雨の日が続いたり、久しぶりに晴れたと思ったらまた天気が崩れたり。そんな日々のなかで、「しっかり寝たはずなのに疲れが抜けない」「なんとなく体が重い」と感じていませんか?その不調、もしかすると長雨や日照不足などが重なって起こる「多雨疲労」が関係しているかもしれません。


しかも今年は、いつもの秋とは少し違います。例年ならまだそれほど意識しない8月中旬からインフルエンザの流行が始まり、過去10シーズンの流行入りの中央値と比べて約3か月半も早い状況となっています。


埼玉県では9月25日、2023年以来となる、9月時点でインフルエンザ流行注意報を発令され、ほか沖縄県では10月2日、県内全域にインフルエンザ警報を発令した。9月21日~27日(第39週)に報告された1定点医療機関当たりの患者数は42・50人となり、警報の発令基準30人を超えるなど、すでに流行目前の危機的状況にあります。


天候に振り回されて疲れがたまりやすい時期だからこそ、いつも以上に自分の体調に目を向けたいところです。今回は、国際医療福祉大学市川総合病院の寺嶋毅先生の解説をもとに、「多雨疲労」と感染症の関係や、毎日の暮らしのなかで取り入れたい対策を見ていきます。


長雨でなんだかぐったり…いま気をつけたい「多雨疲労」





今年は残暑に加え、ゲリラ豪雨や台風、長雨など、落ち着かない天気が続いています。9月上旬の関東甲信では、降水量が平年の365%に達した一方、日照時間は平年の31%にとどまり、9月上旬としては統計開始以降、降水量が最多、日照時間が最少※1となりました。


こうした時期に気をつけたいのが「多雨疲労」です。雨の日が続くと、気温だけでなく気圧や湿度も大きく変化します。その変化に繰り返しさらされることで自律神経のバランスが乱れ、疲労につながる可能性があるといいます。


さらに気になるのが、疲れがたまった状態と免疫機能との関係です。長雨や日照不足による疲労が重なれば、免疫力の低下など体のコンディションにも影響する可能性があります。「最近なんとなく疲れているだけ」と見過ごさず、いつも以上に体調の変化を意識したい時期といえそうです。


そして今年は、こうした疲れが気になる時期に、インフルエンザも例年よりかなり早く流行し始めています。長雨や日照不足が続く今は、疲労をため込まないことも感染症に備えるうえで意識しておきたいポイントです。


疲れをため込むと感染症にも影響?研究で見えてきた関係



「疲れていると風邪をひきやすい」と感じた経験がある人もいるかもしれません。実際に、疲労と感染症の関係については、これまでさまざまな研究が行われています。


オランダで労働者12,140人を追跡した研究※2では、疲労度が高い人ほどインフルエンザ様疾患の発生が多く、発症リスクは1.35倍でした。さらに、高い疲労を2回連続して報告した人では、感染症の発生率が最も高くなったとされています。


日本の看護師を対象にした研究でも、疲労度が増すほど、体を守る働きを担うNK細胞の活性が低下し、NK細胞に関連する細胞の減少がみられました。また、気分の落ち込みや憂うつといった精神的な状態と、風邪の発症との関係を示した研究もあります。


忙しさだけでなく、天候の変化によっても疲れが重なりやすい時期。十分な休息をとり、心身のコンディションを整えておくことは、感染症が気になる季節を過ごすうえでも大切になりそうです。


まだ秋なのに?今年はインフルエンザが異例の早さで流行



インフルエンザと聞くと、冬に流行するイメージが強いかもしれません。しかし今年は、まだ暑さが残る8月17~23日の時点で、全国の定点当たり報告数が1.11となり、すでに流行入りしました。現在の集計方法になった1999年以降では、2009年の新型インフルエンザ流行時に次ぐ早さです。


昨シーズンの流行入りと比べても約5週間早く、さらに過去10シーズンの流行入りの中央値と比べると約15週間、約3か月半も前倒しとなっています。こうした通常とは異なる時期に広がるインフルエンザは、「オフピークインフルエンザ」とも呼ばれています。


気になるのは、流行が早く始まったことだけではありません。寺嶋毅先生は、今年は流行期間そのものが長期化する可能性があり、いったん落ち着いた後に再びピークを迎えたり、シーズン中に何度も波が訪れたりすることも考えられると解説しています。


流行が長引けば、1シーズンの間にA型(H1N1、H3N2)やB型など、異なるタイプのインフルエンザに複数回感染する可能性もあります。「インフルエンザは冬になってから気をつければいい」というこれまでの感覚にとらわれず、早い時期から意識しておきたい状況です。


疲れが気になる今こそ、毎日の暮らしで意識したい3つのこと





インフルエンザの流行が早まっている今年は、特別なことを始めるよりも、まず日々の感染対策や生活習慣を見直すことが大切です。寺嶋毅先生は、マスクの着用やこまめな手洗い・手指消毒、うがいに加え、屋内では30分~1時間に1回を目安に換気することなどを挙げています。


体のコンディションを整えるためには、7~8時間程度の質のよい睡眠や適度な運動、ストレスをため込まない生活も意識したいところです。食事では、脂質や糖質、ビタミン・ミネラルなど、さまざまな栄養素をバランスよく摂ることが基本となります。


なかでも気をつけたいのが、免疫細胞や抗体をつくる材料となる「たんぱく質」です。主食だけに偏りやすい朝食や昼食では不足しがちなため、卵や乳製品など、手軽に取り入れやすい食品を活用するのもひとつの方法です。また、免疫機能を維持するうえでは、多くの免疫細胞が集まる腸の環境を整えることも重要だといいます。


ヨーグルトは、たんぱく質と腸内環境を整える乳酸菌の両方を一緒に摂れる食品のひとつです。食欲が落ちて肉や魚などを重く感じるときにも比較的食べやすく、朝食や間食などに取り入れながら、無理なく日々の食生活を整える選択肢になりそうです。


長雨の疲れをそのままにしない、いつもより早めの体調管理を


「インフルエンザに気をつけるのは冬になってから」。そんなイメージを持っていた人にとって、8月から始まった今年の流行は少し意外だったのではないでしょうか。さらに、長雨や日照不足などによる「多雨疲労」が重なる今は、季節だけを目安にせず、自分の体調にも目を向けたい時期です。


疲れを感じたときは無理を重ねず、十分な睡眠やバランスのよい食事を心がけること。手洗いや換気など、身近な感染対策を続けることも大切です。特別な準備をするというより、普段の暮らしを少し丁寧に整えることが、これからの感染症シーズンへの備えにつながります。


雨が続いてなんとなく調子が出ないと感じたら、それも体からのサインかもしれません。例年とは少し違う今年の秋だからこそ、疲れをため込まず、できることから日々のコンディションを整えて過ごしていきたいですね。


※1)https://weathernews.jp/news/202609/300081/
※2)Mohren DCL, et al. Eur J Epidemiol. 2001;17(12):1081-1087


情報提供元: ナイスコレクション
記事名:「 長雨・日照不足で疲れている人は要注意!「多雨疲労」がインフルエンザ流行リスクを高める? 」