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ワークウエアに頼ることも多いゴーアウト読者のみなさんなら、一度は耳にしたことがあるだろうポストオーバーオールズは服飾のNY州立大学FITを卒業した大淵毅さんが1993年に設立。
学生時代は古着のディーラーとして日本に商品を発送する仕事をしていた大淵さんは「ヴィンテージも名のあるものはすでに人気だったけど、そのほかのワークウエアなんて日本人で探している人はほとんどいなかったと思います。特に東海岸は完全に未開拓の地でした」と語る。
FITではメーカーや工場の経営を学んだ大淵さんだが、就職するなら自分でブランドを始めてみようと奮起したのだ。
「アメリカの生地を使って現地生産がしたかった。当時はアメリカのメーカーが生産国を海外に移し始めていた頃でしたが、それでもまだ縫製工場が残っていた。時代が変わって、最近では生地や縫製のクオリティを考えると日本にいる方がいいと思い、2018年に帰国しました」。
ニューヨーク発の老舗ブランドが日本に上陸したという話題性もあって、業界人らも軒並み大淵さんを頼るように。人気は勢いを増し、今年月には中目黒にフラッグシップストアをオープンした。
「ファーストコレクションをNYで展開したときに、バイヤーの人から〝これはいくら?〞って聞かれて1着の値段を言ったら〝ダースの値段だよね?〞って言われたりしていた。それほどワークウエアを新しく作ることに馴染みがなかった」と大淵さん。先駆者ならではの話である。
30周年を迎える来年には、ファーストコレクションとまったく同じラインナップのものを発表しようと目論んでいるようで。いくら普遍的なものを作っているとはいえ、そんなことが成し得るのはこのポストオーバーオールズくらいだろう。
2019年から八幡山(東京都杉並区上高井戸)に店舗兼ショールームを構えていた「ポストオーバーオールズ」だが、来年の創業30周年を迎えるにあたり、今年10月に中目黒川沿いに旗艦店「Post O’Alls NAKAMEGURO」をオープン。
内装はナチュラルカラーに塗装されたメープルの杢材を基調とし、什器は当時際立っていたメーカー「Heywood Wakefield」の家具をイメージさせる明るい色目で仕上げ、そのほかの塗装部分にはインダストリアルなグレー系のカラーを採用。
1940~50年代のアールデコっぽいカリフォルニアのムードとインダストリアル感をミックスした造りが、中目黒の借景とリンクして、唯一無二の空間となっている。
製品は言わずもがな、店内を見るだけでも十分に訪れる価値がある場所が誕生した。
大淵さんが所有するあまりにも貴重なヴィンテージなどを元に作られているポストオーバーオールズのウエアはどれもが秀逸。しかし、そんななかでもこの4点は特に持っておきたい名品だ。
CRUZER 8/premiumgoatskin ¥239800
厚さ、鞣しの種類・具合、光沢感、色出しなど、すべてにこだわって特注したゴートスキンを使用。黒、茶、紺の3色展開で、各色ブラウンに染めた上に彩色。味わい深い経年変化が楽しめる。
CRUZER 5-R / wool melton ¥74800
2010年に、20年代のJohn Rich(Woolrichの前身) クルーザーにインスパイアされて登場した「クルーザー5」を微調整。100年前の木こりが着ていたウエアがこんなにもクールだとは。
POST Chinois/lightdenim ¥39600
ヴィンテージのフレンチチャイナとフレンチワークをブレンド。手作業による伝統的な細く丸いチャイナトグル、細かい運針の綿糸による折り伏せ縫いなど、細部まで徹底された逸品だ。
POST Chinois DV/lightdenim ¥38500
22SSから作られている襟なしタイプ。戦前の良質なフレンチワークウエアに見られるポケットなどディテールの拘りは言わずもがな、カーディガンのように着用できるのも魅力だ。
本記事は、GO OUT vol.158からの転載記事です。
Photo/Shouta Kikuchi
Report&Text/Naoto Matsumura
(問)ポストオーバーオールズ中目黒 tel:03-6303-2160 postoveralls.com
The post 【ブランドピックアップ〜POST O’ALLS〜】NYで生まれ育ち、ついに30年。勢いは留まるどころか増すばかり。 first appeared on GO OUT.