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子どもたちが大きくなってくると、父親への感情は複雑になりがち。父親のほうも子どもの気持ちを“忖度”して遠慮がちになってしまう。そんなとき、「妻が子どもとの間をうまくつないでくれればいいのに」と不満を抱く男性は多いようだ。
■あんなに甘えていたのに
「高校生の長男も中学生の長女も、最近、やたらと私を避けるようになったんですよね。ついこの間まで、あんなに甘えていたのに。大人への入り口だと思いますが、それでも会話くらい普通に交わしたい」
そう言うのはジュンイチさん(48歳)。息子はサッカーに夢中だが、母親とはわりと話しているようす。ジュンイチさんはサッカーについてはよく知らないので、息子に教えてもらおうと話しかける。しかし適当にあしらわれてしまう。
中学生の娘は、「絶賛おとうさん嫌い運動中」らしい。ジュンイチさんも気を遣って、娘の前では肌の露出を避け、短パンすら履かない。それなのに洗面所へ行った娘は、おとうさんの髪の毛が落ちているのが気持ち悪いと母親に言っているようだ。
「学生時代の友人に話を聞くと、中学生や高校生の娘でも『おとうさん大好き』という子も多い。どうして私が嫌われてしまったのか。妻に聞いても『そういう時期なのよ』と言うばかり。週末も、息子はサッカー、妻と娘はふたりでショッピングに出かけたりして、私はいつも家でひとりなんです」
なんだか気の毒になってくるような状況なのである。
■妻が悪口を吹き込んでいる!?
ジュンイチさんは、妻が子どもたちに自分の悪口を吹き込んでいると推測している。あまりそういう邪推はしないほうがいいと思うのだが……。
「あるとき息子の成績がよくないという話になって、『サッカーだけじゃなくて勉強もしろよ』と軽く言ったことがあるんです。そうしたら息子が『そうしないとおとうさんみたいになっちゃうから?』って。確かに私はたいした大学は出てないし、浪人も留年もしている。一流企業に勤めているわけでもないしね。『反面教師にしろっておかあさんに言われてるのか』と聞いたら、息子がまあね、と。妻には『お互いに子どもに悪口を吹き込むのはやめよう』と言ったのですが、『私は言ってないわよ』と強い口調で言われました」
夫婦仲が特に険悪というわけではないが、家族の誰とも意思疎通が図れていないという焦りがジュンイチさんに生まれている。
「子どもと接する時間が多いのは母親なのだから、もうちょっと私と子どもたちの間の橋渡しをしてくれてもいいのにと思うことがあります。ただ、それ以前に妻と私の関係も、いつのまにか超えられない溝ができている。ごく普通の日常会話はあるけど、それ以上の話はできないというか」
なんだか日々、生殺しみたいな状況なんです、と彼はうつむいた。夫として父親として、家族に威張った記憶はない。ここ数年で「いつの間にか自分が家族からはじき出されている」のだそう。
思い切って妻と真正面から話しあうべきなのか、それとも子どもたちがもう少し大人になるのを見守るべきなのか。彼の悶々とした日々は続く。