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GO OUT本誌でもお馴染み、バンブーシュートの甲斐さんが、毎回、様々なファッション業界人のゲストと共に、東京の名店を巡るショップツアー連載「甲斐さんぽ」。
第6回目の舞台は、古着屋や小劇場が点在するサブカルの街、下北沢。しかしここ数年で駅周辺の再開発が進み、街並みが激変しつつある。そんななか今回ゲストとして迎えたのは、かつてこの街を拠点にしていたアールディーズのAQZAWAさん。
2019年にリニューアルしたばかりの下北沢駅で待ち合わせ。しかし2人とも駅前の景色の変わりように驚きを隠せない様子。
甲斐「下北沢といえば、やっぱり阿久澤くんかなと」
AQZAWA「いや、それが5年ぶりくらいで(笑)」
甲斐「え、まじで? オレも凄く久しぶりなんだよ。駅前も変わったね」
AQZAWA「ですよね。実は先日ちょっと下見に来たんですけど、馴染みの古着屋も無くなっていました。でもまだまだおもしろい店はありますね」
甲斐「それは楽しみだね。オレの目的はボーズマンだけだから、あとは任せるよ」
AQZAWA「よろしくお願いします」
駅を中心に様々なショップが密集する下北沢。商店街や細い路地も多いため、散策するなら電車で訪れて徒歩で移動するのがベスト。もちろん、今回訪れるショップもすべて徒歩圏内。まさに“散歩”に適した街なのだ。
下北沢で20年近くも営業を続ける老舗アウトドアショップ「ボーズマン」。独自のセレクトで厳選されたアイテムの中には、大手ショップでは見かけない珍しいギアや、一見するとアウトドアと関係なさそうな小物なども並ぶが、もちろんすべて山で役立つものばかり。
店内は、天井から床まで所狭しと様々なアイテムが並んでいるため、宝探し感覚でアイテムを物色することができる。甲斐さんは昔から常連だけど訪れるのは久しぶり。阿久澤さんも、なんと5年ぶりだとか。
AQZAWA「ここはいい意味で全然変わってないですね(笑)。昔からおもしろいアイテムがいっぱいあって、それを店長の横山さんに教えてもらうのが楽しいんですよ。アウトドアの先生ですね」
甲斐「お客さんが持ち込んだ委託販売のアイテムもあるからね。オレも何度か置かせてもらったことあるけど、自分で値段を決められるんだよ」
そう言いながら、実際に委託で持ち込まれたバックパックをチェックする甲斐さん。手にしているのはオスプレイの90年代後半のモデル。購入するか真剣に悩んでいた。
JANDO キッズ用デイパック ¥7150
そんななか、AQZAWAさんが気になったアイテムを早速ピックアップ。こちらは、店長の横山さん曰く「メキシコの自転車系アウトドアブランドがハンドメイドで作っている、子ども用のデイパック」とのこと。
AQZAWA「レトロな配色とサイズ感もいいけど、この名前が書けるタグがヤバい。今、横山さんに教えてもらったけど、兄弟で使い回せる仕様らしいですよ」
Krieg Cycling サドルバッグ 各¥1980
甲斐さんは委託のバックパックは一旦保留にして、実用的なサドルバッグを購入。しかしこちらも、かなりレアな逸品。クライミング用のチョークバッグを作っているブランドが、2000年代に作っていたアイテムだとか。
甲斐「最近、自転車に乗り始めてさ。あまり有名じゃないブランドの、こういうバッグを探していたから、まさに見つけた!!って感じだね。ちょっとした工具とかパンク修理セットを入れるのに丁度よさそう」
「ボーズマン」の奥が深いアウトドアの世界観をたっぷりと堪能した2人は、コーヒースタンドでちょっと休憩しながら作戦会議。そして次に訪れるショップは、AQZAWAさんが先日リサーチして見つけてきた新しい古着屋。なんと「ボーズマン」から徒歩1分の距離。
2019年1月にオープンした古着屋「マッド」は、ヴィンテージからレギュラー古着まで、バランスよくセレクトされた良質な一点モノが並ぶ話題のショップ。天井が高く開放感がある店内では、ゆっくりとアイテムをチェックすることができる。
AQZAWA「下北沢といえば古着屋だけど、数あるお店のなかでも、ここのセレクトはセンスのよさが際立っていますね。多分、甲斐さんも楽しめるんじゃないかと」
甲斐「確かに凄く考え抜かれたセレクトって気がする。かなり厳選されているけど、古着マニアもビギナーも楽しめるラインナップになっているのがわかるよ。なによりも居心地がいいね!!」
もちろん2人とも古着は大好物。しかし、興味があるジャンルやアイテムは全く異なり、それぞれ我が道を行くスタイルで物色。
それぞれが見つけた、お気に入りのアイテムも、そんな2人の個性の違いが浮き彫りになる結果となった。
EDDIE BAUER スカイライナージャケット ¥17490
現行モデルも人気が高い、エディバウワーの定番モデル、スカイライナージャケット。こちらは60年代後半のヴィンテージながら、かなり状態もよく、目立つ汚れやダメージもない一着。
甲斐「スカイライナーシリーズは昔から大好きだけど、これは結構珍しいと思う。あまり見たことがないね。こういうアイテムが普通に置いてあるのがおもしろいよ」
STRATER ナイロンアノラック ¥10780
AQZAWAさんが選んだ一着は、アールディーズの新作モデルと言われても違和感がなさそうなレトロポップなジャケット。こちらはアメリカのスポーツブランドによる、2000年代のアイテム。
AQZAWA「見た目通り、ボクが好きなテイストが詰まった一着。この配色は最高ですね。それとサイズもいい感じ。古着って実はそこが1番難しい部分だと思うけど、これはサイズ感も完璧ですね」
次の目的地は、「ボーズマン」や「マッド」が並ぶエリアから、下北沢駅を超えた先にある。変わりゆく街並みを眺めながら徒歩移動するなか、昔から同じ姿で佇む小劇場「劇」のパンフレットをチェックする2人。
甲斐「下北沢といえば、こういう雰囲気でしょ。街並みが綺麗に整備されていくのもいいけど、変わらない部分も残してほしいよね」
AQZAWA「そうですよね。次に行くショップは、下北沢っぽいと思います。なんと言ってもサブカル系のTシャツしか売っていませんから(笑)」
下北沢散策の最後に訪れたのは、ヴィンテージ&ユーズドのTシャツ専門店「ロストボーイトーキョー」。アパートの一室を改装した店内には、音楽や映画、アート系のTシャツがズラリと並ぶ。バックヤードも含めると400枚ほどが常備されているとか。
店内に入るなり、凄い勢いでTシャツをチェックしはじめた2人。その様子は、まるでレコード屋で新譜やレア盤をチェックするDJのよう。個人宅や秘密基地を訪れたようなプライベート感のある内装が、さらにテンションをアップさせていた。
左から/ジェリー・ガルシア Tシャツ ¥10780、セプティックデス Tシャツ ¥43780
そしてセレクトした、気になるTシャツがこちら。甲斐さんは、往年のファンを公言するグレイトフルデッドのジェリー・ガルシアのTシャツ。
AQZAWAさんは、ハードコアやヘビメタのジャケットでお馴染みのアーテイスト、パスヘッドのバンドTシャツ。
甲斐「これは比較的新しいモデルかな。多分、本人が亡くなってしまった後のTシャツだと思う。デッド系はハデなグラフィックが多いけど、このタイダイ柄なら普段着としても使えそう」
AQZAWA「80年代ハードコアらしい総柄だけど、パスヘッド本人がやっているバンドのTシャツみたいですね。かなりインパクトがあるグラフィックだけど、ボク的にはちょっとサイズが小さいから、ディスプレイ用として欲しいです」
マイ・プライベート・アイダホ Tシャツ ¥151800
そして現在、店内にある最も高いTシャツがこちらの、90年代のハリウッド映画「マイ・プライベート・アイダホ」のTシャツ。なんと15万円オーバーのプレミア価格となっている。
ということで下北沢散策を満喫した2人は、最後に2020年10月にグランドオープンしたばかりの新名所「ボーナストラック」で、軽く打ち上げ。こちらは再開発によって誕生した下北線路街エリアにある、新しいスタイルの商店街。本屋やレコード屋なども並んでいる。
AQZAWA「久しぶりに、ゆっくり散策したけど、かなり街の雰囲気が変わっていましたね」
甲斐「清潔感が出てきた気がする。昔は私物を売ってそうな店が多かったじゃん」
AQZAWA「たしかに(笑)。サイケデリックな感じも消えちゃいましたね」
甲斐「そんななかでも今日まわったショップは、どれも昔ながらというか、下北沢らしい感じがしたかも」
AQZAWA「ボーズマンは本当に昔から変わっていなかったですね。5年前に売っていたアイテムも普通にありました(笑)」
甲斐「相変わらずだよね(笑)。やっぱり名店は変わらないってことで」
Photo/Sousuke Shimizu