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冬の定番ファッションアイテムとしてはもちろん、登山や極地でも使われる究極の防寒着”ダウンジャケット”。なぜダウンは暖かいのか? その暖かさの秘密に迫る。
もともと登山などでのみ使われていたダウンジャケットに注目が集まったのは、1970年代のアウトドアファッションブーム。1990年代後半には、ザ・ノース・フェイスのダウンジャケットが爆発的に大ヒットして、Tシャツの上にそのままダウンを羽織るだけというラフな着こなしがブームに。
2000年代以降は、アウトドア以外のアパレルメーカーからもダウンジャケットが続々登場してカジュアル化が進行。その圧倒的な暖かさから冬の寒さをしのぐ機能的なファッションアイテムとしてすっかり定着した。
では、なぜダウンは暖かいのか。ダウンとは水鳥の羽毛でのことで、水鳥の羽毛を中綿にしたものがダウンジャケット。実はダウンジャケットが暖かく感じるのは、ダウン自体が暖まるわけではなくて、ダウンが含む「空気」がポイントとなってくる。
衣服内を暖かく快適な温度にするためには、外からの冷気を防いで、体熱が外に放出されるのを防ぐ「断熱」が必要となる。これには「熱伝導率」が関わっていて、液体や固体と比較しても圧倒的に熱伝導率が低いのが「空気」。
つまり、ふわふわとしていて隙間にたっぷり空気を保持することができるダウンは、その空気層が強力な断熱材になることで、外からの冷気を防ぎ、体熱が外へ逃げるのを防ぐという仕組みなのだ。クーラーボックスの断熱材として、空気を多く含む発泡ウレタンが使われるのと同じ原理だ。
ポリエステルなどの化学繊維の中綿も、空気を保持することで断熱効果を得ているのはダウンと同じ。化学繊維の技術は日々進歩していて、一部のハイテク素材ではダウンに迫る性能のものも出てきているが、完全にダウンに取って代わるようなものはまだ出てきていない。(プリマロフトなど注目の最新ハイテク化繊については後日紹介)。
ただ、ダウン、化学繊維ともに一長一短があり、汗や水で濡れると保温性が低下してしまうダウンに対して、化学繊維の中綿には水に強いという特性がある。
ダウンの保温力=空気の層が作る断熱効果。ということは、ダウンがどのくらいの空気を貯め込むことができるのかがダウンジャケットの性能を左右することになる。では、その見分け方とは? これを知っておけばダウンの性能が一目瞭然となるダウンの選び方を、次回紹介する。