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乗り物好きのなかで、テッパンのあこがれ生活のひとつと言えるのが「夢の6輪生活」です。これは、クルマとバイクの両方を持って、出かけることを意味します。つまり、クルマにバイクを乗せて楽しんじゃおうというのが「夢の6輪生活」です。
キャンプ場までバイクを積んで行けば、バイクで周囲を走ったり、ちょっと買い物に行ったり、奥まったポイントまで釣りに出かけたりとその機動性は無限大に広がります。
でも、クルマにバイクを積んで……ってコストもかかるしそんな簡単にいくものじゃない、と思っている方も多いことです。ところがそんな「夢の6輪生活」が夢じゃなくて「超・現実的な6輪生活」ができるクルマ&バイクのセットを見つけちゃいました。
アウトドアイベント「GO OUT CAMP Vol.14」の会場に展示されたHondaのN−VAN+クロスカブ110の組み合わせがそれです。N−VANはHondaの大ヒット軽自動車Nシリーズに追加された、軽自動車の商用バンモデルです。
従来の1ボックスタイプのバンは軽トラックをベースとしていたので、運転席の下にエンジンを積んで、後輪を駆動する方式がほとんどでした。ところが。N−VANはN-BOXをベースとしているので、エンジンはフロントのボンネット内にあって、駆動されるのも前輪です。
なので室内のフロアは低くフラットで荷物を積むには最適なパッケージングが行われています。
従来の考え方だと荷物を積むクルマで前輪駆動にすると、駆動輪に十分なトルクが伝わらないとされていたので、FFの商用車はあまりメジャーではありませんでした。
しかし、Hondaはかつてライフ ステップバンというFFの軽バンを製造、その後ステップワゴンでFFワンボックスを成功させ、今や国産ミニバンはすべてFFになりました。その高い技術力を使って、FFでの軽バンを作ったわけです。
N−VANは単純にN-BOXベースのバンモデルというわけではありません。そこにはHondaらしい、技術とアイディアがたんまりと詰め込まれています。
まずは、Nシリーズに共通のセンタータンクレイアウトの採用により、フラットなフロアを可能にしました。この時点でライバルに差を付けたことになります。商用バンだとリアシートは前方に2段階で折りたたむようなものが付けられることが多く、荷物室はフロアパネルがむき出しもしくはビニールシートが貼ってあるような状態であることがほとんどです。
でもN−VANは違います。シートは床下にダイブダウンさせる方式です。荷室という雰囲気はなく、ワゴンのラゲッジルームのような感じです。リアシートと助手席をダイブダウンさせるとそのスペースがフラットになります。
そしてフロアの8カ所にタイダウンフックが設けられているので、バイクはもちろんさまざまなギアを積んで固定しやすくなります。
さらに使い勝手をよくしているのが、テールゲート開口部とサイドドア開口部の設定です。ハイルーフ仕様の場合、テールゲート開口部は高さが1300mm、横幅が1230mmなので、テールゲートからバイクを積み込むときもラクラクです。
今回積まれていたクロスカブC110は、全長は1935mm、全幅は795mm、全高は1090mmですから、さほど小さいわけではありませんが、このサイズなら余裕で積めちゃいます。
さらに助手席側はセンターピラーレス方式なので、開口部の幅が1580mmもあるので、フロントまわりをタイダウンベルトで固定するなどの作業がバツグンにやりやすいです。
クロスカブを積載した状態でもドライバーズシートからの視界は十分に確保されています。助手席を収納した部分も使えるので、ドライバーの視界を確保した状態でバイクを積めるため、運転時も安心です。
N−VANは53馬力の自然吸気エンジンのほかに64馬力のターボエンジンも用意。もちろんターボのほうが力強い走りができますが、自然吸気エンジンもなかなかしっかりした走りをします。自然吸気エンジンには6速のMTも用意されています。
さらに最近のクルマとしては必需品とも言える安全装備も「Honda SENSING」を全車で標準装備しています。
衝突軽減ブレーキ(CMBS)、歩行者事故低減ステアリング、先行車発進お知らせ機能、標識認識機能、路外逸脱防止機能を全タイプに標準装備。ACC(アダプティブ·クルーズ・コントロール)や誤発進抑制機能、LKAS(車線維持支援システム)、後方誤発進抑制機能もCVTモデルに標準で装備。さらに+STYLE FUNにはオートハイビームも装備されます。
今回展示されたN−VANにはレトロなラジオのようなデザインをした蓄電機「LiB-AID(リベイド)E500」も搭載されていました。このモデルは発電機ではなくて蓄電機ですから、使うためにまずはAC100Vで充電しないとなりません。
優れものなのが精密機器も使用可能な正弦波の交流出力が取り出せることです。交流コンセントは2個用意され、5Aの出力が可能。USB端子も備えています。使用量の目安は430Wの1Lの電気ポットなら3回分、18Wの扇風機で約9~15時間程度使えるとのこと。
AC100Vだけでなく、クルマの12Vアクセサリーソケットからも充電可能なモデルも用意されています。この蓄電機「LiB-AID(リベイド)E500」があれば、AC電源がないキャンプサイトでも、スマホ充電はもちろん、パソコンや電気毛布なども使用可能なので、充実したキャンプとなることでしょう。
N−VANは軽貨物車なので税金などの面で乗用の軽乗用車に比べて、さらにお得感があります。自家用軽乗用車の軽自動車税は年間1万800円ですが、軽貨物車の軽自動車税は年間5000円(自家用)です。
でも貨物は車検が1年で面倒では? と思っている方もいるでしょうが、それは勘違いです。軽貨物は初回の車検が2年後、その後も2年ごとの車検ですから最初に1年の差があるだけです。
今回は積んでいるバイクがクロスカブC110で、原付二種になります。原付一種だと1人乗りしかできませんし、二段階右折もしなくてはいけません。
しかし原付二種なら2人乗りも可能、二段階右折も不要です。さらに原付バイクの場合は、任意保険を新たに掛けなくても、クルマの任意保険に「ファミリーバイク特約」をプラスすることで、ある程度の保険が付帯します。
つまり、軽自動車+原付二種は最強の組み合わせとも言えます。一般道の最高速度は60km/hで四輪車と同じです。原付二種のデメリットは高速道路に乗れないことぐらいですが、高速道路のパートはN−VANが担当してくれるから大丈夫です。
唯一の弱点は二輪免許が必要なことですが、普通乗用車の免許を持っていれば、学科試験は免除になります。教習所の場合は実地教習と二輪に関する若干の学科教習で卒業でき、試験場(免許センター)で申請すれば免許が取得できます。
夢だった6輪生活は、今や簡単に手に入る現実の6輪生活になりました。さあ、この世界に足を踏み込んでみませんか? 現実的な6輪生活ですが、楽しさは夢のようかも知れません。
(文/諸星 陽一 写真/前田 惠介)
【関連リンク】
N-VAN https://www.honda.co.jp/N-VAN/
クロスカブ https://www.honda.co.jp/CROSSCUB
LiB-AIDE(リベイド)500 https://www.honda.co.jp/battery/
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