2024年11月17日(日)、岡山県真庭市で初の開催となった「MHヒルクライム/真庭速祭」。 モータースポーツ文化を、地域の活性化へとつなげる目的で企画された「公道ヒルクライム」のイベントだ。舞台となった広域農道「木山街道」では、プロドライバーによる本格的な走行が繰り広げられ、観客を魅了した。 ここで、本記事を通じて改めて強調しておきたい。 イベント終了後、木山街道や周辺での暴走行為や迷惑行為は絶対に避けたい。地域との調和があってこそのイベント。地元住民への配慮なくして、このすばらしいイベントは成り立たない。 今回は、来場者や関係者の声を交えつつ、この特別な1日を振り返る。 ■真庭速祭とは 真庭速祭は「真庭速祭実行委員会」が主催し、自動車メディア「モーターヘッド」が企画運営を担当。地元住民や行政との協力のもと開催されている。 舞台となったのは広域農道「木山街道」。ちなみに広域農道とは、農産物輸送のために整備された道のことだ。 木山街道は、標高500m付近の山間部を、アップダウンを繰り返しながら延びている。この道の区間に4.3km(計測区間/パドックからゴールまでは約6.5km)のセクション(コース)が設けられた。 そして、スタート地点には会場にはドライバーやメカニックが集うパドック、特設ステージ、飲食や物販コーナー、貴重な車両やエンジンが展示されるミュージアムも設置。来場者数を限定しながらも大盛況となった。 さらに、イベントの様子はYouTubeでもライブ配信され、会場に来られなかったファンにも熱狂が届けられた。 ■イベントダイジェスト 当日の朝は曇りで気温は17度。午前中には霧が立ちこめ、一部路面はウェットコンディションに。午後からは雨が降り出したため、路面はヘビーウェットとなった。それでも、プロドライバーたちは悪条件をものともせず、観客を唸らせる走りを披露した。 走行はクラスごとに分けられ、マシンが観客に囲まれながらスタートする様子はドラマチック。走行を終えたマシンがそろって戻るパレードランのような場面もあり、華やかな空気が漂った。 ▲出走前に安全確認を行う「ゼロカー」を、パイクスピークにも参戦する小林昭雄選手が担当。車両はパイクスピーク仕様のポルシェ911(type996)GT3CSが使用された。小林選手のスムーズなコース確認が安全面でもイベントを支えた ▲走行を終えて帰還するマシンたち。観客に拍手で迎えられていた ■ドライバーとマシンの顔ぶれ 真庭速祭では、チューニングクラスからレジェンドクラスまで、バラエティ豊かなマシンが登場。それぞれのマシンをトップドライバーたちが担当した。 チューニングクラス ・BOLD WORLD GT-R BNR34:稲岡優樹・FUJITA Engineering FD3S GT3:和田久・Jing BNR32 Group A spec:木下みつひろ・OS GIKEN TC24-B1Z / S30Z:井入宏之・HKS Racing Performer GR86:谷口信輝・ARVOU S2000:柴田優作 ●地元「オーエス技研」のマシンに熱視線 地元・岡山県のオーエス技研も「S30Z(フェアレディZ)」で出走。今回走行したマシンの中で、もっとも車齢を重ねた車両だった。自社開発されたエンジン「TC24-B1Z」を搭載するこちらのマシンには、同じく自社で開発・製作されたクラッチやLSDを搭載。ドライバーは井入宏之選手が担当した。 【VOICE】:OS GIKEN TC24-B1Zを見て 「地元企業の力を感じました」 「オーエス技研のマシンを目的に来ました。技術の結晶ですね。展示されていたエンジンも間近で見られて感動しました。市販車とは違う点も丁寧に解説していただき、勉強になりました」(宮本英貴さん 岡山県在住) ●「アルボー S2000」が再び木山街道を駆ける 真庭速祭のプロモーション映像にも登場した、人気ショップ「アルボー」のマシンも出走。S2000をベースとしたこちらのマシンは、ドライバーでアルボー代表でもある柴田優作選手自身が手掛けている。2023年のワールド・タイムアタック・チャレンジでクラス優勝を果たしている“国内最速級”のマシンだ。 レーシングクラス ・ENKAIRACING v.Granz:林寛樹・ACR ASTON MARTIN V8 Vantage GT4:ハナ・バートン・Katsu Taguchi FIESTA Special:田口勝彦・CUSCO SUBARU Impreza / JGTC GT300:小林且雄・HONDA WTCC CIVIC:道上龍 ●「JGTC GT300 クスコ・スバル・インプレッサ」の勇姿にファン歓喜! 全日本GT選手権(JGTC)のGT300クラスで活躍した「クスコ・スバル・インプレッサ」が登場。このマシンを操ったのは、当時のドライバーである小林且雄選手。なんと、当時のレーシングスーツに袖を通しての出走だった。その姿は、あたかも時間を巻き戻したかのよう。ファンからは歓声と拍手が沸き起こっていた。 ●圧巻の走り!「Katsu Taguchi ・フィエスタ スペシャル」がイベント最速を記録 地元・岡山県出身のラリースト、田口勝彦選手が駆る「Katsu Taguchi ・フィエスタ スペシャル」が、この日のトップタイムを記録。2分11秒327を叩き出した。午後からの雨でヘビーウェットとなった木山街道をものともせず見せつけた走りは、今後の真庭速祭で目標タイムとして語り継がれるだろう。 ●MEC120を戦う「ZENKAIRACING v.Granz」が木山街道を疾走! 耐久レース「MEC120」に参戦するZENKAIRACINGのマシン「ZENKAIRACING v.Granz」が出走。代表でもある林寛樹選手がドライバーを務めた。また、ミュージアム内にてレーシングシミュレーターの体験ブースも展開、好評を博していた。 【VOICE】ZENKAIRACING ドライバー・林寛樹選手に聞く 先が見えないし、怖い…でも、とにかく面白い! 通常ではありえない2車線フルレーン走行、レーシングマシン(v.Granz)での走行、レーシングスリックでの走行、速度制限なし、制限区間以外は音量規制もなしという条件で、正式なコースとして全開走行できたことに感動しました。そして大変面白かったです。地元住民や関係者の皆様のご理解と協力のおかげで、この夢のようなイベントが実現できたことに、心から感謝申し上げます。 真庭速祭には、昨年のテストイベント時から注目しており「峠をレーシングマシンで全開走行する」という夢のような企画に心を奪われていました。 今年に入って高田さん、三栄さん、MADLANE大橋さん、多くの方々との出会いやご縁を通じて、関係者として参加する機会を得ることができ、本当に感謝しています。イベント終了から1週間経った今でも興奮が冷めません。真庭速祭は、たくさんの方々の想いをカタチにした特別なイベントです。これからも地元に根付く「秋祭り」のような継続的なイベントへと発展していくよう、微力ながらお手伝いできればと思っています。 ■レジェンドマシンの競演 往年のレースで輝かしい戦績を残したレジェンドマシンたち。その走りを一目見ようと、多くの観客がスマートフォンやカメラを手にスタート地点に集まった。 レジェンドクラス ・NISSAN R91CP:久保田克昭・RX-7 FC3S GTU IMSA:谷口信輝・ADVAN alpha 962C:諸井猛 ●デイトナ24時間レース優勝マシン「日産・R91CP」...
...続きを読む