File no. 148

《LORD ELGIN/ロードエルジン

ファッション業界においてのアメリカといえば、数え切れないマスターピースを生み出してきた大国。

現在のカジュアルスタイルを構成する多くのアイテムがアメリカ由来といっても過言ではないだろう。

ただ、そんなファッション大国アメリカでも、実は見逃されがちなアイテムが存在する。

それは"腕時計"だ。

腕時計といえば、現在はスイスや日本が有名だが、実はかつてのアメリカで一世紀にわたり時計産業が輝いた時代が存在した。

今回は、そんなアメリカの時計産業を牽引したブランド《エルジン》と、その高級ライン《ロードエルジン》に注目してみた

い。

 

1800年代の中盤から後半に掛けて、アメリカ東部には複数の時計メーカーが出現した。

彼らは、スイス時計の製法とは大きく異なる規格に基づいて部品を製造し組み立てる"アメリカ方式"と呼ばれる腕時計の大量

生産技術を確立して隆盛を極めた。

《エルジン》はそんな時代の真っ只中の1864年、イリノイ州エルジンにナショナル・ウォッチカンパニーとして創業。

10年後の1874年には、エルジン・ナショナル・ウォッチカンパニーに社名を改めた。

1866年に35エーカー(14万2268㎡)もの土地に自社工場を建設。

増設を繰り返しながら、最盛期には4500人以上の労働者を雇用した。

1930年代には年間製造工数3000万個以上を達成。

名実ともにアメリカン・ウォッチを代表するブランドとして栄華を極めた。

第二次世界大戦が終結した1950年代、アメリカには黄金期と呼ばれるほど自由で豊かな時代が到来する。

シネマ、ミュージック、ファッションのみならず、自動車産業や金融業などのあらゆる分野が急速に発展し、希望と自信に満ち

溢れていた。

そんなアメリカの豊かな時代に誕生したのが、高級ライン《ロードエルジン》だ。《ロードエルジン》は創立以来、ヨーロッパ

の時計技術に追いつき追い越せと、真摯に革新と技術を磨き続けた。

その結果、いつしかデザインと技術は当時のヨーロッパ時計を超え、アメリカを代表する高級時計として社交界を席巻。

世界中の人々の憧れの時計となった。

 

残念ながら《エルジン》は時計産業の衰退と共に1968年に幕を閉じるが、2013年に日本企業の助力により復活。

写真の「レクタンギュラー(ゴールドステンレス)」は復刻第一号モデルとして生まれ変わった一本で、1950年代のアメリカの

黄金期に高級ライン《ロードエルジン》から誕生した名作。

当時の空気感を纏った独創的な意匠が今、再び脚光を浴びている。

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情報提供元: men's FUDGE
記事名:「 【L】LORD ELGIN