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「彼女の食べっぷりの特徴は、一口一口が大きい。そして豪快に食べる。その上で綺麗に食べるということだと思います。ですから、彼女が言う『美味しい!』は嘘っぽく聞こえないんです。『まいうー!』や『宝石箱やー』といった“セリフ”ではなく、食べっぷりで美味しさを伝える姿に好感度があるのです。しかも、(フードファイター出身ゆえ)食リポにとどまらず、ハシゴ食い・対決・記録に挑戦など、あらゆる状況にも対応できます。視聴者ウケも良いから、彼女だと企画にもなりやすい。そのため、あちこちからお呼びがかかるわけです」
言われてみれば、じつに納得の分析ではないか。私もここcitrusへと2ヶ月ほど前にアップした『磯山さやかによる「唐揚げをひたすら食べるだけ」のYouTubeは、本当にユーチューバーをナメているのか?』なるタイトルのコラムで、こう書いた。
よくフードファイターや大食い自慢のお笑い芸人とかが脂汗をかきながら、とんでもない量だったり激辛だったりする料理を辛そうな表情でテーブルと皿をとっち散らかして食べているシーンをテレビで観かけると、げんなりした気分になり、ついチャンネルを変えたくなってしまう。が、ギャル曽根だけは常に食べ物に対するリスペクトの意を絶対に崩さず、「美味しそう」に爆盛りされた食材をたいらげる。ギャル曽根がフードファイターとしてだけではなく、バラエティタレントとして、いまだ一線で活躍てきているのは、そこらへんも大きな要因なのかもしれない。
かつてギャル曽根は、2008年に出版した自著『ギャル曽根の大食いHappy道〜食べても食べても太らない〜』(講談社)のなかで、
「タレント活動をする上で私の武器は大食いだけ。タレントを長く続けるにはこれだけではだめだ」
……と考えていたことを明かし、「大食い」のみならず「美味しそうに見える食べっぷり」をも会得した……という。「量を食べるプロフェッショナル」が「食の質」にも高い意識を持てば、もう無敵ってことだろう。
グルメ仕事の経験は私にだってなくはない。情報雑誌や夕刊紙でもやったし、テレビでもやった。そして、一日に3軒〜5軒ハシゴ……なんてケースもザラにあった。しかし、本来は食リポを専門としない私ですら「出された食事は絶対に残さない」「とにかく美味しそうに食べる」の2つだけは死守していた。だから、取材を受けてくださったお店も気持ち良く私らのことを「またよろしくお願いします」と送り出してくれたし、今でも細々と……ではあるが、ソッチ系の仕事が回ってきたりもする。これからのグルメリポーターは、テッパンのキャッチフレーズを披露する以前に、まず食への真摯な姿勢を全身全霊で表現することが不可欠となってくるのかもしれない。
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