S2000は、1999年4月に登場したホンダのピュアFRスポーツカーです。2009年6月の生産終了までの約9年間で、国内累計2万台、全世界累計11万台以上を販売しました。現在でもホンダのスポーツカーを象徴する1台として高い人気があり、多くの愛好家に親しまれていることから、中古車価格が高騰しています。今回は、ホンダのピュアスポーツカーS2000の概要や中古車事情、価格が高くなりやすいS2000の特徴を解説。売却検討中の方は参考にしてみてください。 S2000とは ホンダ S2000は、1999年4月に販売を開始し、2009年6月まで生産された2シーターのオープンスポーツカーです。ロングノーズ・ショートデッキスタイルのエクステリアデザインに、F1マシンのコックピットを感じさせるインテリアを備えています。ソフトトップルーフは、約6秒で開閉できる電動式です。 特筆すべきは、9,000rpmがレッドゾーンとなる2.0L直列4気筒自然吸気エンジン「F20C型」をボンネットに縦置き搭載していることです。エンジンスペックは、最高出力250PS/8,300rpm(最大回転数9,000rpm)、最大トルク22.2kgm/7,500rpmと1リッターあたり125馬力を発生させる高回転・高出力型。トランスミッションは、6速MTを採用しています。 S2000は、オープンカーでありながらクローズドボディと同等以上の剛性と衝突安全性を実現した「ハイXボーンフレーム」が大きな特徴です。ハイXボーンフレームは、ボディ中央部のフロアトンネルをメインフレームの一部として活用し、フロアトンネルを前後のサイドメンバーと同じ高さで水平につなぐX字型の新構造となっています。 ボディサイズは、全長4,135mm、全幅1,750mm、全高1,285mm、ホイールベース2,400mm。前後重量配分は、50:50です。 S2000の歴史 2000年7月には「type V」を発売しました。S2000 type Vは、世界初のステアリング機構となる「VGS」を搭載していることが特徴です。「VGS(Variable Gear ratio Steering)」とは、車速応動可変ギアレシオステアリングのことで、低・中速でハイギアレシオになりクイックなハンドリングを実現する機構となっています。シャシーは、ダンパーおよびスタビライザーのセッティングをコーナリング時の車体内側のリフトを抑える方向性へ調整しました。また、トルクセンシングタイプのLSDの駆動力配分比率を専用セッティングすることで、ハンドリングのレスポンスを高めています。 2001年9月には、スタビリティを高めるために、サスペンションを熟成させました。あわせて、タイマー付き熱線入りガラスのリアウインドウ、アルミ/本革巻コンビシフトノブ、アルミフットレスト、ロック付センターコンソールボックス、可倒式ウインドディフレクター、サイドドアネットを標準装備しています。 2002年10月に特別仕様車「ジオーレ」を設定しました。エクステリアの専用色は、ダークカーディナルレッド・パールとローヤルネイビーブルー・パールで、いずれにもボンネットからリアフェンダーにかけてゴールドのピンストライプが入っています。ドアミラーはクロームメッキ仕上げで、ゴールドのBBSの鍛造アルミホイールを装着。インテリアは上質なキルティング加工が施された専用タン色の本革シート、ドアライニングパッド、センターコンソールを採用しています。なお、ジオーレとは「喜ぶ・楽しむ」を意味するイタリア語です。 2003年10月には、ホイールのサイズアップや各部の剛性アップをしました。タイヤは、前輪(215/45R17 87W)・後輪(245/40R17 91W)の前後異幅タイヤを採用し、ホイールが従来の16インチから17インチへと大径化しています。また、フロントとリアのサイドフレーム間をつなぐパフォーマンスロッドの追加、結合部の強化によりボディ剛性を高めました。サスペンションは、リアのアッパーアームのブッシュ容量をアップし、新設計のスプリング・ダンパー・スタビライザーを装備しました。デザインは、ホイールの17インチ化にともないアルミホイールの新デザインへ刷新、ヘッドライトとリアコンビランプ、前後バンパーのデザインも変更しています。インテリアは、センターコンソール、オーディオリッド、メーターのデザインなどを一新しました。 2005年11月には、エンジンの排気量が2.0Lから2.2Lになるという大きな変更が実施され、型式が従来の「AP1」から「AP2」となりました。エンジンは、従来の9,000rpmがレッドゾーンの2.0Lエンジンから、8,000rpmがレッドゾーンとなる2.2L「F22C型」を搭載。エンジンスペックは、最高出力242PS/7,800rpm、最大トルク22.5kgm/6,500~7,500rpmとなり、ゴールドのエンジンヘッドカバーが装備されています。 2.2Lエンジンは、最大回転数が低くなったものの、低・中回転域から力強いトルクを発生する特性により、日常使いでも運転しやすくなりました。また、自然なアクセルフィールを実現する電子制御スロットルDBW(ドライブ・バイ・ワイヤ)を採用しているのもトピックです。デザインは、アルミホイール、ステアリングホイール、センターコンソールなどを変更。また、シート形状も変更され、メーターに外気温の表示の追加やブラウンのインテリアカラーも追加しています。 2007年10月には、VSAを全タイプに標準装備し、「TYPE S」を追加。VSAとは、Vehicle Stability Assistの略で、ABS・トラクションコントロール・横滑り制御を組み合わせた総合車両制御システムです。VSAの採用によりS2000は、VSAにより安心感が高いスポーツモデルとなりました。また、空力性能で操る喜びを高めた「TYPE S」を追加しています。 S2000 TYPE Sは、空力を利用して車体のリフトを抑え、タイヤの接地圧を高めて前後のグリップバランスを最適化し、フロントの回頭性を高めるシャープなセッティングをしたグレードです。TYPE Sには、専用のブラック&イエローのファブリックシートや球形のアルミシフトノブを採用しているのが特徴となっています。 その後S2000は、2009年6月に生産を終了しました。 S2000は高騰している? S2000の中古車価格は高騰しているといえるでしょう。走行距離が伸びて、修復歴がある車体であっても、200万円前後の価格で販売されています。また、走行距離が短く、外装・内装の状態が良い車両になると、500万円以上も珍しくありません。このことからも、S2000の価格は高騰していて、高い水準で価格が推移しているといえます。 S2000はもう値上がりしない? 所謂「旧車バブル」でS2000の価格は高騰していました。しかし、そのバブルが崩壊するのも間もなくと言われています。新型コロナウイルスの蔓延による外出の自粛で、旧車や腕時計、骨董品など、目で見るだけでも楽しめるものにお金をつかう方が増えました。この消費行動の変化が、旧車の価格高騰にも大きな影響を与えたと言われています。しかし、昨今では外出の自粛要請も緩和されて人々の生活は元に戻りつつあり、コロナ禍で価格が高騰したものがどんどん値下がる可能性があります。事実、アメリカの中古車販売大手の「カーバナ(Carvana)」の株価は、新型コロナウイルス流行初期に比べて99%も下落しました。(※2022年12月時点)日本にとっても決して対岸の火事とは言えません。今後、S2000の中古車価格は下降へと向かうことが予想されるでしょう。売却をご検討されているのであれば、値下がり前の今がチャンスです。 価格が高くなりやすいS2000の特徴 価格が高くなりやすいS2000は、メンテナンスが行き届いている車両です。S2000には、大きく分けると2.0Lモデルと2.2Lモデルがあり、それぞれのモデルに根強いファンがいるため、どちらのエンジンでも高値で取引されています。ここからは、高値になりやすいS2000について詳しく解説します。 こまめにメンテナンスをしている S2000は、内装や外装の手入れはもちろん、高回転・高出力のエンジンのハイパフォーマンスを発揮できるよう、コンディションを維持しておくと、高額査定となりやすいでしょう。 2.2L前期モデル(AP2 100系) 2.2L前期モデル(AP2 100系)は、2005年11月~2007年10月まで販売されたS2000です。外装や内装、エンジンなど機械系の状態が良ければ、500万円以上の価格になることもあります。また、ワンオーナー車や走行距離が短い車両については、さらに高値になるでしょう。 S2000 2.0L中期モデル 2.0L中期モデルは、2001年9月〜2003年10月まで販売されたS2000です。見た目の大きな変化はないものの、走行性能や質感を向上しています。基本性能を高めたS2000 2.0L中期モデルは、流通台数が少ないため、希少価値が高く、高値で取引されているケースが多いです。車両の状態が良ければ、400万円以上になることもあるでしょう。 S2000 2.0L後期モデル 2.0L後期モデルは、2003年10月〜2005年11月まで販売されていたS2000です。走行性能やホイールのサイズアップ、外装や内装のデザイン変更が行われ、2.0Lエンジンを搭載する最後のモデルであるため、非常に人気が高いです。車両のコンディションが良好であれば、500万円以上になることもあるでしょう。
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