去る2024年2月17日~18日、パシフィコ横浜 展示ホールB.C.Dにて「第15回ノスタルジック2デイズ2024」が開催され、旧車王ヒストリアでもその模様を取材した。 当日はクルマではなく、公共交通機関でパシフィコ横浜に向かった。駐車場探しに手間取る可能性があるので、ノスタルジック2デイズの取材のときはいつもそうしている。最寄りのみなとみらい駅を降りた時点で、それっぽい人たちが足早に会場へと向かっていく。それだけこの日が来るのを待ちわびた人が多かったのだろう。 ■過去最高の来場者者数を記録。初の4万人を突破! 2日間とも雨に降られることもなく、開催期間中の来場者者数も過去最高の40,514人を記録。同イベントとしては初の4万人超えとなった。 ・2月17日(土):19,739人(晴れ)・2月18日(日):20,775人(晴れ)●合計:40,514人 初回(2009年)開催時には1万人前後、第9回(2017年)あたりまでは2万人前後だったが、2018年以降は順調に来場者者数が増えてきている(新型コロナウイルスの影響で2021年は中止に)。なお、入場者数に再入場、プレスは含まないということなので、筆者もカウントされていない。 出展社数164社、4輪車の出展台数が238台(2輪車なども加えると合計290台)とのことで、じっくり観ていたら1日では足りない規模といえる。 ■国産車編 ノスタルジック2デイズというと、1970年代〜80年代あたりの国産車編が主役という勝手な先入観を抱いていた。しかし、確実に1990年代の「ネオクラシックカー」などと呼ばれる時代のクルマの数が増えてきていることを実感する。 ユーノスコスモやアルシオーネSVX、初代インプレッサ、「VR-4」が懐かしいギャラン、私をスキーに連れてってでおなじみのセリカ(ST165)、あぶない刑事シリーズで活躍したレパードなど、アラフィフ世代以上のお父さんたちにとっては懐かしいクルマが会場内に所狭しと並んでいるのだ。 この年代のクルマをリアルタイムで観てきた世代にとっては隔世の感すらあるのだが、こうしてどこかの誰か(あるいはショップ)が救いの手を差し伸べていかないとあっという間に絶滅してしまう時期に差し掛かっているのだろう。 なお、AUTO BASE Garage Funブースに展示されていたブルーメタリックの70スープラじゃ、実走行51万キロ(!)を突破したワンオーナーカー。手前味噌で恐縮だが、昨年、筆者が2016年から担当している「トヨタ GAZOO愛車広場」で取材した個体そのものだ。1年振りの再会となったが、フロントバンパーの「走り屋の勲章」は会場内でも目を引いていた。 そして、トヨタ・日産・マツダといったメーカー系のブースでも「ただ単に当時のクルマを並べて展示」ではなく、部品の再販やレストア、現代の技術を活かしたチューニング部品などが展示されていた。 メーカー自身が当時のクルマの価値や保存の必要性を理解し、リスクはあるにせよビジネスベースに乗せようとしていることが伝わってきた。 ■輸入車編 そして、ノスタルジック2デイズというと、国産旧車のイメージが強いイベントというのが個人的な印象だが、最近は輸入車の比率が少しずつ高くなってきていることを実感する。結果的に、輸入車が好きなユーザーがノスタルジック2デイズにも足を運ぶようになり、客層が広がる二次的効果も見込めそうだ。 そのなかでも空冷ポルシェ911の台数が多いのは、それだけ人気が高いことの証であり、目を引きやすいというものあるだろう。 ヴィンテージ湘南のブースで展示されていたのは、いわゆる「ナローポルシェ」の3台。来場者がグレーの1968年式911Sの価格を聞いていたのをたまたま耳にしたのだが、もはやおいそれと手が出せる額ではない。かつてグレードを問わなければ200万円台でナローポルシェが買えた時代にはもう戻ら(戻れ)ないのかもしれない。 そして、ワクイミュージアムのブースでは、1979年式 ロールスロイス カマルグと19889年式ロールスロイス コーニッシュ IIが展示されていた。この2台が展示されているだけで会場が一気に華やぐのだから不思議だ。「ロールスロイスなんて縁遠い」と思っている方こそ、間近で実車が観られるまたとない機会でもある。 縁遠いと決めつけず、とにかく間近で実車を眺めるだけでもいい。各部のその繊細な造り込みに感動を覚えるはずだ。これが原体験となり、ロールスロイスの魅力に取り付かれた人がいてもなんら不思議ではない。 NEXCAのキャッチコピー「オトナのセカンドカー&バイク専門店」という、キャッチーなコピーとともに1990年前後の日本でよく見掛けたメルセデス・ベンツとBMWが展示されていた。 かつてはメインカーとして使われていたこの時代の輸入車も、気づけばどれも30年選手。普段はガレージに置いて、休日の早朝などのドライブの相棒として走らせるくらいが「動体保存」としていい塩梅なのかもしれない。 そして余談だが、会場にはジアッロモデナのボディカラーが眩しいエンツォフェラーリが展示されており、注目を集めていた。 ノスタルジックカーとくくるにはまだ早い気がすると思いきや、このモデルがデビューしたのが2002年。気づけばもう22年も前のクルマなのだと改めて実感した。給油口にはこのクルマのデザインを手掛けた奥山清行氏のサインが記されていた。 ■掘り出しモノが見つかるかも!? しれないグッズ販売 時間帯によってはもっとも人口密度が高かったのでは?というほど混雑していたグッズ販売コーナー。筆者が細々とコレクションしている1/43サイズのミニカーのエリアに突入したときは、思わず仕事(取材中)であることを忘れそうになった。 実店舗をハシゴすると1日ではとてもまわり切れないし、ネットショッピングでは実物が届くまでは当たりかハズレか分からないこともある。しかし、ノスタルジック2デイズ会場の空間にこれだけのグッズや部品販売があるなら「このエリアが目的」という人がいても不思議ではないように感じる。 ■まとめ: イベントの主催は「Nostalgic Hero」、「ハチマルヒーロー」、「Nostalgic SPEED」の各誌を出版する芸文社。東京オートサロンやオートモビルカウンシルなどを取材していても感じるのだが、媒体や出版社ごとのカラーがイベントにも反映されているように思う。 そのなかでも「ノスタルジック2デイズ」は手堅い、正統派なイメージ。コンパニオンのお姉さんが少ない分、派手さは控えめ。これに比例してカメラ小僧がほとんどいない。いわゆるクルマ好きのなかでも「ヘンタイ(褒め言葉)」率が高いように思える。 取材中に周囲から聞こえてくる会話の内容がとにかく濃いのだ。あえて伏せるが「●●のブースにあった★★★はフルオリジナルって書いてあったけど、あのステアリングは後期モデルだな」とか、とにかくツッコミが鋭い。 この種のマニアというか、正統派ヘンタイクルマ好き(繰り返しますが褒め言葉)を刺激する大規模はイベントは意外少ないように思う。最近は20代の正統派ヘンタイクルマ好きも増えつつあることを、別の取材を通じて実感している。来年以降のさらなる盛り上がりにも期待したい。 [ライター・撮影/松村透]
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