的な物だけではなく、人間関係や執着、思い込みなど目に見えない関係や感情＝“モノ”が存在しています。

特に感情は毎日のさまざまな場面で無意識のうちに感じ、心の中にインプットされていきますが、その中にはポジティブな感情だけでなく、妬みや執着、思い込みなどのネガティブなものも含まれます。

その感情をずっと抱えたままでいると、心の中にだんだん蓄積していき、心身の不調を招いてしまうこともあるとか。

心の断捨離は、そういった内面にある不要なもの（負の感情）を手放し、よりポジティブな自分になるために大切なプロセスです。

ヨガ哲学から心の断捨離を紐解く

心の中の不要なものを手放すためにはどのようなことが大切になるのか、そのヒントをヨガ哲学の教えから考えていきましょう。

①負の感情は心のクセから生まれる

人は誰でも負の感情を何かしら抱えやすいもの。ただ、実はそれは「心のクセ」から生じていることがあるそう。ヨガ哲学では、ネガティブな感情や執着、思い込みは過去の経験に基づく心のクセ（反応パターン）だと教えています。

「もしかして〇〇〇かも…」「きっと〇〇〇なのだろうな」など、自分のマイナス思考のクセに気付き少しでも心持ちを変えることができれば、負の感情が生まれにくくなるかもしれません。

②負の感情に振り回されないためには？

ネガティブな感情が浮かんだ時は、一息置いて、その状況を客観的に受け止めることがポイント。

感情と行為を切り離し「今私は怒っているのだな」とその事実だけを認識し受け止めることで、感情に振り回されて周囲や自分自身を傷つけることを回避できます。

ヨガ哲学では「傷つけることを避ける（アヒンサー）」の積み重ねが日々を穏やかにするために大切であると説いています。

わかっていてもネガティブな感情に心が乱される時は…

ネガティブな感情に左右されて自分自身を大切にできない。そんな時はどのような心の持ち方でいればいいか、みていきましょう。

①ありのままの自分を愛する

May you be content with yourself just the way you are.「あなたは、あなたであればいい」というマザー・テレサの言葉があります。

理想の自分像を描くことも大切ですが、良い面・悪い面を含めまずはありのままの自分を認めてあげることが大切。あなたの一番の理解者であり、ファンであり、愛してあげることができるのはあなた自身です。

②今ここに存在している「私」はすでに満たされた状態と知る

ヨガでは、今この瞬間に存在している私は満たされた状態と考える「足るを知る（サントーシャ）」という教えがあります。

満たされない想いは至るところにありますが、ないことを悲観するのではなく、今存在しているもので既に満たされている状態であることを再確認し、感謝する気持ちを持つことで自然と心が穏やかになるはず。

③「今この瞬間」に意識を置く

ネガティブな感情に心が乱されているなと気付いた時は、気付くことができた自分自身を褒めてください。そして、「今この瞬間」に意識をフォーカスしてみましょう。

散歩をする、瞑想をするというように、今起きていることに集中することで、心にあった反応パターンを徐々に手放せる（断捨離できる）ようになります。

今回はヨガ哲学の観点から心の断捨離の大切さをみてきましたが、ちょっとした心持ちがネガティブな感情を変化させ、それを手放すことに繋がります。まずは心の声に耳を傾けて、自分自身と向き合うことからスタートしてみませんか？