アウトドア料理の醍醐味のひとつがバーベキューですが、みなさんはどんなグリルでどんな風に肉を焼いていますか?

薄くスライスされた肉をささっと焼いて定番のタレで食べるのも最高ですが、ときには時間をかけて本格的なアメリカンバーベキューを楽しむのもあり。道具とやり方を変えれば、マンネリ気味なバーベキューも一味違う体験に変わります。

今回は、気になるバーベキューコンロを発見したので、メーカーさんからお借りして、実際にフィールドで使用してみました!

KAMADO Q 16 Mini 198000円

今回お借りしたバーベキューグリルがこちらの「KAMADO Q」。いかにもアメリカの庭に置いてありそうなグリルですが、実はそのルーツは日本にありました。

礎となっているのは、昭和の初めから40年頃まで日本の家庭で使用されていた「蒸しかまど」。基本的な外観や構造はこの「KAMADO Q」と同じで、当時はこの中に羽釜をセットして、美味しい米が炊ける炊飯器として使われていました。

一方で、昭和20年頃「蒸しかまど」はアメリカに輸出され、バーベキューグリルとしての使い勝手の良さから普及し「KAMADO」の愛称で親しまれるようになったのです。

当時の「蒸カマド」と変わらない完成された二重構造。

カマドグリルが炊飯やバーベキューに適している理由は、断熱と保温に優れた構造と素材にありました。

蓋を開くと、中は二重構造。本体に炭を入れた鉢をセットして使用します。二重なうえ厚みもあり、蓋もできるので、外気温が低くても火力が安定するわけです。また、蓋があることで下からの直接の熱だけでなく、熱が全体に回るため、上からも、まんべんなくしっかり熱が伝わります。

さらに素材は、七輪などに使用される珪藻土。断熱と保温、耐火性に優れているので、安定した火力が得られます。熱を逃がしにくい蓄熱の効果があり、遠赤外線により食材がおいしく仕上がります。

本体の外側は耐久性とメンテナンス性に優れた、釉薬が施されているのもポイントです。

火力の調整は七輪のように、本体下部にある開閉式の吸気口でコントロール。

くわえて蓋の上部にも火力のコントロールができる開閉式の排気口があります。下と上を前回にすれば火力が上がり、両方閉じれば消火される仕組みです。

バーベキューグリルとしてアメリカで進化。

海を渡り、「カマドグリル」としてアメリカの家庭の庭の定番アイテムとなっていった「蒸しかまど」。それをさらに日本でブラッシュアップしたのが「KAMADO Q」です。

バーベキューグリルの機能としては、欠かせないのが温度計。アメリカンバーベキューは基本的に塊の肉を蓋をしてスモークしながら焼くので温度管理が重要です。

「KAMADO Q」の温度計には、調理法に適した温度がわかりやすく、表記されています。低温で分厚いブロック肉を長時間スモークしながら焼いたり、超高温でステーキをカリッと焼いたり、幅広いバーベキュー調理が可能です。

焼き網は丈夫なステンレス製。一部が開閉できる作りで、焼き網を外すことなく炭の補充ができるようになっていました。剛性もあるので、重い塊肉を乗せてもたわむことはない。

ちなみに今回は、焼き鳥屋などの飲食店でも使用されている、オガ屑を固めた定番の成形炭「オガ備長炭」を使用。火熾しも比較的しやすく火もちが良いのが特徴です。

「KAMADO Q」で燻製ステーキを焼いてみた。

炭もいい感じになってきたところで、実際に厚さ3センチほどの牛ステーキ肉をスモークしながら焼いてみました。

今回は、アメリカ式にならって、フィールドで拾った杉の枝を水で濡らしアルミホイルで包み、フォークで穴を空け、即席のスモークパックを作って「KAMADO Q」に投入。

温度計の表記は、外側の数字がアメリカなどで使用されている華氏(℉)で、内側の数字が日本などで使用されている摂氏(℃)。

「KAMADO Q」は、通常のバーベキューグリルでは、難しい250℃以上の高温まで温度を上げられます。せっかくなので、高級ステーキハウスのように、高温かつ短時間で表面をカリッと焼くことにしました。

スモークをする際は、中の煙が逃げないように、フタ上部の排気口を閉じておきます。

270℃に達したら、筋を切って常温に戻しておいた肉を焼き網にセット。焼き時間は、15分で焼いてみました。

蓋を開けると、薫香とともにスモークされ良い色に焼けたステーキがお目見え。270℃以上で焼いたので、いつもより表面がカリッとしているように見えます。バーンストライプと呼ばれる網による焼き目もしっかり入り、見た目は上出来です。

焼いたばかりの状態でステーキをカットすると、急激に加熱されて中心部に集まった肉汁が流出して、パサついてしまうので、アルミホイルに肉を包んで15分ほど放置。肉汁を肉全体に行き渡らせます。

ステーキをカットしてみると、ミディアムな焼け具合。今回は270℃で15分焼きましたが、ミディアムレアが好みなら10分ほどといったところでしょうか。しっかり寝かせたので、カットした時の肉汁の流出も最小限にとどめました。

その味はというと、表面が揚がったようにカリッと仕上がり、杉枝の薫香も相まって香ばしい仕上がり。スーパーで購入したアメリカ産の安い牛肉とは思えない、ステーキハウスの味になりました。

燻製されているので、白米よりも、ウィスキーやワインの肴にしたい味わいです。

日本の伝統をルーツにアメリカで進化した国産バーベキューグリル「KAMADO Q」。実際に使ってみると、いつものバーベキューが特別な体験に。安い肉でも高級な味に変わる、かなり魅力的なグリルでした。

ステーキ以外にも、丸鶏を使った料理や、アメリカンなベイビーバックリブなどにも挑戦してみたいところ。

正直、グリル本体は結構な重さと質量がありますが、美しい釉薬の仕上げや堅牢な作りがもたらすウェルメイド感は心くすぐられるものがあります。

「KAMADO Q 」のカラーは今回紹介したレッドの他にブラックもラインナップ。サイズも4種類展開しているので、バーベキュー好きは公式HPをチェックしてみては?


(問)KAMADO Q www.kamado-q.com/

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記事名:「 日本生まれのKAMADO。バーベキュー大国アメリカで支持される理由とは?