無意識の「ぽかん口」は顔立ちにも影響する?/歯学博士・照山裕子
スマホを見ている時や仕事に集中している時、ふと気づくと口がぽかんと開いたままになっていませんか。就寝中のいびきや、起床時の口の渇きも、口呼吸を疑うきっかけになります。前歯に着色汚れが残りやすい方は注意してみてください。
本来、安静時の呼吸は鼻で行うものです。鼻は空気を温め、湿らせ、異物を取り除くシステムを持っています。一方、口で呼吸すると口が乾き、汚れなどを洗い流す唾液(だえき)の自浄作用が働きにくくなります。いわば、警備中の門番を居眠りさせているようなもの。あっという間に外敵に攻め込まれ、風邪や感染症のリスクも上がります。
注目したいのが、成長期の顔立ちとの関連です。2021年に発表された10件の研究を統合した解析結果では、口呼吸の子どもは鼻呼吸の子どもに比べて、あごの骨や前歯の傾斜に違いがある傾向が示されました。こうした研究の多くは観察研究であり、口呼吸の習慣だけが顔面の骨格を変えたと断言はできません。大人の顔のたるみは口呼吸で起きるという強いエビデンスもありません。「口を閉じれば小顔になる」といった宣伝などもよく見かけますが、安易に信じないことです。
大切なのは、鼻呼吸に戻す意識です。人間が健康に生活するには欠かせない要素だからです。いま口呼吸になっている人は、なぜ口が開いてしまうのかをしっかりひもとくこと。いびきを指摘される、睡眠時に呼吸が止まっている、日中に強い眠気がある場合は睡眠時無呼吸症候群の対策も必要です。
まずは今すぐ、起きている時に無理なく唇が閉じられるか、鼻でスムーズに息ができるかを確認しましょう。鼻が詰まって苦しいようなら耳鼻咽喉(いんこう)科へ、口の渇きや歯並びが気になる(前歯が出ていて閉じられない)場合は歯科へ相談するのが解決の近道です。呼吸の通り道と健康は直結しているのです。