通称サニトラと呼ばれる、日産・サニートラックは、国産大衆車の雄である日産のサニーをベースに開発されたボンネットトラックです。特に2代目サニトラは、生産終了から30年以上も経った現在でも高い人気を誇っています。 ノスタルジックなスタイリングから「旧車カスタマイズの入門車に最適」と言われる2代目サニトラの魅力を詳しくお伝えします。 サニトラは37年も続いたロングセラーモデル 2代目サニトラの販売期間は、1971年〜2008年(国内は1994年)の実に37年間にも及びます。途中マイナーチェンジはあったものの、派生モデルが1世代だけでこれだけ長期間販売されたクルマはあまり例がありません。 2代目へのモデルチェンジで、長く愛されるパッケージングと高い走行性能を手に入れたサニトラの歴史を振り返ります。 発売と同時に人気となったサニトラ 初代のサニトラは、ベース車両のサニー発売の1年後である1967年に登場しました。キャビンと荷室が一体化したスタイリングは当時としては画期的で、瞬く間に小型トラック市場の中心的存在になります。 すでに人気の高かったサニトラの地位を不動のものにしたのが、サニーのフルモデルチェンジに合わせて1971年に登場した2代目B120型です。人気のあったボディスタイルはそのままに全体にスペースを拡大、排気量を1.2Lに引き上げたエンジンによって居住性と走りの両面で大きく性能を向上させました。 また、ライバルが小型トラック市場から撤退したタイミングと重なったこともあり、同市場でオンリーワンの存在となります。結果的に2代目サニトラは、国内でも1994年、海外では2008年まで販売されるという異例のロングセラーモデルとなりました。 軽量FRという仕様が走り好きの心も掴んだ サニトラが人気となった理由の一つは、駆動方式がFRだったことです。ベースとなるサニーのプラットフォームを踏襲して開発されたサニトラも、駆動方式にはFRを採用。もともとの軽量コンパクトという特性と合わせて、小型トラックながら走りも楽しめるモデルだったことから、走行性能を求める層からの支持も集めます。 サニー自体がツーリングカーとして多くの実績を残していたこともあり、サニトラもチューニングベースとして注目されました。実際に1980年代のサファリラリーにも出走しています。 <h3>シンプルで頑丈なA12型エンジン</h3>サニトラに搭載されるA12型1.2リッターOHVエンジンは、68psを発生。現在の基準から考えると控えめに感じますが、当時としては十分な出力で、重量730kgのサニトラを軽々と走らせてくれました。 また、日産エンジンのなかでも名機と言われるA型エンジンは、シンプルな構造で耐久性の高いエンジンです。多くの車種に搭載され、チューニングベースとしての人気も高かったことから、サニトラでもチューニングを楽しむユーザーが増加しました。 カスタマイズを手軽に楽しめる2代目サニトラ 懐かしさの漂うフォルムから、オールドスタイルファンの心をつかんで離さないサニトラ。しかも、旧車にもかかわらず、手軽にカスタマイズを楽しめる点はサニトラの大きな魅力です。海外では2008年まで販売されていたため、多くの部品が比較的簡単に入手できます。 さらに、販売期間が長く愛好家も多いことから、アフターパーツの種類も豊富です。2代目サニトラのカスタマイズについて紹介します。 外装を好みのデザインにカスタマイズできる サニトラは外装のアフターパーツも豊富です。さまざまなパーツを組み合わせて、自分好みの外観に仕上げられます。 たとえば、後期の角型ヘッドライトを前期の丸型へのスワップやチンスポイラーの装着は、2代目サニトラの王道のカスタムスタイルです。また、リアバンパーをスムージングすると、旧車ながらもモダンなデザインを楽しめます。 なお、荷台のフックの取り外しも定番のカスタマイズのため、中古車を購入する際はフックの有無も確認しておきましょう。 素性のいいA型エンジンはチューニングベースに最適 サニトラに採用されるA型エンジンは、レースに使用された実績もある高性能エンジンです。ノーマルのA12型エンジンの排気量を1.3Lに拡大し、130psを発揮するものもありました。 多くのパーツが販売されているので、もともと搭載されているA12エンジンをチューニングするだけでも十分楽しめます。仮に購入した車両のエンジンの状態が悪くても、販売台数が多いため別のエンジンを探すことも容易です。さらに、排気量のより大きなA14型へのスワップも人気で、よりパワフルなサニトラを楽しんでいる方もいます。 カスタマイズできるのはエンジンだけではありません。純正の4MTを5MTへ変更するキットが販売されていて、チューニングしたA12型エンジンのパワーを余すことなく使えるようにできます。給排気系についてのカスタムパーツも豊富です。パワーや好みに合わせてチューニングすることで、キャブ車ならではのクラシカルなサウンドを楽しめます。 中古車を探すなら最終の後期型がおすすめ サニトラは1989年11月にビッグマイナーチェンジが実施され、後期型と呼ばれる最終モデルが登場しました。エンジンの改良やフロントにディスクブレーキを採用するなど、現代のクルマに近い仕様になっているほか、昭和63年の排出ガス規制(自動車NOx・PM法)にも対応しています。また、後期型は南アフリカで2008年まで生産されていたため、部品の入手性の高さもおすすめポイントです。 販売台数の多かった2代目サニトラは100万円前後から購入できます。販売初年度から50年以上、国内販売終了からでも29年が経過している旧車としては比較的入手性の高い車種です。しかし、少しずつ流通数は減ってきており、1992年式で328万円もの価格の車両もありました。また、旧車王では1992年式のサニートラック ロングボディデラックスを100万円という高値で買い取っています。 今後さらに台数が減少すると、サニトラの豊富なカスタマイズを楽しめる機会も減ってしまうかもしれません。 ※中古車価格は2023年2月執筆当時
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