芝浦工業大学の計算手法「Ozaki Scheme II」がNVIDIAのGPU開発基盤CUDAに採用
計算手法「Ozaki Scheme II」が、米NVIDIA社のGPU開発基盤「CUDA」の最新版である「CUDA Toolkit 13.4」に採用されました。本手法は、芝浦工業大学システム理工学部の尾崎克久教授らによって考案されたもので、AI向けの低精度計算を数学的に組み合わせることで、科学シミュレーションに必要な高精度な倍精度計算を大幅に高速化します。
GPUにおける科学技術計算の課題と解決策
近年、GPUはAI開発への最適化により低精度計算の性能が飛躍的に向上していますが、一方で気象予測や耐震設計といった高い精度が求められる科学シミュレーションでは、倍精度計算の性能を引き出しにくいという課題がありました。尾崎教授らが開発した「Ozaki Scheme II」は、AI向けに強化されたGPUの低精度演算器を数学的なアプローチで活用し、倍精度計算と同等の精度の結果を高速に導き出す技術です。NVIDIA Ampere世代以降の既存のGPU上でソフトウェアとして動作し、特別なハードウェアの追加を必要としません。
国際的な注目と研究の歩み
本手法は2026年9月に「CUDA Toolkit 13.4」へ正式採用され、国内外の重要な計算基盤で活用が進んでいます。理化学研究所が開発を進める次世代スーパーコンピュータ「富岳NEXT」や、米国エネルギー省の科学研究プログラムでも本手法の活用が報じられています。また、AI向けGPUの倍精度演算性能が後退するなか、本技術は主要な計算処理で精度を保ちつつ性能を回復させる手段として、計算基盤のあり方そのものにも影響を与えています。
尾崎教授による研究は長年にわたり進化を続けており、2012年の「Ozaki Scheme I」発表に始まり、2025年には原理の異なる「Ozaki Scheme II」が開発されました。今後は連立方程式や固有値計算など、行列計算以外の幅広い分野への適用が期待されています。
まとめ
芝浦工業大学の尾崎克久教授らが考案した「Ozaki Scheme II」がCUDAに搭載されたことで、日本の基礎研究の成果が世界中の科学技術計算を支える基盤となりました。この技術は性能向上だけでなく、電力効率の改善にも寄与し、より広範な研究現場での高度なシミュレーションを可能にします。
関連リンク
https://link.springer.com/article/10.1007/s11075-011-9478-1