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なので、私はもっぱら飯ごう+バーナー+OD缶で米を炊きます。準備に手間取らず、焚き火を熱源とした時と比べて圧倒的に火加減が簡単。持ち運びもコンパクトでラクです。
ただ、この場合ネックなのは、炊飯のためだけに消費するガスの量が思いのほか多く、コストがかかること。焚き火なら鍋を隣に置いてもう一品作れたりしますからね。
そんな中、新聞紙をガスや薪代わりにして炊飯ができるアイテムがあるとの情報をキャッチ。それがタイガー魔法瓶の「魔法のかまどごはん」です。
こちらがサンプルをお借りした実物です。正直、話を聞いただけでは「新聞紙だけの火力で本当にうまく炊飯できるのか?」と半信半疑。ということで、早速キャンプ場に持っていき、試してみました!
ちなみに、本体とは別売りですが、オプションで専用のポーチも販売されています。かまどやふたは陶器製なので、持ち運ぶ際は何かしらクッション性の高いバッグや収納袋に入れた方が良さそうです。
準備したのは、米、水、新聞紙、軍手、着火具(ライター)。画像には写っていませんが、シェラカップやしゃもじ、箸などの小物たちと時間を測るストップウォッチも用意しました。
まずは通常の炊飯と同様に米に水を吸水させます。待つ間に、今回の燃料となる新聞紙を準備。新聞紙はただ丸めて投入するのではなく、燃焼しやすいように推奨されている方法があります。
最初に見開きの新聞紙を半分に裂き、対角線で折ります。
そして折り目を上にして両端からクシャクシャと丸めて、棒状に形を整えていきます。
完成形はこんな感じ。大体15cmくらいでしょうか。後々わかったことですが、太すぎるとかまどの投入口に引っかかってしまってスムーズに投入できないので、緩く丸めすぎないよう仕上げるのがベターです。
必要な新聞紙の個数は炊飯容量に応じて変わります。今回は3合の米を炊くため、見開きで9枚の新聞紙=18個を使用します。私の地域の朝刊1日分では18個を作るには数ページ足りず、2日分を準備しました。初めてだったこともあり、炊飯中にバタバタ慌てないよう、事前にすべて作っておきます。
吸水が終わったら、早速炊き始めていきます。通常の炊飯器同様、なべにメモリが付いているので、水の調整はラクです。
かまど前面にある投入口に丸めた新聞紙を入れ、着火。このあとは2つある投入口へ左右交互に新聞紙を入れて着火を繰り返します。新聞紙なので火付きもよく、すぐに燃え出しました。
炊き始めに投入する新聞紙6個分は1分30秒間隔で投入。いわゆる「はじめチョロチョロ」に当たる火加減にするための間隔なのでしょう。
この日はほぼ無風でしたが、時折、風が吹くと新聞紙の燃えかすが飛ばされてしまうことも。風が強い日やキャンプ場などで周囲に人がいるときは、少し気をつけた方がいいかもしれません。
7個目の新聞紙を投入したら、ここから間隔を1分に短縮します。「中ぱっぱ」の火加減にするわけですね。これを11本目まで繰り返します。
やってみると、新聞紙を投入している間はなかなか忙しいです(私が撮影をしながらだったこともありますが)。実際、投入した18回のうち、2回で計測忘れに気づき、慌ててストップウォッチを押しました。炊飯中に新聞紙を丸めて準備するのは避け、事前の準備を強くおすすめします。
また終盤になっても飯ごうのように沸騰している感じもあまりわからず、吹きこぼれてくることありません。最後の最後まで、本当にこれで炊けているのか?という不安はありました(苦笑)。
わかりづらいですが、後ろ側から覗いた様子。しっかり燃えていることがわかります。1分間隔で投入する最後の11本目の燃焼が完了したら、10分待機。その後、最後の1本を投入して5分蒸らしたら完成です! 最初の投入から完成まで35分くらいでした。
めちゃくちゃうまく炊けています! 「あの火力でなぜ・・!?」というのが本音ですが、柔らかすぎず固すぎず、焦げもなくて本当にベストな炊き上がりです。
リズムよく新聞紙を投入すだるだけで、火力の調整も一切していません。ガスだろうと焚き火だろうと火加減の調整は必要ですから、そこは驚きました。
新聞紙で炊いたご飯は会心の出来でしたが、1点だけ気掛かりが。我が家は新聞を定期購読しておらず、燃料に使った新聞紙はこのためにコンビニで購入したものなのです。荷物の緩衝材として入ってきた新聞紙を再利用するため保管しておくこともあるんですが、タイミング悪く切れてしまっていました。「ガスでの炊飯はコスパがなぁ……」と引っかかっていた点が、これでは解決できていません。
ところが、そんな我々の懸念点はメーカーもお気付きでした。説明書に挟まれていた1枚の紙では「牛乳パックを使用する場合」の手順が説明されていたのです。公式サイトでは「新聞紙が燃料」と大きく打ち出してあるため気づいていない人も多そうですが、牛乳パックでもいけるらしい!!
発売後もメーカーの方が新聞紙以外の燃料の可能性を模索し続けて、見つけてくれたのでしょう。私の場合、牛乳は常時購入してるし、紙パックのお茶を飲むこともあります。これなら普段の生活の中で調達が可能です。
ということで、次は牛乳パックを燃料にして再チャレンジしてみます。
牛乳パックを開いて縦に切り取り、4分割します。縦に半分折って、次に横に折ったら完成。
仕上がりはこんな感じです。では早速炊飯へ。白米は試してみたので、今回は炊き込みご飯でチャレンジしてみます。
工程は白米と変わりません。牛乳パックを左右の投入口に交互に入れていき、着火します。
新聞紙に比べると、スムーズに着火できないこともあり、途中で牛乳パックの端に切れ目を入れてみることに。そうすると、だいぶ着火が早くなりました。
炊き上がり! 見た目はとてもいい感じです。調味料が入ったせいか、白米ではなかったおこげができましたが、焦げ付いてしまったというほどではありません。ちなみに炊き込みご飯の場合は白米の炊飯で必要な牛乳パックの個数より1/2〜1個多めに入れると補足があったので、1個追加しています。
美味です! 具材を入れると炊飯時の水の対流を邪魔してしまい、芯が残ったり炊きムラがあったりしますが、固さもまったく問題なし。新聞紙同様、うまく炊けたと思います。
牛乳パックの良かった点は、新聞紙のように投入口に引っかかることもなくスムーズに投入できたこと。さらに途中で切れ込みを入れたら着火も早く、個人的には牛乳パックの方が扱いやすかったように感じます。
また新聞紙の時に比べて、牛乳パックの方が灰が少なかったことが個人的に好印象でした。炊飯中も灰が飛んでいくことはほぼありませんでしたね。
最後に余った新聞紙と木の枝でも試してみました。2回の炊飯を経験し、リズムよく投入&着火することがポイントだと実感したので、着火しづらい木の枝はそもそも難しいだろうなという予感はしていますが……いざ、実践!
まず木の枝をかまどに入るように折って長さを揃えます。この準備がすでに大変なので、オススメしません(苦笑)。
新聞紙から始め、木の枝をタイミングで投入しましたが、案の定、まったく木の枝に火がつきませんでした。炊飯の状況を確認するまでもなく、木の枝でのチャレンジは早々に断念。やはり公式で発表されている燃料を使うべきですね!
フィールドテストを終えての率直な感想は、何よりも想像以上にうまく炊けて美味しかったこと。新聞紙や牛乳パックのみの燃料で、さらに簡単な作業だけでここまでおいしく米が炊けるのは驚きました。焚き火の火加減のような熟練も、大掛かりな準備も不要ですからね。
気になった点で言えば、厳密なタイミングでこまめに燃料を投入する必要があることでしょうか。投入間隔が開きすぎると燃え残る原因にもなるようです。もう1点は、陶器ゆえに飯ごうやメスティンなどの炊飯具に比べると慎重な扱いが必要なこと。
とはいえ、新聞紙や牛乳パックを燃料に米を炊くのは飯ごうでは到底無理ですし、手順どおり炊けば、失敗しにくいのも圧倒的な長所です。日常生活の中で無理なく燃料を集めておける点も合理的。
炊飯具でも燃料でも、すべてにメリット・デメリットがあるため、どういう基準でギアを選ぶか、どんな機能を優先するのかによって、炊飯の最適解は人それぞれだなと実感しましたが、こんな単純な作業で失敗知らずな炊飯ができるなら、私は選択肢としてアリだと思います!
最後に欲を言えば、Amazonヘビーユーザーの私としてはダンボールを燃料にした際の炊飯手順が追加で公開されることを願っています! 加工がしづらく、厚さも個体差があるため、ハードルが高いことは想像にたやすいのですが……。もし実現すれば、災害時もさらに便利になるはずです。新たな燃料として牛乳パックが追加されたように、いずれ実現してくれるのではと期待しています!
Report&Text/Masashi Echigo
(問)タイガー魔法瓶 tel:0570-011-101 www.tiger-corporation.com/ja/jpn/product/rice-cooker/kmd-a/
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