トヨタ アリストは、1991年10月~2004年12月まで2世代にわたり販売されたラグジュアリースポーツセダンです。シンプルでありながら存在感があるエクステリアデザインや質感の高いインテリア、高性能エンジンを搭載するアリストは、販売が終了した現在でも高値で取引されることがあります。今回は、アリストがどのような車だったのか、現在の中古車事情とあわせて解説します。アリストの売却時期を検討している方は参考にしてみてください。 アリストとは トヨタ アリスト(ARISTO)は、1991年10月~2004年12月まで2世代にわたり販売されたラグジュアリースポーツセダンです。 1991年10月~1997年8月まで販売されていた初代アリストは、トヨタ高級セダン「クラウンマジェスタ」と基本シャシーを共有するスポーツセダンとなっています。デザインは、ジウジアーロ主宰のイタルデザインによるもので、横長のヘッドライトやリアコンビランプが特徴です。また、空気抵抗値(Cd値)が0.30を達成していることもトピックといえるでしょう。 搭載エンジンのラインナップは、230PSを発生する3.0L直列6気筒自然吸気(2JZ-GE型)と280PSを発生する3.0L直列6気筒ツインターボ付(2JZ-GTE)の2種類。グレードは、自然吸気エンジンが「3.0Q」、ツインターボエンジンが「3.0V」です。トランスミッションは4速オートマチックのみの設定となっています。 1992年10月には、セルシオにも搭載される4.0LのV型8気筒エンジンに4WDを組み合わせた「4.0Z i-Four」を追加。1993年に北米で展開しているレクサスブランドの「GS」として販売を開始しました。 1997年8月に2代目へフルモデルチェンジします。デザインは、初代アリストの造形を受け継いだシンプルなスタイリングで、ヘッドライトやリアコンビランプが4灯タイプになりました。インテリアは、ソフトパッドやレザーシートなどを採用し、上質感ある空間となっています。 エンジンおよびグレードは、230PSを発生させる3.0L直列6気筒のVVT-iの「S300」、280PSを発生させる3.0L直列6気筒ツインターボの「V300」の2種類です。V300のツインターボエンジン(2JZ-GTE)は、トヨタのスポーツカーであるスープラと同じものを搭載しています。2代目アリストのツインターボエンジン搭載モデルは、4ドアのスープラとも言えるスポーツセダンで、生産が終了した現在でも人気です。トランスミッションは、4速ATのみとなっています。 2000年7月に実施されたマイナーチェンジでは、フロントグリル、16インチアルミホイール、リヤコンビネーションランプなどのデザインを変更し、メータークラスターの色も変わりました。また、S300のトランスミッションは、ステアシフトマチック付5速ATになりました。さらに、本革シート&本木目ステアリングホイール、本木目ドアパネル、オートレベリング機能付ディスチャージヘッドランプなどを装備した「ウォールナットパッケージ」がS300に新設定されています。 スープラと同じエンジンをグレードを用意していたスポーツセダンの2代目アリストは、2004年12月まで販売されました。 アリストは高騰している? アリストは、時間が経過しても中古車価格が下がりにくいことから、実質的に価格が高騰していると言えるでしょう。 一般的に車は、時間が経過すると価格が下がっていく傾向にあります。しかしアリストは、2022年3月時点の中古車平均価格が109万6,000円、初代アリストの中古車価格が約80万円~約250万円、2代目アリストの中古車価格が約20万円~約250万円です。価格の推移を見てみると、時間が経過しても価格が横ばい、または値上がりしているといえます。 高値になりやすい人気グレードは、初代アリストの「4.0Z i-Four」と2代目アリストの「V300」です。 初代アリストの「4.0Z i-Four」は、セルシオやクラウンマジェスタなどの高級車にも採用されたV8エンジンを搭載しているグレードであるため、値下がりしにくいと言えるでしょう。 2代目アリストの「V300」は、トヨタのスポーツカーとして知られるスープラ(80系)にも採用された直列6気筒ツインターボエンジンを搭載していることから人気となっています。 高級車やスポーツカーにも採用されたエンジンを搭載するアリストは、アメリカの「25年ルール」(製造から25年以上経過していれば右ハンドルの車をアメリカへ輸入できるというルール)により、アメリカへ輸入されてしまう可能性が高いでしょう。アメリカへ渡るアリストが増えれば、希少価値が高まることで価格がさらに上昇するかもしれません。 アリストはもう値上がりしない? 所謂「旧車バブル」でアリストの価格は高騰していました。しかし、そのバブルが崩壊するのも間もなくと言われています。新型コロナウイルスの蔓延による外出の自粛で、旧車や腕時計、骨董品など、目で見るだけでも楽しめるものにお金をつかう方が増えました。この消費行動の変化が、旧車の価格高騰にも大きな影響を与えたと言われています。しかし、昨今では外出の自粛要請も緩和されて人々の生活は元に戻りつつあり、コロナ禍で価格が高騰したものがどんどん値下がる可能性があります。事実、アメリカの中古車販売大手の「カーバナ(Carvana)」の株価は、新型コロナウイルス流行初期に比べて99%も下落しました。(※2022年12月時点)日本にとっても決して対岸の火事とは言えません。今後、アリストの中古車価格は下降へと向かうことが予想されるでしょう。売却をご検討されているのであれば、値下がり前の今がチャンスです。 価格が高くなりやすいアリストの特徴 価格が高くなりやすいアリストは、メンテナンスが行き届いている車両、V8エンジンや直列6気筒ツインターボエンジンを搭載している車です。ここからは、これらの車両が高値になる理由を詳しく解説します。 こまめにメンテナンスをしている メンテナンスが行き届いている車両は、売却時の価格が高くなりやすいです。ボディやホイールなどの外装、シートやインテリアパネルなどの内装をきれいな状態にしておくと、高い評価となるため、売却額も高くなります。 また、エンジンやトランスミッション、サスペンションやタイヤなど機械系のコンディションが良好で、いつでも動かせる状態になっていると、市場に出す前の修理や手入れの必要がないため、買取額が高くなることがあります。 こまめなメンテナンスをしておけば、車を良い状態に保てるだけではなく、売るときにも高く評価されるため、定期的な点検や手入れをしておきましょう。 V8エンジンを搭載した「初代アリスト」 初代アリストの4.0LのV型8気筒エンジンを搭載した「4.0Z i-Four」は、走行性能を求めるユーザーから支持を得ており、高値で推移しています。 初代セルシオ/レクサス LSやクラウンマジェスタなどの高級車にも搭載されていたV型8気筒「1UZ-FE型」エンジンは、静粛性が高く、パワーがあることから、時間が経過した今でも人気があります。 エンジンスペックは、最高出力260PS(191kW)/5,400rpm、最大トルク36.0kgm(353Nm)/4,600rpmで、スムーズな加速や振動の少なさが特徴です。 全域でトルクフルなエンジンを搭載した「2代目アリスト」 2代目アリストには、トヨタのスポーツカー「80スープラ」にも採用されていた3.0L直列6気筒ツインターボエンジンを搭載する「V300」をラインナップしていました。 V300の直列6気筒ツインターボエンジン「2JZ-GTE」は、最高出力280PS(206kW)/5,600rpm、最大トルク46.0kgm(451Nm)/3,600rpm。優れた加速性能を発揮するエンジンにより、2代目アリストは国産車最速セダンの異名を持ちます。国内が問わず人気がある「2JZ-GTE」は、エンジンそのものに価値があることから、高い価格になりやすいのです。
...続きを読む