■10歳年下の彼と





20代のころは学業と仕事に忙しく、なかなか恋愛などする暇がなかったというのは、アツコさん(37歳)。実際、ときめく相手もいなかったし、告白されたこともあるが時間的に応じることができなかったのだという。





「32歳のとき、10歳年下の大学生と恋に落ちたんです。彼は私が卒業した大学の後輩。大学院に行くべきかどうか迷い、知り合いを通して相談に来て。何度か会っているうちに、お互いに好意をもっていることがわかりました」





10歳年下の大学生が自分を恋愛対象として見てくれたことに彼女は感激した。この恋は2年続いた。



 



「わかっていたことだけれど、結局、彼に同世代の恋人ができました。私のほうも、もう彼とは無理かなと思っていたので、ある意味ではちょうどよかったんですが。若いからといって何でも許されるわけではない。彼は観察力に欠けているところがあって、私はどうしてもそこを追求しちゃうんですよね。彼にとって、だんだん年上のうるさいおばさんになっていったと思います」





年下だからいろいろなことを教えようと思ったわけではない。彼自身の「気の利かないところ、洞察力のないところ」が彼女には耐えられなかったのだ。だが次に、彼女は年下がダメなら年上でというかのように、かなり年長の男性とつきあうようになる。



 



 



■年上のくせに……





年下彼と別れて1年後、アツコさんは仕事で知り合った15歳年上のバツイチ男性とつきあうようになる。





「当時、彼は50歳。落ち着いていて、でもいつも明るい。多趣味で演劇や音楽に詳しくて。彼と話していると飽きなかった」





デート3回目で彼の家に招待された。出された料理も彼の手作り、そのクオリティの高さに驚かされた。





「2LDKのマンションでしたが、きれいにしていましたね。食事のあと、ワインを飲みながらいろいろ話をしているうちに雰囲気がアヤシくなって(笑)」





寝室にはクィーンサイズのベッドがあった。愛されている実感を味わいながら、心身ともに満足な時間を過ごしたという。





「半年くらいはうまくいっていたんですよ。だけどだんだん彼の細かさ、神経質なところが鼻についてきて。彼のキッチンの引き出しを開けたら、フォークやナイフなどがあまりに整然と並んでいてびっくりしました。私がお皿を洗っていたら、その皿はそうやって洗うんじゃないとか置き方が乱暴だとか、もううるさくて。『年上のくせに人間が小さすぎる』と文句を言ったら相当傷ついたみたい。そういうことが重なって、会うのをやめようと言われました」





年上だから包容力があるとは限らない。そもそも、人間が小さいなどと言われたら、誰だってムッとするはずだ。彼女自身、相手を理想像にはめこもうとしすぎていないだろうか。





「あるがままの相手を見なくちゃいけないってことはわかってるんですよ。だけどどうしても期待しちゃうでしょう。でもそういう経験を経て、つい最近、同世代とつきあい始めました。長くは続かない気がするけど」





今の彼は男のくせに虫が苦手、男のくせに力がないと彼女は言った。無自覚に言っているが、逆を考えたらわかるはず。「女のくせに料理が下手」「女のくせに編み物もできない」などと言われたらどれほど不快か。

男もいろいろ、女もいろいろ。個性もいろいろである。完璧な人間など自分を含めて誰もいないし、何をもって完璧かさえもわからない。

 


情報提供元: citrus
記事名:「 相手に理想像を押し付けすぎ? 年上とも年下ともうまくいかない私って何がダメなの?