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模型作品をより魅力的に見せたいとき、撮影の構図やライティングにこだわるのはもちろんのこと、「背景選び」も大きなポイントになります。しかし、理想の背景を用意するには、ジオラマを組んだり特別な撮影環境を整えたりと、時間や手間がかかるものです。そんな中で注目されているのが、AI技術を活用した画像編集ツール「Photoroom」です。
このアプリは、画像に写っている被写体を自動で見分けて背景をきれいに切り抜くことができるのが大きな特長です。人物の髪の毛のような繊細な部分まで高精度で処理できるため、プラモデルやミニ四駆のように細かい造形を持つホビーアイテムとの相性も抜群です。
実際にミニ四駆のイベントなどでMCを務めるタミヤのMCガッツさんも、Photoroomを使った感想として「ミニ四駆や人物も素早く正確に切り取ってくれますよね」とその精度の高さを評価していました。また、「背景をジオラマで再現するのは大変なので、Photoroomを使えば非常に便利」と語るように、ホビーファンにとっても手軽で実用的なツールとして受け入れられている様子がうかがえます。
Photoroomの背景除去技術は、これまで以上に“作品を魅せる”楽しさを広げてくれそうです。
今回のコラボ企画では、タミヤ製のプラモデルやミニ四駆の写真をPhotoroomで加工し、SNSに投稿するキャンペーンが実施されました。参加者は、Photoroomが用意したタミヤコラボテンプレートや背景生成機能を活用し、自分の作品をより魅力的に演出。投稿数は200件を超え、多くのユーザーが創意工夫を凝らした一枚を披露しました。
テンプレートには、静岡にあるタミヤ本社前や掛川サーキット、イベント会場であるTAMIYA PLAMODEL FACTORY TOKYOの展示ゾーンといった“聖地”の風景が用意されており、そこに自分の模型を合成するだけで印象的なビジュアルが完成する仕組みです。中にはテンプレートを使わず、自分なりの表現に挑戦した作品もあり、背景のアイデアや加工テクニックに個性が光っていました。
中でも印象的だったのは、タミヤMCとしても知られるガッツさんの作品です。ミニ四駆の写真に「ロックな雰囲気を出したい」と背景ワードに「ロック」と入力したところ、なんと“南京錠”の画像が表示されるというユニークな展開に。しかし、その南京錠がチェーンにつながれている様子を見て「これはこれでミニ四駆がロックしている感じがしてアリかも」と受け入れてしまう柔軟さと遊び心が、AIと向き合う姿勢として微笑ましく映りました。
SNSという場を活用しながら、模型の魅力と加工技術の可能性を掛け合わせていくこの取り組み。誰もが自由に作品を“魅せる”楽しさを味わえる時代が、すぐそこまで来ているのかもしれません。
表彰イベントのゲストとして登壇したのは、お笑いコンビ・令和ロマンの松井ケムリさん。ミニ四駆好きを公言しており、自身のYouTubeチャンネルでもミニ四駆企画を配信していることから、このコラボイベントとの親和性は抜群でした。
イベントでは、自身とミニ四駆のエピソードを交えた軽妙なトークが繰り広げられました。コンビの相方「くるま」さんが一時活動を休んでいた時期に、「相方がいないなら、もうミニ四駆を作って相方にしよう」と思い立ったというエピソードは会場の笑いを誘いました。名前が“くるま”であることとミニ四駆をかけたその発想は、ユーモアと愛情に満ちています。
また、最近第一子が誕生したばかりという松井さん。まだ生後1ヶ月で外出は難しいものの、「Photoroomを使えば、子どもの写真を切り抜いて世界中どこへでも連れて行ける」と語り、溺愛ぶりも垣間見えました。将来的には「子どもと一緒にミニ四駆を作って遊びたい」というコメントもあり、ホビーを通じた家族の絆づくりへの思いが伝わってきました。
さらに、イベント中には自身で編集したミニ四駆の作品も紹介。ミニ四駆のボディに相方・くるまさんの顔写真を貼り付けるというユーモラスな発想で、「レース」と入力して背景画像を探した際に“カーテンのレース”が表示されるというAIならではの予想外の展開にも、柔軟に対応し、「AIと相談しながら作る感じが面白い」と楽しげに話していました。
この日の松井さんの言葉や表情からは、ホビーへの情熱だけでなく、表現を楽しむ姿勢やユーモア、そしてクリエイティビティの大切さが自然とにじみ出ていました。
イベントの後半には、SNSキャンペーンに投稿された作品の中から選ばれた優秀作品3点の紹介と、表彰が行われました。どの作品も、ただ背景を差し替えただけではない、作り手の個性やこだわりがにじみ出た仕上がりとなっており、加工の可能性と表現の自由度を感じさせるものでした。
特に注目されたのは、背景や光の演出、構図といった細部まで練られた作品の完成度の高さです。AI自動背景機能やテンプレートの活用はもちろん、それぞれの作品に込められた“タミヤ愛”や世界観の表現には、見ている側も自然と引き込まれます。
表彰を見届けた松井ケムリさんも、「小さな模型がまるで現実に飛び出してきたような臨場感がある」「Photoroomを使うことで、模型の世界がどんどん広がっていく」と、受賞作品を称賛。10分ほどで作ったという自身の作品が展示されることに恐縮しながらも、「短時間でもここまでできるのがすごい」とアプリの手軽さにも触れていました。
表彰された作品は、イベント会場であるTAMIYA PLAMODEL FACTORY TOKYOに展示されることも発表され、来場者がじっくりと作品を鑑賞できる機会も生まれました。ホビーの世界において、こうした“魅せる”楽しさが加わることで、より多くの人が作品づくりの新しい魅力に出会えるきっかけになりそうです。
作品をつくるだけで終わらせず、「どう魅せるか」にまで楽しみを広げる。そんな模型文化の新しい広がりが、今回のイベントを通じて垣間見えました。Photoroomのような画像編集ツールを使えば、背景や雰囲気を自由に変えることができ、自分だけの世界観を作品に込めることができます。
これまでは専門的な編集ソフトや撮影機材が必要だった加工表現も、アプリひとつで手軽に実現できる時代。ホビー初心者にとってもハードルが下がり、表現の入口として活用しやすくなってきています。
「1/◯スケール」の世界に、現実感やストーリー性を加えていくことは、まさに作品に“命”を吹き込む作業とも言えます。AI技術とクリエイティブの融合によって、模型の楽しみ方はこれからさらに多様になっていくのかもしれません。
今回の表彰イベントは、そんな新たな時代のホビーの楽しみ方を、ちょっと先取りできるような時間でした。