■相手の気持ちがわからない





お互いに好きになってつきあっても、相手のことがすぐにすべてわかるわけではない。育ってきた過程も違うし、考え方も違う。気持ちの伝え方も、言葉のニュアンスのとらえ方も異なっているのだ。自分は相手ではない。それがすべての発端。わからないもの、未知のことに人は不安を覚える。





「今つきあっている彼は、あまり言葉で好きって言わないんですよ。私はしょっちゅう好き好きって言ってしまうタイプなので、つきあってしばらくの間はすごく不安でした。つきあったらもう好きじゃなくなったのかな、愛情が目減りしたのかな、いや、他に好きな人ができたのかもなんていうことまで考えちゃって」





アオイさん(27歳)はそう言う。あるとき、我慢できなくなって彼に不安を打ち明けた。すると彼は彼女を抱きしめ「不安にさせてごめん」と言ったそうだ。





「彼は不器用で、女性が浮かれるようなキザなことは言えないんだ、と。だけど心から好きだよ、これからはもっと気持ちを言葉にしていくからと言ってくれて、一気に不安が消えました」





彼女の当時の気持ちは、「彼が本当に私を好きでいてくれるのかどうか」だった。もちろん、これ以外にも人によって不安の内容は違うだろう。将来、自分たちはどうなるのか。彼はこれまでどういう女性とつきあってきたのか、私といて本当に楽しいのか、彼は私の絶対的な味方なのか、などなど不安を挙げたらキリがないかもしれない。





どうしても不安が消えないなら、アオイさんのように打ち明けるのもひとつの方法。だが、これが「他に女性がいるのではないか」というような嫉妬による不安だと、相手はだんだんうっとうしく思うようになっていく。





逆に考えればよくわかる。他に好きな男性などいないのに、いつも「男がいるんじゃないか」と疑ってくるような彼とつきあっていくのはつらいだろう。



 



 



■不安はあって当たり前





相手は自分ではない。何もかも違う。恋は異文化交流のようなものなのだ。「わからない」が前提となれば、それが不安にはつながらない。むしろ、わからないから知りたいと前向きにとらえることができるはず。





「たとえばひとりでいたら不安は起こらない。相手がいるからこそ不安になる。好きだからこそ不安なんです。彼との時間がなくなってまたひとりになりたくない、彼に嫌われたら生きていけない。私自身、そう思い込んでいた時期があります」





アユミさん(30歳)はそう振り返る。仕事も人生も不安定な20代ならなおのことだ。恋も「うまくいかせよう」と焦ってしまう。だが、人のことを知るには時間がかかる。ゆっくり相手を知っていくことも恋の醍醐味のひとつではないだろうか。





「恋をして不安だと騒いでいたら、会社の先輩が言ったんですよ。『不安に決まってるでしょ、相手は他人なんだから』って。『不安だからこそ、一緒にいてうれしいんじゃない?』って。ああ、そうかと目から鱗でした。不安に押し潰されないようにしながら、積極的に彼のことを知っていこう、自分のことも知ってもらおうと思っていたら気持ちが強くなっていったような気がします」





アユミさんは3年つきあった彼と、もうじき結婚する予定だそう。



 



「今だって不安ですよ。でも一生かけてお互いを知っていくのは楽しいかもしれない。そう思うようにしています。わかった気になったら関係は進展しないから」





恋をして不安になるのは当たり前。そこから少しずつ進んでいくことが楽しい。そう思えたら、彼との関係も今と少し変わる可能性があるのではないだろうか。


情報提供元: citrus
記事名:「 「彼があまり言葉で好きって言ってくれない」恋愛の不安を脱するためにはどうしたらよいのか…