歯学博士・照山裕子の「口から老ける人、若返る人」

医療機関では日々さまざまな世代の患者さんにお会いします。カルテに記載された情報が正確でなければ診察ができないシステムであるが故に、同じ年齢であっても若々しく見える人とそうでない人がいることを体感する職業ともいえます。

見た目年齢の違いがどこにあるのか、皆さんはご存じでしょうか。肌ツヤや髪のボリューム、姿勢などを思い浮かべる方が多いかと思いますが、意外と見落とされがちなのが「口元」です。

例えば、笑ったときに見える口元。黄ばみや着色、歯ぐきの状態は顔全体の印象に影響します。歯が白ければ白いほど良いというわけではありませんが、自然で清潔感のある口元は若々しい印象につながります。また、歯を失ったままにしていると、かみ合わせや筋肉のバランスが変化し顔のゆがみを引き起こすことも。

そして何より、見た目以上に注意したいのが「口の機能」です。最近、歯科医療の分野で重要視されているのが「オーラルフレイル」。かみにくい、食べこぼす、滑舌が悪くなる、食事中にむせるなど、口の機能が少しずつ衰えていく状態を指します。こうした変化を単なる加齢のせいと見過ごしてしまうと、食生活や栄養状態にも影響する可能性があります。反対に、小さな変化に早く気づいて適切なケアを行えば、口の機能を維持し、老化を食い止められる大切なポイントになります。口元の若々しさを保つために大切なのは、歯の見た目だけを整えることだけではありません。丈夫な歯でしっかりかみ、おいしく食べ、自然に笑えること。その積み重ねが、健康的で生き生きとした毎日の基盤になるのです。

この連載では、歯科医学の最新知見を元に、口から始める健康と若々しさの秘訣(ひけつ)を存分にお伝えしていきます。

◆照山裕子(てるやま・ゆうこ)歯科医師・博士(歯学)。口と全身の健康に関する解説を行う「口腔ケアの伝道師」として様々なメディアに登場。「“食べる力”を落とさない!新しい『歯』のトリセツ」(日経BP)「口の強化書」(アスコム)ほか著書多数。

情報提供元: 日刊スポーツ_ライフスタイル
記事名:「 同じ年齢でも若く見える人、その違いは「口元」/歯学博士・照山裕子 」