日本は治安がよいとはいえ、車が盗まれることもあります。盗難車は犯人から乱暴に扱われることが多いため、事故に発展する確率も高いでしょう。この記事では、盗難車が事故を起こしたときは、誰が損害賠償請求されるのかについて解説します。所有者が責任を問われるケースや、被害者への補償についても解説するので、ぜひ参考にしてください。 盗難車が事故を起こしたときは誰が損害賠償請求される? 盗難車が事故を起こしたときは、基本的に車を盗んだ犯人が損害賠償請求されます。2017年1月に川崎市内で起こった盗難車の事故では、車の所有者は責任を問われていません。しかし車を盗まれた所有者は、100%責任を問われないわけではないため注意が必要です。 盗難車が事故を起こしたときに管理責任を問われるケース 車の管理が適切でなく簡単に盗まれる状況だった場合は、所有者にも落ち度があるため、損害賠償請求される可能性もあります。続いて、車を盗まれた所有者が管理責任を問われるケースを紹介します。 例①エンジンやキーをつけっぱなしにして長時間離れる エンジンやキーをつけっぱなしにして車から長時間離れていた場合は、管理責任を問われ損害賠償請求される可能性があります。これは、エンジンやキーをつけっぱなしにして車から長時間離れるという盗まれやすい状況を自分で作ってしまっているからです。 またドアロックをせず、誰でも安易に接触できるような場所に車を停めていた場合も、管理責任を問われます。エンジンを止めてドアを施錠し、必ずキーを持って車から離れるようにしましょう。 例②盗難されてから盗難届を出さなかった 盗難されてから盗難届を出さなかった場合も、管理責任を問われ、損害賠償請求される可能性があります。盗難届を出せば、警察が車を探してくれるため、事故を防げる可能性もあるでしょう。しかし車を盗まれたにもかかわらず、速やかに盗難届を出さなかった場合、管理責任を問われます。盗まれた場合は、盗難届を速やかに提出し、車の行方と犯人を警察に追ってもらいましょう。 犯人による被害者への補償について 所有者に賠償責任がない場合、被害者への補償は、犯人が全額負担する必要があります。しかし車を盗難する犯人は、支払い能力がないケースがほとんどです。犯人に支払い能力がない場合、政府補償事業から被害者に対して自賠責保険の支払い基準をもとに、てん補金が支払われます。政府補償事業とは、盗難車や無保険車による事故に遭い、自賠責共済から保険金を受け取れなくて困っている被害者を救うための制度です。 しかし自賠責保険は、人が死傷したときに支払われる保険金のため、車の修理費用は補償されません。支払い能力がない相手と事故に遭った場合、車両保険に入っていると、車の修理費用も補償されるので安心です。さらに自賠責共済から支払われる保険金では足りない場合、被害者は自分が加入している自動車保険の人身傷害保険を使えます。人身傷害保険は、使っても等級に影響しないため、保険料が上がることを気にせず利用できます。被害者は、自分の人身傷害保険で不足分を賄えることも、把握しておきましょう。 所有者による被害者への補償について 所有者にも損害賠償責任がある場合は、契約している自賠責保険や自動車保険の対人賠償保険で補償できます。また盗難車が他人の家や車、電柱などに衝突した場合は、対物賠償保険で補償されます。対人賠償保険や対物賠償保険の保険金は、無制限で加入している人が多いですが、限度額が設定されている可能性もあるため、再度補償内容を確認しましょう。
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