去る11月12日(日)、横浜赤レンガ倉庫で「エキサイティングポルシェ2023(EXCITING PORSCHE/略称:EXP)」が開催された。*今回で16回目となるエキサイティングポルシェ(以前は"EXCITING PORSCHE MEETNG(EPM)"だったが、5年前から"EXCITING PORSCHE(EXP)"に改称している)。 筆者自身も第1回のときから会場に足を運んでいるが、多くのポルシェオーナーおよびポルシェファンにも「11月の第2日曜日といえば、横浜赤レンガ倉庫のポルシェのイベント=エキサイティングポルシェ」としてすっかり定着した印象がある。 毎年のように150台前後のポルシェを集めるには、イベントの知名度はもちろん、魅力がなければ成立しない。その人気振りは「エントリー開始からわずか数時間で枠が埋まる(しかも、今年からはエントリーを2回に分けたほどだ)」といえばご理解いただけるだろう。 今回、可能な限り当日エントリーしたポルシェを取材を試みた(もし、掲載されていないポルシェがあったら・・・オーナーさん、すみません)。 ■エキサイティングポルシェ2023:カレラRS編 今年のエキサイティングポルシェの主役は、昨年、生誕50周年を迎えたカレラRS。2台のカレラRS2.7をはじめ、964、997、991といった、空冷&水冷の「RS」の名を冠した911がエントリー。ポルシェファンにとっては、このクルマたちを間近で眺めるだけでも横浜赤レンガ倉庫に足を運ぶ価値があったといってもいい。 ■エキサイティングポルシェ2023:ポルシェ356/911(901/ナロー)/914編 ポルシェのなかでもクラシックに位置づけられる、356、いわゆる“ナローポルシェ”、914もエントリー。オリジナル重視の個体から、独自のモディファイを施したクルマまで、原色系ボディカラーに塗られた個体が多いのもこの年代の特徴。半世紀以上も前に造られた個体ばかりなのに、いずれもバリバリの現役モデル特有のオーラを発していた。 ■エキサイティングポルシェ2023:ポルシェ911(930)編 気がつけば930型も最終モデルですら30年を優に超えるクラシックモデルに。今回は比較的オリジナルの個体が多い印象(反面、モディファイされた個体は過激だ)。ナロールック、そしてスピードスターターボルックという、2台のガルフカラーに塗られた930や、RAUH-Weltのワイドボディをまとった個体もあり、バラエティに富んでいて楽しい。 ■エキサイティングポルシェ2023:ポルシェ911(964)編 ナローポルシェ時代からのヘッドライトを受け継ぐ(細かくは違うけれど)最後のモデルとして非常に人気が高い964型。レアなスピードスターやターボ3.6、シュトロゼックおよびRUFコンプリートカーなど、普段なかなか見られない珍しい個体が多数エントリーしていた。 ■エキサイティングポルシェ2023:ポルシェ911(993)編 最後の空冷911として常に高い人気を誇る993型。エキサイティングポルシェではお馴染みとなっている、東西の993GT2が今年もそろい踏み。そして、今年はたまたまなのか、モディファイした個体が多かったのも993カテゴリーの特徴といえる。 ■エキサイティングポルシェ2023:ポルシェ911(996)編 水冷エンジンを搭載した初の911である996型。今回のエントリー数は少なめな印象。それでも前・後期モデルをはじめ、発売当時に争奪戦となったGT3もエントリー。今年はターボ系の展示がなかったので、来年に期待したいところだ(オーナーさん、よろしくお願いします!)。 ■エキサイティングポルシェ2023:ポルシェ911(997)編 例年、多数のエントリーがあるはずの997型も今年は少なめ。それでもスペシャルモデルのGT3をはじめ、ターボモデルもエントリー。若い世代のオーナーも増えつつあるようで、お父さん世代としては次世代を担うポルシェオーナーの奮起を願うばかりだ。 ■エキサイティングポルシェ2023:ポルシェ911(991)編 2023年のエキサイティングポルシェでは大所帯となった991型。カレラ系では最後のNAエンジン搭載モデルとなった前期型をはじめ、GT3、カブリオレ、タルガなど珍しい個体がエントリー。そういえば、とエキサイティングポルシェでは不思議とGT3系のエントリーが多い気がする。 ■エキサイティングポルシェ2023:ポルシェ911(992)編 そして現行モデルの992型。991型に比べてエントリー数は少なめだが、ここでもGT3系の個体が多い。来年以降は、カレラTやようやくナンバーがついたGT3RSなど、シリーズ後半でデビューしたモデルのエントリーにも期待したいところ。 ■エキサイティングポルシェ2023:ポルシェ924/944/968/928編 FRポルシェとして根強い人気を持つ924/944/968/928型もそれぞれエントリー。個人的にはこのカテゴリーがどのくらいエントリーしてくれるのか、毎回とても楽しみにしている。同年代の911と比較すると残存数が少ないので、現オーナーにはラストオーナーとして後世に受け継いでもらえたら・・・と思う。 ■エキサイティングポルシェ2023:ポルシェボクスター&ケイマン編 FRポルシェの後を担い、そして911系とは異なる魅力を持ったボクスター&ケイマンも多数エントリー。実車を並べてみると、モデルチェンジを経るごとにボディが大きくなっているのが分かる。こうして同じ場所に並べられていると、初代ボクスター&ケイマンがライトウェイトスポーツにすら思えてくるほどだ。 ■エキサイティングポルシェ2023:マカン&タイカン編 次世代のポルシェといえるタイカン、そして現代のポルシェの屋台骨を支えるマカンもエントリー。クーペ系だけでなく、セダンやSUVモデルのエントリーができるのもエキサイティングポルシェの魅力のひとつだと思う。来年はカイエンやパナメーラ系のエントリーにも期待したい。 ■エキサイティングポルシェ2023:ポルシェライフを支える各ショップもエントリー エキサイティングポルシェに欠かせないものといえば、各ショップの出展ブースだ。ポルシェビギナーはもちろん、オーナー予備軍が各ショップのスタッフと直接話ができる貴重な場となっている。将来、ポルシェの購入を考えているとしたら、来年は会場に足を運び気になるショップのブースを訪ねてみてほしい。何らかの有益な情報が得られるはずだ。 ■エキサイティングポルシェ2023:まとめ 2022年に引き続き、今年も雨模様となってしまったエキサイティングポルシェ。午前中は小雨が降り続き、人出もまばら。しかし、雨が止んだ午後には赤レンガ倉庫に多くの来場者が足を運び、いつもの賑わいが戻った。 エキサイティングポルシェの魅力は参加者と来場者の距離が非常に近いところにある。ポルシェが好きなクルマ好きにとっては珍しいモデルが間近で見られる貴重な場ともいえるし、オーナーから生の声を聴けるまたとない機会でもある。 エキサイティングポルシェに参加するために愛車をモディファイしたり、このイベントにエントリーすることを目指して仕事を頑張っている若い世代も方もいると聞く。16年間、続けたことで、多くのポルシェオーナー、そしてポルシェファンにとって欠くことのできないイベントになったことは間違いない。 その裏では、このイベントを円滑かつ安全に進行させるべく、事前の準備はもちろん、当日は早朝から夜までフル稼働状態で尽力されたスタッフがいることにも意識を向けたいところだ。なかにはイベントの設営のためだけにわざわざ九州から応援に駆けつけるスタッフもいるという。 来年以降もエキサイティングポルシェを継続させるためには、スタッフの皆さんの努力だけでは限界がある。個々の参加者の意識付けがあってこそはじめて整理するのだということを、今回の取材を通じて改めて実感した次第だ。 [ライター・撮影/松村透]
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