肥満の改善、肥満症の治療には「スティグマ」が大きく関係/日本肥満症予防協会・宮崎滋理事長
「肥満の改善」「肥満症の治療」には、「スティグマ」が大きく関係しています。スティグマとは“差別”です。社会一般のみならず医療関係者なども、肥満者に対して“だらしないから”など、いろいろ差別してみています。また、肥満者自身も“自分はだらしない人間”、と低く評価する「自己スティグマ」になっています。このままでは、肥満症を改善する1歩がなかなか踏み出せないのです。
自己スティグマになっている人を改善するには、できるだけ自己スティグマをなくして病院にアクセスしやすい状況を作ってあげること。そして、受診された時には、担当医は「やせてから、また来なさい」という対応ではなく、「あなたは肥満症です。肥満症は病気ですからしっかり治療をしましょう」と肥満者の手を引いて歩み出すべきです。
少し前まで、「肥満者は生活習慣が悪いから」と、肥満原因の100%が環境因子という判断でした。しかし、今、肥満原因の50%は遺伝因子、残り50%が生活習慣とはっきりしました。50%の遺伝については、自分自身がいかに努力しても治せるものではないので、そこを理解したうえで対応すべきです。ここは医療関係者にも理解してほしい点です。
患者さんも“自分が悪いのは半分”と考え、残り半分の肥満症治療にしっかり取り組んでほしいと思います。そのためにも、しっかり主治医など医療関係者と話し合い、肥満症を正しく理解して治療をしましょう。ここまでに紹介した「行動療法」「食事療法」「運動療法」「薬物療法」などを正しく実践することで、問題なく歩めます。
肥満症に苦しむ患者さんが、適切な治療にアプローチできる社会にすべく、私たち肥満症専門医や日本肥満症予防協会はしっかり取り組んでいます。そして、スティグマのない社会に--!(おわり=医学ジャーナリスト松井宏夫)
◆宮崎滋(みやざき・しげる)結核予防会総合健診推進センター所長、日本肥満症予防協会理事長。1971年(昭46)東京医科歯科大卒。東京逓信病院副院長、メタボリックシンドローム診断基準検討委員、肥満症診療ガイドライン作成委員長を歴任。肥満症の怖さ、予防の重要性を啓発。