親愛なるcitrus読者の皆さま、旧年中は私の一連の「文字数制限がないツイッター」と揶揄されても致し方ないずるずるとしたコラムに、懲りずにお付き合いくださり、本当にありがとうございました。2020年度も、よほどの失言をかましてお上(=citrus編集部)からの厳重注意や連載終了の通告でも受けないかぎりは、相変わらずな方針でペンをしたためる(=パソコンのキーボードを叩く)次第でありますので、どうかまた宜しくお願い申し上げますm(_ _)m



 



ってなわけで、年末年始は毎年ヒマにかまけてテレビの前で、一年間の通算視聴時間のおよそ半分以上を、わずか一週間足らずで早くも消費してしまう私であるが、そんななか「単純に放送回数が多い」という意味で、やたら目に付くCMが(今年も)いくつかあった。もはやご存命なのかどうかすら定かではない財津一郎サンがすでに20年近くも同じテイクで出演し続けている「電話してちょーだい!」でお馴染みの『タケモトピアノ』のCMだとか、よほど社長が好きなのか長澤まさみ推し一辺倒の『クボタ』のCMだとか……。そして、もう一つが医療脱毛を専門とする『リゼクリニック』のCMである。



 



ピカピカに白光りする細長いリムジンのドアを開ける黒服。そこから白いノースリーブのロングワンピースでドレスアップした3人の女性が降りてきて、両手をバンザイ状態で挙げながら、赤絨毯を練り歩く。彼女たちの正体は全国のミスキャンパスで頂点に立った「ミス○○」の面々(※「○○」には大学名を入れましょう)──誰が命名したのかは知らないけど、「脇見せウォーク」と呼ぶらしい。



 



リムジン・黒服・赤絨毯……それに、人海戦術的に集結する大学のミスコンで優勝した素人クラスではトップレベルの別嬪(べっぴん)で華のあるヤングな女子たちが「私たちのわき毛はここまでキレイにお手入れされてますよ」と言わんばかりに屈託なく、「ふー」だか「ほー」だかの掛け声(?)入りのアップテンポなユーロビート系のBGMをバックに、下手すりゃ性器を他人に見せるよりも恥ずかしい脇の下を全開し、立ち並ぶ観衆の前を無表情のまま、通りすぎていく……。



 



「品性」なる言葉とはほど遠い、発想としてはじつに俗物的なCMであることに間違いはない。しかし、「俗物的」であることがイコール「ダメなCM」ってわけでもない。CM、とくに尺が15秒ほどしかないテレビCMにおいては、俗物であろうが高邁であろうが、ウットリしようがウザかろうが、とにかく「需要サイドの印象に残ったモノ勝ち」なのだ。

 



そういった観点から論じれば、このリゼクリニックCMは、中途半端にイメージ重視で、ほどほどに有名なタレントを起用して制作され、結局はなんのCMなのかが表現しきれずに垂れ流される“作品”よりも数段潔く、かつわかりやすい。あんな風に脇の下をつるつるにして、こんな風に周りからチヤホヤされたいな……みたいな感じに。スノビズムを最大の武器として「わかりやすさ」へと直結した、ひとつの好例なのではなかろうか。問題は、その「俗っぽさ」をリゼクリニック側がきちんと自覚しているか、していないか──もし“偶然”ではなく“確信犯”であったなら……リゼクリニックは相当に頭が切れるブレインを囲っているわけで、おそらく今後もどんどん業績を伸ばしていくに違いない。





ただ、仮に私に20歳前後の娘がいて、仮にどこぞの大学のミスコンで優勝したとして、万一このCMの出演依頼が来たとすれば……申し訳ございませんが、個人的にはちょっと嫌かもしれない(笑)。まだAVとか風俗だと、わりに寛大な態度を示せる気はするんですけどね……? 


情報提供元: citrus
記事名:「 『リゼクリニック』ミスコン女子大生が脇の下全開で歩くCMが俗物的すぎる…