2023年6月28日〜7月2日の5日間にわたって開催されたバンコクオートサロン。東京オートサロンとの違いはいくつかありますが、ユーザーによる車輌展示がある点が大きな特徴といえるでしょう。それも、単に駐車場に集合しているのではなく、テーマに合わせてそれぞれ集められています。 今回は、オートサロン会場内外で展示されていたユーザー所有のクルマを、90年代JDMを中心に紹介します。 >>バンコクオートサロン2023全体のレポートはこちらhttps://www.qsha-oh.com/historia/article/bangkok-auto-salon-2023/ ユーザー展示という意味ではアジア最大 アジア最大規模のカスタムカーイベントと銘打っているバンコクオートサロンですが、実際の展示スペースは残念ながら東京オートサロンの規模に遠く及びません。しかし、バンコクオートサロンの特徴の1つ、ユーザーによる車輌展示という面では本当にアジア最大規模だと思われます。 会場内の展示スペースはメーカー同等の広さ 個人所有の車輌展示エリアとして用意されたスペースには「インフルエンサー&カークラブゾーン」と名付けられ、広さはホンダやマツダといったメーカーのエリアとほぼ同等でした。カスタムカーや90年代JDMへの関心の高さがうかがえます。 展示されていた車輌からは、日本車に対するオーナー愛を強く感じました。いかにもデモカーらしい派手なエアロやホイールを装備しているものもありましたが、純正形状を活かした品のよいカスタムカーも多数あり、展示のためではなく好きだから所有していることがよくわかります。 オリジナルへのリスペクトを感じる80スープラ 写真の80型スープラのオーナーは、意外にもまだ若いご夫妻でした。ちょうどご来場していたためお話を聞くと、「もったいなくて日常的には乗っていないけど、この型のスープラが大好き。これからも大事に乗っていきたい」とのこと。80スープラの官能的なボディラインを崩すことなく、効果的に装着されたエアロパーツが印象的でした。 屋外展示だけでも見に行く価値あり バンコクオートサロンでは、会場外にもユーザー車輌の展示エリアが設けられています。屋外の展示エリアは、日替わりでテーマが異なる点が最大の特徴です。広大な駐車スペースを利用して、ホンダデー、トヨタデー、車種別ではロータリーデーなどのテーマに合わせてファン垂涎のJDMが集まります。母体は各車種のオーナーズクラブやチューニングショップが中心のようで、展示車輌を持ち込んでいるオーナーもイベントを楽しんでいる様子でした。 また、開催時間中に車輌の入れ替えが行われるため、エンジンをかけて動く様子も間近で見られます。さらに、オーナーが近くにいれば話を聞くことも可能で、和気あいあいとした雰囲気が漂っていました。 日程の都合上、全ての展示を見られませんでしたが、気になったクルマの写真をいくつか紹介します。 タイで人気のA31セフィーロ 日産デーでは、A31セフィーロが多数集まっていました。タイでも生産されていた車種で、現在でも入手しやすく人気が高いようです。カスタマイズとしては、日本でも定番の2JZエンジンへの換装をしている車種が目立ちました。一方で、純正に近い状態のまま大切に乗っているオーナーも多く、写真のクルマのオーナーは「実はもう1台所有しているほどA31セフィーロが好き。タイでは、ドリフトをする人にとってポピュラーな車種ですよ」とタイのセフィーロ事情を教えてくれました。 生粋のVTECファン3人組 EF型シビック3台で来ていた3人組は、VTECが大好きで日本にも来たことがあるそうです。持ち込まれていたのは、シャトル、セダン、そしてEF9ではなくEF3という、いずれも珍しい3台。特にシビックシャトルは、低年式に関わらず綺麗に整備されたエンジンルームが印象的でした。ほかにも、王道のB16Aエンジン搭載のEG型シビックも所有しているそうで、3人とも口をそろえて「I like VTEC and HONDA」と笑顔で話してくださいました。 細部にこだわりをみせるタイのカスタムカー タイのカスタムカーは、オーナーの個性が色濃く反映されています。派手なリバリーから、キャリパーメーカーへのこだわりまでバンコクモーターショーの屋外展示で見かけた車輌を一挙紹介します。 なぜかスバルの「555」リバリーを施したトヨタ MR-S 外観だけではなくタイヤはPOTENZA、キャリパーはSPOONと細部にもこだわりをみせるS2000 本物のゼロファイターエディションかどうかは不明だが綺麗なランエボVI カスタムカーを愛するマインドは日本人以上 バンコクモーターショーで展示されていたJDMを見ながら、各クルマのオーナーと話していると懐かしさを感じました。学生の頃に愛車を前に、友人と取り留めもない会話を延々としていた感覚です。オーナーのみなさんが比較的若かったせいもあるかもしれませんが、「好みに仕上げたクルマをぜひ見てほしい」「もっとかっこよくしたい」といった感覚は、日本とまったく変わりません。 日本車がこれだけ愛されているという事実を日本人として誇らしく感じたと同時に、改めてクルマを楽しむという感覚を思い出させてくれました。展示会場そのものの広さは東京オートサロンに敵いませんが、オーナーの熱量は日本人以上です。屋外展示を見る目的だけでも、カスタムカー好きの方は一度バンコクオートサロンに足を運んでみてはいかがでしょうか。 [執筆・撮影 / 渡邉 篤]
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