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『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』は第1作『序』が2007年に、第2作『破』が2009年に、第3作『Q』が2012年に公開されている。
そして、2020年6月27日公開予定の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(以下「シンエヴァ」)。13年かけて描かれた新劇場版の完結編だ。そこで今回は、主人公の頼れる女性上官だった「葛城ミサト」の、シンエヴァでの動向を予想しよう。
■葛城ミサトとは
謎の生命体「使徒」に対抗できる戦力「エヴァンゲリオン」を保有する特務機関「NERV(ネルフ)」。その作戦部長を務めるのが、葛城ミサトだ。
EVAパイロットたちの上司であり、EVA初号機パイロットである碇シンジの保護者代わりを務める。
■『序』『破』『Q』での言動
人前では楽天的な言動を取っているが、シビアな一面も持ち合わせている彼女。『破』では学生時代の恋人でNERVの主席監察官である加持リョウジと接触し、NERV上層部が密かに進めている「人類補完計画」について探ろうとしていた。
自身と同じく父親に対して複雑な感情を抱いていることから、シンジに自分の姿を重ねている。『序』ではEVAに乗ることに迷うシンジに対して、NERVの大きな秘密を明かすことで覚悟を促し、『破』では自らの願望を叶えるためにEVAに乗り込んだシンジを後押しするような言葉をかけるなど、シンジの心情に寄り添う努力を見せていた。
『破』のラストでシンジが覚醒させたEVA初号機によって、「ニア・サードインパクト」と呼ばれる現象が発生してから14年後の『Q』で、ミサトは反NERV組織「WILLE(ヴィレ)」の中心的人物として登場。「神殺しの力」と呼ばれる空中戦艦「AAA ヴンダー」の艦長を務める。
過去のミサトの姿を知る人物から、作戦方針を「目的優先・人命軽視」と揶揄されるように、『Q』での彼女は冷徹な人物へと変化。14年ぶりに目覚めたシンジに対しても突き放すような言動を取るが、シンジ脱走時に首輪に仕掛けた爆弾のスイッチを押すことができないなど、シンジに対する情は完全には消えていないように見受けられる。
■『シンエヴァ』ではどうなる?
亡き父に近づきたいと思いNERVに入ったミサトが、NERV壊滅を目的するWILLEの指揮官へと転身する展開は、『破』で描かれたNERV上層部への不信感を踏まえると違和感はないが、驚きをもって迎えられた。そんなミサトの『シンエヴァ』での動向で焦点となるのはやはり、シンジとの関係だろう。
ミサトは自身の境遇を重ね合わせたこともあって、シンジに対して保護者のような役割を果たそうとしていた。『序』では命令を無視したシンジとの向き合い方で悩むような場面があったため、意識的にシンジにとってよき保護者になろうと努めていたのではないかと考えられる。
シンジも『Q』終盤で窮地に陥った際にミサトの名前を呟いており、自覚的なのか無自覚的なのかはわからないが、ミサトの存在を頼りにしていたと思われる。
『Q』でシンジは大切な友人を喪い、ラストでは抜け殻同然の状態となってしまった。それぞれにわだかまりを抱えたミサトとシンジの関係が修復されるか、あるいは決定的な決裂を迎えることが、『シンエヴァ』におけるミサトの、そしてシンジにとっての最大の転機となるのかもしれない。