去る11月19日に、芦ノ湖スカイラインの中程にある「芦ノ湖スカイラインレストハウス フジビュー」の駐車場を借り切って、ポルシェやフェラーリ、ランボルギーニetcという蒼々たる顔ぶれの華やかなクルマたちを集めたミーティングが行なわれました。 「GOGOmtg(ゴーゴーミーティング)」と銘打って開催されたこの集まりは、今回で2回目となります。 大のクルマ好きで、HOC(平成オーナーズクラブ)というクルマ好きグループの代表を務める「やまけん」さんが、自身のコネクションを通して交流の場を設けようと開催されました。 集まってきたクルマ達は、そのHOCのメンバーが中心になっているので、オーナーさんの多くが30代と年齢が若いというのもこのミーティングの特色です。 ミーティングに集まった車輌はどれも素通りできないものばかりでしたが、そのなかでも気になった車種をピックアップして紹介していきたいと思います。 前回は旧車ジャンルの前編としてポルシェを中心に紹介しましたが、今回はその後編として、ポルシェ以外の個性的な国内外の旧車を紹介していきましょう! ● GOGOmtgレポート<前編・ポルシェ特集>https://www.qsha-oh.com/historia/article/gogomtg-2023-vol1-porsche/ ■2008年式 フェラーリ 430スクーデリア 1台目に紹介するのは、F430の公道レース仕様と言える「430スクーデリア」です。 オーナーは「やーまん」さん。 高校性のときに雑誌でこの430スクーデリアの記事を見て一目惚れ。 それ依頼、ずっと憧れていてた影響もあってフェラーリの整備を請け負う専門店に勤めるようになり、2年前にようやく念願のオーナーになれたそうです。 仕事上多くのフェラーリを扱いますが、やはりこの430スクーデリアがいちばんだと思えるので「一生このクルマは持ち続けていきたいと思っています」と愛車への情熱を話してくれました。 それでも、あえて欲しいクルマを伺うと「F40にはやっぱり憧れますね」とのことでした。 外観のデザインはベースのF430と同じですが、フロントバンパーのサイドにエアアウトレットが新設されていたり、リヤセクションではマフラーが両サイドの4本出しなのに対して、位置がナンバー脇まで引き上げられ2本出しになっているのも特徴です。 塗装がされているので分かりづらいのですが、外装のパネルのほとんどはカーボンに置き換えられていて、その結果、車重はノーマル比200キロの軽量化を実現しているそうです。 やーまんさんはそれをさらに際立たせるため、サイドスカート部のディフューザーなどに市販のカーボンパーツを使ってカスタムしています。 また、ノーマルはイエロー地に跳ね馬のエンブレムですが、ここも(純正で)カーボン地になっていて、仕上げが徹底しているなと思いました。 フェラーリのエンジンルームを見たときに真っ先に飛び込んでくるのが赤い結晶塗装のサージタンクですが、この430スクーデリアの場合はそれがカーボンブラックに変わっています。 オーナーのやーまんさんもそこがお気に入りのポイントだということです。 心臓部であるエンジンのいちばん目立つサージタンクに赤を使うというのは、ある種アイデンティティの表現と言える部分なのですが、それを無骨なカーボン素材むき出しの仕上げとすることが「本気」の現れに感じますね。 動力性能のカナメであるエンジンにも、もちろんモディファイが加えられています。 排気量はベースと同じですが、ピストン形状を変更し、ノッキング制御デバイスを追加して11.88という高圧縮を実現。 それに加えて吸排気の効率を見直すことで、ノーマル比20psアップの510psを発揮します。 エンジンルーム内に見えているほとんどの部分にカーボンが使われていて、スパルタンな印象が引き上げられていますね。 内装にもカーボンがふんだんに使われ、通常はツヤのあるレザー使いな部分もバックスキンで仕上げてあり、運転しているときもレーシーな雰囲気で包んでくれます。 それでいて、エアコンやパワーウインドウ、オーディオなどの快適装備はほとんど省かれていないので、ふだん乗りとしても不満無く使えるという部分は「さすがフェラーリ」というポイントです。 ■1992年式 メルセデスベンツ 500E 続いてはメルセデスベンツの「500E」です。 どんなクルマかを知っている人なら「おっ!500Eか」となる、マニアにもファンが多い車種ですね。 オーナーは「JUN」さん。 当時の「W124型」Eクラスのラインナップの中で最もホットなグレードであるこの「500E」ですが、JUNさんのご家庭では「ファミリーカーです(笑)」なんだそうで、驚きです。 JUNさんは元々ポルシェの「カレラ3.2」に乗っていたそうなんですが、結婚してお子さんが誕生したため、「さすがにポルシェにベビーカーは……」とのことで、家族3人で出掛けられるファミリーカーとしてこの「500E」を購入したそうです。 そういいつつも、購入してから2ヶ月で3000キロも乗っているということから、かなりドライビングを楽しんでいることが窺えますね。 「500E」のいちばんのポイントであるV8・4,973ccの高性能エンジン。 それなりのサイズがあるEクラスですが、エンジンルームにみっちり収まるこのエンジンの姿を見ると、ベースのEクラスとは違う存在なんだなと思い知らされます。 このV8エンジンは元々500SL(R129型)に搭載されていたもの。 ベースの「W124型」は最大で直6の3.2リットルエンジンを搭載するための設計だたっため、二回り大きいV8エンジンの搭載にあたってポルシェにその設計変更を依頼しました。 大きなエンジンとミッションを収めるためにセンタートンネルを拡大、足まわりには500SLのパーツを流用し、その動力性能を受け止めるためにワイドなタイヤを設定。 そのため前後フェンダーが拡大されています。 知らない人が見れば普通の「W124型」Eクラスですが、ワイドフェンダーや専用バンパーの存在感によって「なんか違う?」という印象を受けるでしょう。 ファミリーカーの証、「ベビーシート」が装着されています。 もちろんこのイベントに参加する際にも大いに活用されていましたが、インタビュー中に「ファミリーカー(笑)」と仲間ウチから茶化されるシーンもありました。 ■1989年式 フェラーリ テスタロッサ 「ロッソ・コルサ」の鮮烈な赤いボディ色が見事にハマっている「フェラーリ・テスタロッサ」。 オーナーは「白米」さんです。 実はこの車輌、このイベントの主催者「やまけん」さんがCSOを務める「RENDEZ-VOUS(ランデブー)」が行なっている共同所有サービスの対象車で、白米さんはその共同オーナーとなる8人のうちの1人とのこと。 ザックリいうと、車輌の価格を最大8人で分配して共同オーナーになり、その人数で自由に乗り回せるというサービス。 決められた期間が経過すると車輌は売却され、販売利益から権利分の金額が分配されるので、個人で購入するよりはるかに安価な費用で特別なモデルが乗り回せるのだそうです。 「テスタロッサ」というのは「赤い頭」という意味。 この頭というのはエンジンのヘッド(カム)カバーのことで、かつてのフェラーリの歴史的レーシングモデルの「250テスタロッサ」や「500テスタロッサ」などをオマージュして名付けられました。 この写真ではチラリとしか見えませんが、エンジン両バンクの先が赤く塗られているのがその「赤い頭」の証です。 エンジンのタイプは名車「512BB」から受け継いだ、フェラーリ車のフラッグシップの証でもあるV型12気筒です。 排気量は自然吸気の4,943ccで、1気筒あたり4つのバルブを持つDOHCが導入され、390psを発揮します。 今ではそれほど驚く数値ではありませんが、やはりV型12気筒でしか味わえない回転フィールや、回すほどに高音が響き渡る官能的なエンジンサウンドは数値では表せない魅力でしょう。 ちなみに1980年代のイタリア車というと「壊れるから長距離はちょっと……」と思われる人も多いと思いますが、この車輌は「ランデブー」にてレストアされ、常に良い状態を維持するための整備が行なわれているので、こういったイベントくらいなら不安無く出掛けられるそう。 きっと複数のオーナーで間を開けずに乗られているということも、良い状態が維持できている要因でしょう。 室内もフルオリジナルで良いコンディションが保たれています。 現代のクルマの内装が過剰な装飾に思えるほど質素な仕上げですが、骨太な存在感を放つデザインはこの時代のスポーツ車ならではのものですね。 シート高がかなり低くて乗り降りには苦労がありそうですが、いったん乗り込んでしまえばこの低い視点が気分を盛り上げてくれるでしょう。 オーナーの白米さんも気に入っているというこのリヤフェンダー周りのデザインは、テスタロッサの外観で最大の見せ所でもあります。 幅広なV12エンジンを中心に置き、280サイズのワイドタイヤを収めるフェンダーが広がるボディは全幅で1970mmとかなりの数値ですが、実車を見るとデザイン処理のせいか意外とコンパクトに感じるのが不思議です。 ■1976年式 トヨタ セリカLB 2000GT こちらは国産の旧車で人気の高い「トヨタ セリカLB」です。 オーナーは国産旧車が好きで、バイクも含めてハマっているという山崎さん。 この「セリカLB」は購入して5年ほど乗っているとのこと。 これに乗る以前は「日産 フェアレディ240Z」に乗っていたそうです。 なんとなく「他の旧車にも乗ってみたいな……」と思っていたところに、この「セリカLB」のオーナーから交換の申し入れがあり、他に良い条件を加えてくれたのでトレードを実行したのだとか。 この個体は、TOPYの刻印のある純正の鉄チンホイールをワイド加工していたり、フェンダーミラーをナポレオンバッカミラーに交換していたり、ロングタイプのチンスポを装着していたりと、旧車いじりの流儀をしっかり踏まえたカスタムがされているので、「とりあえずこれでほぼ完成という感じですね」という状態に仕上がっています。 エンジンはトヨタの名機「18R-G」を搭載しています。 「1600GT」に搭載の「2T-G」は1600ccですが、こちらは2000ccと排気量に余裕がある設定です。 「18R-G」は「2T-G」と同様、シングルカムの大衆車用エンジンをベースに、ヤマハの手によってツインカム化された高出力エンジンです。 ノーマル状態で大型のSOLEX製40φキャブレターと、タコ足タイプのエキゾースト・パイプを装着していて、この当時の2リッタークラスでは最高レベルの出力を発揮しました。 エンジンルームを見ると、キレイに保たれていますが、しっかり乗られているのが伝わってくる雰囲気を感じますね。 この特徴的なテールのデザインが、「セリカLB」の個性を主張する部分です。 ちなみに「LB」とは「リフトバック」の略で、要はハッチバックと同じく、トランクリッドとリヤのガラスが一体型で大きく開くリヤゲートを備えた形状のことです。 そして「セリカLB」といえば、この縦長のスリットが並んだ形状から「バナナテール」と呼ばれたテールランプが特徴ですね。 1975年に後期型へマイナーチェンジが行なわれ、リヤのガーニッシュごとデザインが変更がされましたが、この個体は前期仕様のようですので、ガーニッシュ中央部のフタを開くと給油口が現れるタイプだと思われます。 ■1994年式 フェラーリ F355ベルリネッタ 会場に多く並ぶフェラーリの中でも、この渋いダークグリーンのカラーリングが目を惹いていた「F355ベルルネッタ」です。 オーナーは「SO」さん。 所有歴は1年ちょっととのこと。 他にもう1台964型の「ポルシェ911SS」も所有しているそうで、自身の誕生年に近い年代のクルマを徐々に集める計画の途中だそうです。 この個体はイベントの最後に来場者のアンケートで選ばれた賞を受けていた車輌で、その受賞のポイントとなったのが、ボディをラッピングで仕上げているという点でした。 そうです、フェラーリをよく知る人が見て「あれ?355にこんな色あったっけ?」と思われる、珍しいダークグリーンメタリックは、アメリカ製のラッピングフィルムによる仕上げなんだそうです。...
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