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柔らかくて美味しいお肉というのはそれ相応の価格が付けられているものだ。しかし、調理法によっては安い肉を柔らかく、臭いも抑えめに、価格以上に美味しく食べることができる。今回は、そんなうれしいライフハックをご紹介。
■【常温に戻して、塩胡椒は焼く直前に】/まずは肉焼きの基本をおさらい
ステーキ肉を焼く時にまず大事なことは、肉を常温に戻しておくこと。肉は通常、冷蔵庫で保存されることが多いが、冷蔵庫から取り出してすぐに焼くと、肉が冷えているために均等に火が通りづらい。その状態のまま加熱を続けると、場所によってパサパサになってしまうこともあるのだ。
また、下味に関してだが、塩を振る場合は必ず焼く直前に加えてほしい。キュウリに塩を振って置いておくと水分が出るように、塩には浸透圧の効果で水分や旨みを外に出す作用がある。よって、ステーキ肉に早々に塩を振ってしまうと肉の水分が外に出てしまい、結果パサパサなステーキが完成してしまうのだ。
そして肉を焼く際だが、まずは片面ずつを中火から強火で一気に焼き目をつけて、肉汁が染み出さないようにしてから、火を中火以下に弱めて全体に火を通していくイメージで仕上げていく。以上の3点は押さえておきたい基本事項なので大切に。
■【はちみつを塗る】/はちみつの保湿効果とメイラード反応
次に紹介するのは、肉にはちみつを塗る方法だ。塗って30分から1時間ほど寝かせて、先に紹介した基本の焼き方を守って焼くだけ。これで劇的な変化が起きる。そもそも、肉を焼いた時に硬くなってしまうのは肉のタンパク質が凝集するため、と言われている。しかし、はちみつに含まれる成分によってこの作用を和らげることができるのだ。
また、はちみつに含まれる糖と肉に含まれるアミノ酸は、加熱によってメイラード反応と呼ばれる現象を起こし、褐変物質と香り成分が作られるのだ。この反応の有名な例に、玉ねぎを炒めると琥珀色に変化し、より旨味が引き出されるというものがある。お肉でも同様で、香りがたち、旨味が引き立つのだ。
一点注意したいことは、焼く前にはちみつを洗い流し、水気をよく切ること。この行程を抜かしてしまうと、肉がフライパンに焦げつきやすくなってしまうので注意が必要だ。ただし、洗い流しすぎるとメイラード反応も薄くなってしまうので、お肉に薄くはちみつが残る程度にするのがポイントである。
■【すりおろした玉ねぎにひたす】/玉ねぎに含まれる酵素がポイント
次は、すりおろした玉ねぎに肉を浸して冷蔵庫で2.3時間ほど寝かせるという方法。玉ねぎに含まれる酵素が、肉の筋を分解して柔らかくしてくれるのだ。寝かせたあとは、基本の焼き方を守って焼けば安いお肉でも柔らかいステーキが出来あがる。
漬け込んだ玉ねぎ液に、醤油やみりんなどを加えれば和風玉ねぎソースとして利用出来るのもうれしいポイント。肉を焼く前にこうしたソースを作っておけば、肉を焼きたての状態で食べることが出来るのでオススメだ。
一つ注意したいのは、玉ねぎソースが苦くなってしまったり辛くなってしまったりするという声も多い点。玉ねぎは季節によって辛味などに差が出るため、味付けの際に甘みを調節するなどの工夫や、できるだけ新玉ねぎなどの甘みのあるものを選ぶことをおすすめする。
――ただ焼くだけかと思われがちなステーキも、実はその調理工程には複数の注意点や美味しくするポイントが存在しているのである。同じ安い肉を使用しても、仕上がりに格段の差が出る。この記事にまとめたことを守れば美味い肉が焼けるはずだ。