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GO OUT本誌でもお馴染み、バンブーシュートの甲斐さんが、毎回、様々なファッション業界人のゲストと共に、東京の名店を巡るショップツアー連載「甲斐さんぽ」。第3回の散歩スポットは、老舗の古書店から楽器屋、スポーツ用品店などが雑多に立ち並ぶ神田神保町。
「今日はこの街に根付いている人を呼んでるよ」と甲斐さんが紹介してくれた今回のゲストは、神保町で30年以上も続くアメカジショップMAINE(メイン)の島倉弘光さん。甲斐さんとはバンブーシュート以前(20年以上前)から面識があり、今も定期的に連絡を取り合う仲だとか。
ということで、2人は神保町駅に集合。島倉さんにとっては慣れ親しんだエリアだけど、甲斐さんは久しぶりに訪れたとか。
島倉「お久しぶりです!!」
甲斐「久しぶり〜。やっぱり神保町といえば島倉くんでしょ」
島倉「いえいえ、そんな(笑) まだまだ勉強することばかりです。このエリアは古本屋や楽器屋が多くて、昔からいろんな文化を発信してきた街なんですよ」
甲斐「そうだよね。今回は、その中でも個人的に好きな名店を巡ろうと思って」
島倉「いいですね。よろしくお願いします」
甲斐「終わったら、美味しいお店に連れていってよ」
島倉「B級グルメ街としても有名ですからね。いいトンカツ屋があるから一緒に是非!」
今回は3つの名店を回るが、どのショップも2人が集合した神保町駅から徒歩5分ほど。電車で遊びに来て、気軽に名店をハシゴできるのが神保町エリアの魅力のひとつ。
まず2人がやってきたのは、島倉さんも働く老舗セレクトショップ『メイン』。1988年の創業以来、時代に左右されない良質なアメカジアイテムを厳選している。ちなみにショップ名は、エル・エル・ビーンの本拠地としても知られるアウトドアの聖地、メイン州から。
島倉さんはホームということで、今夏にオススメのアイテムを選んでもらうことに。甲斐さんは昔からの常連で、なんと19歳の頃から通っているとか。
甲斐「ここのディスプレイの雰囲気は本当に大好き。シャツも綺麗に畳まれていたり、グラデーションで並べられたりして、ちゃんと緊張感があるっていうか」
島倉「ありがとうございます。シャツは昔から力を入れていて、50種類以上はあると思います」
大量のシャツが畳んだ状態で積み上げられたラックを、丁寧にチェックする甲斐さん。「『これ、広げて見てもいいですか?』って店員さんに聞いたりする、そういうやりとりもいいんだよね」と、常連として通いながら、自身も昔から接客業に携わってきた甲斐さんならではの意見も。
CAMCO シャンブレーワークシャツ ¥9350
豊富に揃うシャツのなかで、島倉さんがイチオシする1枚がこちら。70年代から80年代の往年のモデルを参考に、生地からこだわって織り上げたシャンブレーシャツで、10年以上のロングセールスを誇っている。
島倉「やっぱりウチの定番としてはこれ。カムコは10種類以上のシャツがあるけど、個人的にも1番好き。通年で着用するユニフォームみたいなものですね。アウトドアでも使えますよ」
オリジナルブランドのカムコは、プルオーバーから開襟まで様々なモデルが揃うため、幅広いスタイルに対応している。2人ともシャツ好きなので、とにかくシャツ談義が止まらない。
Bills Khakis M2チノパンツ ¥26180
しかし、もちろんシャツ以外の名作アイテムも豊富に揃うメイン。というわけで甲斐さんは「シャツも気になるけど……」と言いながらベーシックなチノパンをチョイス。
甲斐「若い頃に、『チノパンといえばコレ』ってアメ横で教わった(笑) 実際、テイクアイビーやプレッピースタイルの象徴だと思うよ。まさにチノパンの王様。めちゃくちゃ丈夫だから普通に日常で履きたいね」
そして2人は、次の目的地に移動。とはいえ2店目の『さかいやスポーツ エコープラザ』まではメインから徒歩1分の距離。神保町のローカルトークをする間もなく到着してしまった。
神保町で5店舗を展開する『さかいやスポーツ』の中で『エコープラザ』はマウンテニアリング、トレラン、キャンプのギアを中心にしたショップ。この夏は世相を反映させて、ソロキャンプや自宅でも使えるアウトドアギアに力を入れているとか。
実は2人とも20年来の常連。甲斐さんは仕事でも繋がりがあり、神保町に来ると必ず立ち寄るらしい。島倉さんは仕事の休憩中に遊びに来ることも。広い店内をリラックスしながら散策することに。
甲斐「東京を代表する老舗の山屋。昔は雑多な内装の店が多かったなかで、ここは早くから商品を綺麗に並べていたんだよね」
壁一面を覆い尽くすバッグコーナーは圧巻の佇まい。小型から大型まで様々なモデルが揃っていて、スタッフの高橋さん曰く「アウトドアブランドのバックパックは、ほぼ網羅しています」とのこと。
島倉「この感じ、アメリカのアウトドアショップの雰囲気に近いですよね。これだけ並んでいれば、欲しいモデルだけでなく掘り出しモノも見つかりそう」
EVERNEW グリーンボーン ¥24200
大量に並んだバックパックの中から甲斐さんが注目するのは、国産ブランド、エバニューの背負子。1800gという軽さながら、静荷重60kgを誇る実力派で、職人によるハンドメイドで作られている。
甲斐「これ昔からあるけど、デザインもずっと変わっていない。いつか欲しいと思っているアイテムなんだよね。やっぱり背負っている姿は憧れるよ。男の中の男みたいな感じ」
島倉さんはキャンプギアのコーナーをチェック。最近は友人に誘われてキャンプに行くことが多く、いろんなアイテムが気になっているとか。そしてコールマンのランタンを手にしながら、スタッフの説明をじっくりと聞いている。
Coleman パワーハウスツーマントルランタン ¥21800
2マントル仕様で300キャンドルパワーの明るさを誇る、定番の大型ホワイトガソリンランタン。専用のハードケースもセットになっている。
島倉「ヴィンテージのモデルを狙っているけど、どんどん高くなっているんですよ。それなら現行モデルでもいいかなって。なにより今でもアメリカ製ってのがいいですね。無骨な感じが最高です」
『さかいやスポーツ エコープラザ』で大量のアウトドアアイテムを堪能した2人は、次の目的地まで徒歩移動。していたが、その途中で気になるショップを発見。こうしたちょっとした寄り道も、散歩ならでは!
甲斐「お、なにここ? コーヒー豆の専門店っぽいけど、いい店構えだね。美味しそう!!」
島倉「『倉木コーヒー商店』です。50年くらいやっている老舗ですよ。神保町はメインの大通りから1本入った路地に、こういう旧いお店が結構いっぱいあるんですよ」
甲斐「そうかもしれない。路地って、なんかいいよね。つい入りたくなる」
そして神保町の交差点を渡り神田駅方面へ。『さかいやスポーツ エコープラザ』から次のショップ『マグニフ』までは、わずか徒歩7分の距離。初夏の日差しの下、軽快に歩いていく2人。
様々な古書店が並ぶ神保町のなかでも一際異彩を放っているのが、雑誌をテーマにした『マグニフ』。50年代から90年代にかけた国内外のファッション雑誌のバックナンバーが揃い、ファッション業界や出版関係の人たちも多く訪れている。
ファッション業界に長く身を置く2人にとって、ここは自身のルーツとなるカルチャーやアーカイブ的な資料が手に入る貴重なショップだとか。
甲斐「自分が若い頃に読んでいた雑誌で、もう一度読みたいってなったときはここだよね。若い頃の自分が出ていたり、連載をやっていた昔の雑誌もあるから懐かしい(笑)」
島倉「ボクは小さい頃に読んでいた80年代以降の『POPEYE』や『Hot-Dog PRESS』を掘ることが多いです。もちろんそれ以前の60年代のカタログとかも勉強になりますよね」
ここに並ぶ懐かしい本は、日本のファッション誌だけにあらず。2人が揃って注目しているのは、2007年に刊行されたティム・ウォーカーの写真集『I LOVE PICTURES !』。こうした洋書も充実している。
左/『POPEYE』1991年3月号 ¥2000 右/『AllRight』1984年2月号 ¥800
そんななか、2人が実際に購入したのがこちら。甲斐さんは90年代の『POPEYE』を何冊かチェックした後、気になる1冊を手に。島倉さんは伝説のアメカジ雑誌と言われている『AllRight』を発見。
甲斐「この頃の『POPEYE』って、海外のストリートスナップとか、おもしろい企画をやっていたんだよね。誌面作りが変わってて情報量も多いけど、実は当時の広告もかっこいい」
島倉「『AllRight』は83年から84年の1年しか刊行されていなかった雑誌ですが、創刊号を先輩に見せてもらったことを覚えています。内容がすごくいいって噂になっていて。もちろんボクは後追いだけど、今見てもそれは感じられます」
様々なカルチャーが交差する神保町ならではのショップ巡りを堪能した2人。島倉さんには馴染みのあるローカルエリアながら、今回は新鮮な気持ちで散策できたとか。一方甲斐さんは、まだまだ物足りない様子。
島倉「職場があるから普通に通っているけど、こうやってゆっくりと出歩くことは少ないから楽しかったです。改めて、いい街だなと(笑)」
甲斐「いい街だよね。やっぱり大好き。この周辺でもう1回この企画をやりたいくらい」
島倉「じゃあ、次はB級グルメでやりましょうか!」
Photo/Sousuke Shimizu
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