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■『タクシードライバー』:アカデミー賞にもノミネートされた、孤独なタクシードライバーの暴走
数あるロバート・デ・ニーロの代表作のなかでも、傑作と呼び声高いのが、1976年に公開されたマーティン・スコセッシ監督の社会派サスペンス『タクシードライバー』だろう。
70年代の荒んだニューヨーク。タクシードライバーを営む男トラヴィスは、暴力と堕落はびこる町に鬱屈していた。そんな折、売春で生計を立てる少女と出会い、彼女を救うことを決意したトラヴィスは、暴力的私刑制裁の道を突き進んでゆく……というのが、この映画のあらすじ。
正義と狂気の狭間を漂うデ・ニーロの危うさに満ちた演技は、世界的にも高く評価され、アカデミー主演男優賞にもノミネートされた。暴漢と相対する場面を妄想して鏡に語りかけるデ・ニーロのシーンは、必見の名演技だ!!
■『キング・オブ・コメディ』:コメディアンに憧れる青年が陥る狂気とは…
同じくスコセッシ監督で1982年に公開された映画『キング・オブ・コメディ』も、デ・ニーロを代表する名作の一つだろう。「コメディとホラーは紙一重」とはよくいわれるが、本作も狂気と笑いの間を行き来し、世界中で好評を博した作品である。
あらすじはこうだ。コメディアンに憧れる青年ルパート・パプキンは、人気トークショーの司会者であるジェリー・ラングフォードの熱狂的ファン。彼に強引に近づき、コメディアンの道を駆け上がろうとするも断られてしまったルパートだったが、彼は諦めず、次第に狂気的なストーキング行為へと発展していく……。
人気司会者に憧れる病んだ青年という共通するモチーフで、今年のアカデミー賞ノミネートでも話題の『ジョーカー』にも大きな影響を与えた本作。本人は至って楽しそうなのに、はたから見るとぞっとする……そんな繊細な演技を、デ・ニーロは見事に演じ切っている。
■『ヒート』:デ・ニーロvsパチーノ…二大名優が激突する、緊迫のクライム映画
最後は、マイケル・マンが監督した1995年の映画『ヒート』を推したい。本作は、すでに名優として脂の乗っていた時期のデ・ニーロと、同じく演技派コワモテ名優として名高かったアル・パチーノとの久しぶりの共演で、多くの映画ファンの心をつかんだ傑作だ。
完璧な作戦で強奪を繰り返す、凄腕強盗団のリーダーであるニール。家庭を顧みずに彼を追う鬼刑事のヴィンセント。愛と裏切りに人生を揺さぶられる二人の間には、やがて宿敵としての因縁が芽生え出す。そして、引退を決意したニール最後の強盗計画の当日、二人はついに激突する……というのが、本作のストーリーである。
ベテラン名優二人が本気をぶつけた本作は、すべてのシーンに抜群の重厚感が漂っているが、お互いに顔を合わせて牽制する中盤のシーンは、画面から緊迫感があふれ出てくるかのようだ。また、実銃の空砲を使った、映画史でもトップクラスにリアルな終盤の銃撃シーンは、まさに息を呑む出来栄えとなっている。