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累計発行部数が2016年の時点で1億部を突破している漫画『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ。第5部までアニメ化しており、海外でも高い人気を誇っている。そんなジョジョシリーズから、今回は心動かされる感動の名シーンを選出した。



 



 



■ラスボスを倒しても戻らない、失われた命の重さと成長する“黄金の魂”



 



まずは、単行本第48巻、第4部の終盤で描かれたシーンだ。顔を変え、川尻浩作として暮らしていた連続殺人鬼・吉良吉影と、その存在に気がついた浩作の息子・隼人。何も知らぬ母親・しのぶを守るため、隼人はスタンド能力を持たないながら、絶望的な吉良の能力に敢然と立ち向かった。



 



事件後、何も知らないしのぶは浩作の分も食事を作り、夫の帰りを待っていた。しかし、真相を知る隼人は「ぼくも……パパが帰ってから…いっしょに食べるよ……」と、涙をこらえながら母を気遣うのだった。



 



失われたものは戻らない残酷さと対になる、直後の母・しのぶの「ところであんた…最近、背のびた?」というセリフ。喪失を経て、隼人が成長したことを直感的に感じ取る母の愛をさりげなく描いた名シーンだ。



 



 



■シリーズを紡いできた“血統”を断ち切ってまで受け継がれる“崇高なる精神”



 



次は、第6部の単行本第17巻(第6部でナンバリングが一度リセットされたがシリーズ通してでは第80巻)から、ラストシーンのエンポリオのセリフだ。



 



主人公・空条徐倫一行と、ジョースター家因縁の宿敵・DIOの意志を継ぐプッチ神父との最終決戦で、なんと徐倫たちはエンポリオを残して全滅してしまう。しかし、彼を生かすために死力を尽くした徐倫たちの死闘は実を結び、見事エンポリオは覚醒してプッチ神父にとどめを刺した。



 



プッチ神父が目指した、宇宙の一巡による全人類が己の運命を経験している世界の実現は阻まれた。しかし、一巡後の世界に死んだ徐倫たちはおらず、代わりにいるのは彼女によく似た女性・アイリン。そのことを唯一知るエンポリオは彼女に「ぼくの名前はエンポリオです」と告げ、涙を流す。ジョジョが描いてきた「血統」が断たれてしまう衝撃の展開だが、そうなっても、高潔な魂は受け継がれることを描いた、感動のラストと言えるだろう。



 



 



■一瞬の“親子の邂逅”旅路の行程が人を成長させることを描いた名演出



 



最後は、大陸横断騎馬レースを舞台とした第7部のクライマックスから、主人公・ジョニィと彼の父親が見せた一瞬の邂逅シーンを推したい。



 



単行本第23巻(シリーズ通算103巻)で、聖なる遺体を巡るヴァレンタイン大統領との死闘を制し、大統領の切り札である別次元の“Dio”とレースを繰り広げるジョニィ。彼は沿道で観客に息子の勇姿を涙ながらに力説する父を目撃する。



 



将来を嘱望された兄が事故死し、父と絶望的な喧嘩別れを経験していたジョニィ。「ぼくはまだ"マイナス"なんだッ! "ゼロ"に向かって行きたいッ! 」と語っていたジョニィの願いが、親友ジャイロの死を含むこれまでの行程を経て実現していたことがわかる、実に粋な名シーンだろう。

 


情報提供元: citrus
記事名:「 【ジョジョの奇妙な冒険】普通の感動じゃない…鬼才・荒木飛呂彦だから描けた感涙回