高性能スポーツセダンとしてヒットした三菱 6代目ギャランのなかで、フラッグシップモデルとして開発されたVR-4。日産 R32型GT-Rやスバル レガシィRSよりも2年先行して駆動方式に4WDを採用した、国産ハイパワー4WDターボ車の草分け的存在でもありました。 セダンなのに速かったギャラン VR-4のスペックやレースでの戦績、クルマとしての魅力をたっぷりと紹介します。 ラリー参戦も見据えたトップグレードの開発 ギャラン VR-4は、4ドアセダンでありながら最高出力200psオーバーという当時のスポーツカーをも凌ぐスペックを誇っていました。WRC(世界ラリー選手権)への再挑戦に向け、規定改定を見据えて開発されたモデルでもあったためです。 三菱の看板車種ギャランのトップグレード、VR-4がどんなモデルだったのかを詳しく振り返ってみましょう。 VR-4は6代目ギャランで誕生 ギャラン VR-4は、ギャランの6代目へのフルモデルチェンジと共に1987年に生まれました。ギャランは1969年に初代が登場した三菱の主力セダンで、最終的には2015年に販売終了するまでに実に9世代も作られたモデルです。 VR-4はトップグレードに位置づけられ、数々のハイテク装備や名機4G63型エンジンを搭載。先代よりも大柄になった外観も速さを予感させました。 名機4G63エンジンによる抜群の加速力 ギャラン VR-4に採用された2Lの4G63型エンジンにはターボが搭載され、最高出力205ps、最大トルク30.0kg・mを発揮します。さらに、マイナーチェンジごとに改良が繰り返され、1989年登場の中期モデルでは220ps、1990年には240psまで最高出力が引き上げられました。 最高速度223km/h、0-400mを13.92秒という抜群の加速力で、車重1,360kgのセダンながらスポーツカー顔負けの動力性能を誇りました。 ギャラン VR-4主要諸元エンジン:4G63型直4DOHCターボ排気量:1,997cc最高出力:205ps/6,000rpm最大トルク:30.0kgm/6,000rpmトランスミッション:5速MT全長×全幅×全高:4,560×1,695×1,440mm車輌重量:1,360kg 三菱ワークス体制でWRCに再挑戦 ギャラン VR-4は、WRCが市販車ベースのグループA規定に変更されることに合わせて開発されました。グループA規定のWRCで活躍した三菱車といえばランサーエボリューション(ランエボ)というイメージですが、実はギャラン VR-4が最初です。 ギャラン VR-4は、1988年から1993年の6年間で6度の優勝を飾ります。本格的なワークス体制となった1989年には、いきなり4戦中2勝を上げます。さらに、1991年のコートジボワールラリーでは、篠塚建次郎選手が日本人初のWRC優勝を手にしました。 シリーズタイトルほどの輝かしい成績とはいかなかったものの、VR-4の活躍こそが同じ4G63型エンジンを積むランエボの開発と三菱のWRCの成功につながったといえます。 国産4ドアスポーツセダンの頂点 ギャラン VR-4はギャランのトップグレードというだけでなく、当時の国産4ドアスポーツセダンでは最高峰ともいえるほど装備が充実していました。また、エレガントなイメージのセダンとは異なる、精悍なボディデザインも6代目ギャランの特徴です。 VR-4に注ぎ込まれた技術と、先代から大幅に変更されたデザインをみていきましょう。 惜しみになく注ぎ込まれたハイテク装備 ギャラン VR-4には、当時の技術が最大限投入されています。目玉は「ACTIVE FOUR」と呼ばれる、性能に大きく影響する先進装備です。4バルブターボエンジン(4VALVE)、先に紹介した4WDに加えて4輪操舵の4WSも装備、さらに4輪独立懸架(4IS)と4輪ABS(4ABS)を備えていました。 また、派生車が数多くリリースされたのも、VR-4の特徴の1つです。VR-4RやVR-4RSといったラリー専用車、WRC RACラリー優勝記念モデルの2.0ターボスーパーVR-4、電動リアスポイラーを採用したVR-4アームド・バイ・ラリーアートといった限定車、特別仕様車が販売されました。 速さを感じさせるボディデザイン 6代目ギャランは、性能面だけでなく外観も先代から大きく変わっています。セダンとしてややコンサバティブな印象の5代目に比べて、速さを予感させるマッシブで力強いスタイリングに進化しました。 複合局面で構成しつつもボディラインは全体に直線基調にまとめられていて、室内空間の快適性を高めた6ライトウィンドウを採用するなど迫力のあるデザインです。内装はシンプルながら機能的にまとめられていて、余分な華飾のないところに三菱のこだわりを感じます。 希少性の高まりを感じさせるVR-4 ギャラン VR-4を大手中古車サイトで検索したところ、販売中の車輌はわずか5台でした。三菱車初のカー・オブ・ザ・イヤーも受賞し販売台数を伸ばした6代目ギャランですが、販売終了からすでに30年以上が経過しており、現在では希少なモデルです。さらに、VR-4の特別仕様車を探すとなると、至難の業かもしれません。 なお、これだけの希少車だと、購入時以上に売却時の業者選びに気をつける必要があります。市場での流通量が少ないため、仕様によって査定額が変わります。実際、大手中古車サイトでは、169万円から399万円まで販売価格に大きな差がありました。ギャラン VR-4のような希少車を売却する際は、旧車の取り扱いに慣れた経験豊富な専門業者に相談しましょう。
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