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2013年5月。カナダに住む女性、Cさん。当時49歳だった彼女は、4人の子どもがいるシングルマザー。そして、4匹の犬を飼っていた。
幸せな生活...そんなある日、彼女に異変が。突然咳き込み、体調が悪くなったのだ。最初は風邪かと思ったが、その日の夜には39度を超える高熱と激しい吐き気が彼女を襲った。
翌朝、病院へ……。検査のため、看護師が採血の準備をしていると……その場で倒れてしまった!
脈が異常に速く意識もない。何らかの感染症が疑われたため抗生剤が投与されたが、そのまま昏睡状態に。医師はCさんの娘に普段の生活の様子を聞いたが、病状につながる手がかりは掴めなかった。
そして1週間、彼女の体にとんでもない事が! 指先が少し黒ずんでいる……医師によるとこれは壊疽と呼ばれるものだった。壊疽とは、毛細血管が詰まることで細胞が死滅し、皮膚が変色すること。医師は何かの菌に冒されている事を疑い、血液検査を行った。3日後、壊疽は足にも広がっていった。
そんな中、血液検査の結果で原因が判明する。それは、世界的にも稀な「カプノサイトファーガ感染症」だった。
■世界的にも稀な感染症とは
カプノサイトファーガ属菌はほぼ全ての犬や猫の口の中に存在する細菌。厚生労働省によると、世界ではおよそ500件の症例が報告されている。日本でも93件確認されていて、そのうち19人が亡くなっている。(※2018年11月時点)
実は彼女、症状が出る数日前に犬と遊んでいて、小さな傷を作った。その傷を4匹の犬たちが交互に舐めたことで、感染した可能性が高いのだ。原因を突き止めた医師は応急処置として壊疽の進行を遅らせる血液透析を行った。
それから1か月……Cさんは、なんとか意識を取り戻した。しかし医師によると、助かるためには壊疽を起こした部分を切断しなければいけないという。Cさんは、自分がかわいがっていた犬が原因だと知り、また、助かるためには手脚を切断しなければならない事に大きなショックを受けた。
そしてCさんは手術を受けた。現在の彼女は両足には義足をつけているが、元気な様子。そして、今も犬と一緒に暮らしていた。
このカプノサイトファーガ感染症は、健康な人でも40歳以上、また40歳未満でも持病や不摂生な生活をしている人は感染し発症する場合がある。厚生労働省によると、予防法は、犬や猫とのキスなど、過度な触れ合いは控えめにすること。そして、ペットに触れた後は、すぐに石けんで洗い流すことが大切。
世界的にも稀な感染症で命の危機に陥ったCさん。現在は自身の体験を基にした講演を行いこの病気の知識を世に広めている。(2018年11月20日 ON AIR)
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