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今ではすっかり当たり前の存在となっているペットボトル入りの紅茶飲料。その始まりが、キリンビバレッジが発売している「午後の紅茶」だということをご存知の方はあまり多くないのではないだろうか。今回はそんな「午後の紅茶」の歴史を紐解いていく。
■誕生の理由は市場の変化と紅茶文化普及への願い
「午後の紅茶」誕生のきっかけは、1980年代の清涼飲料市場と紅茶を取り巻く環境にある。かつて清涼飲料といえば、ラムネなどの炭酸飲料やオレンジジュースなどの果汁飲料が中心だった。だが、1980年代に入るとユーザーの需要によって、飲料のバリエーションの拡充やパッケージの大型化が進むこととなったのだ。
また、1980年代は既にティーバッグや、缶や紙パックの紅茶飲料が発売されており、紅茶を楽しむ文化が広がり始めた時期だった。しかし、砂糖入りのアイスティーなど家庭でつくるには手間がかかってしまうような紅茶もあるため、より手軽に楽しみたいというニーズも生まれつつあったのである。
そういった背景から、1.5Lペットボトルの紅茶を発売するというアイデアが、当時の清涼飲料開発チームから出てきたのだ。
■新製法の開発でペットボトルの紅茶飲料を実現
ペットボトル容器での紅茶飲料開発の最大の障害となったのは、紅茶の液色だった。紅茶には温かいときは澄んだ色だが、冷えると白く濁ってしまうという性質があるため、そのままつくると透明なペットボトルでは見栄えが悪くなってしまう問題があったのである。
茶葉の選定から抽出方法に至るまで、さまざまな試行錯誤の末にキリンビバレッジがたどり着いたのが、“クリアアイスティー製法”という技術だった。この革新的な技術の開発によって生み出された「午後の紅茶」は、1986年10月に発売された。
ちなみに、知っている方も多いかもしれないが、「午後の紅茶」という名前は紅茶の本場であるイギリスの“アフタヌーンティー”という習慣に由来している。また、ラベルに描かれているイラストは、“アフタヌーンティー”文化の創始者と言われているベッドフォード公爵夫人がモデルとなっているそうだ。
■時代に対応して進化を続けている「午後の紅茶」
当初は1.5Lペットボトルの「ストレートティー」のみがラインナップされていた「午後の紅茶」だったが、1988年には缶でも発売され、「ミルクティー」と「レモンティー」という現在の定番商品も登場した。
1996年には500mlペットボトルでも発売するなど、登場から10年ほどは好調だった「午後の紅茶」。2000年代初頭は無糖茶飲料ブームの到来によって人気に陰りが出たものの、ヘルシーさを押し出した広告で復活。2010年代以降は「エスプレッソティー」や「おいしい無糖」などの新商品で、さらに需要を広げている。