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──「なんとなく」の頭痛やめまいに悩んでいる患者さんは、けっこういっぱいいるんですか?
Dr.菅原:最近、増えている印象はありますね。そして、その大半は「姿勢」の乱れが原因なんです。現に、こうした症状でクリニックを訪れる人たちは、診察室に入ってくるときも背中を丸めてトボトボ歩くような感じで、椅子に座っても猫背でうつむき加減だったりしますから。
──「姿勢」の良し悪しくらいで体調に変化が出てくるとは、どうも我々“素人”には信じがたいのですが……。
Dr.菅原:いや、「姿勢」は人間の健康面において、かなり重要な要素を占めています。
たとえば、うつむき加減の姿勢で、首筋にどのくらいの力がかかるかを研究したのが、ニューヨーク脊椎外科リハビリ病院のKenneth.K.Hansraj先生。その研究結果によると、姿勢良く真っ直ぐ立ったときは約5㎏(10〜12ポンド)の重さが頸椎にかかる一方で、30度前のめりになると約14㎏(30ポンド)、60度前のめりになると約27㎏(60ポンド)の重さになることがわかりました。
──え! それってかなりの重さですよね?
Dr.菅原:ボウリングの球の重さを思い出してみてください。15ポンドの球を持ち上げるだけも、わりと一苦労でしょ? つまり、たった30度前のめりになっただけでもボーリング球2つ分、60度だとさらに2つ分増えて4つ分の負荷が、どんどん首筋にのしかかってくるわけです。
──とてもイメージしやすい例えをありがとうございます! ところで、先生は先ほど「最近(なんとなくの頭痛やめまいに悩む患者さんが)は最近増えている」とおっしゃっていましたが、これはすなわち「最近の人たちは昔よりも姿勢が悪くなっている」ということなのでしょうか?
Dr.菅原:私はそう考えています。なぜなら、電車に乗れば、うつむき加減でスマホを操作している人を頻繁に見かけますから。デスクワークでノートパソコンを使っている人も同様です。ある意味、姿勢の悪さは一種の“現代病”なのかもしれません。
──しかし、現代人にとってスマホやノートパソコンは必需品、もはや切っても切れない関係だったりしますよね? 一体どうすればいいんですか?
Dr.菅原:簡単です。スマホを操作する場合は、顔の正面まで持ってくる。ノートパソコンは、パソコン自体を重ねた本などの上に乗せて、モニターが顔の正面に来るようにしましょう。さらに、別売りのUSB接続タイプのキーボードとワイヤレスマウスを購入すれば、良い姿勢を保ちつつ作業ができます。
──たしかに、今すぐにでもできそうなことばかりです。ただ如何せん、そういった簡単なことを億劫に感じてしまうのが人間って生き物であって……(笑)。
Dr.菅原:あと、「なんとなく」の体調不良を自覚している人は、「立つ姿勢」「座る姿勢」「寝る姿勢」を意識してみてください。とくに、
(1) 耳の穴を肩のラインに合わせ、顎を少し引く
(2) 肩胛骨を少し後ろに引く
(3) 骨盤は寝かせずに立てる
の3つを心がけて実行するだけでも、体調は随分と変わっていくはずです。
──姿勢が良ければ、10歳は若返って見える……なんてことも、よく耳にしますしね。
Dr.菅原:そのとおり! 良い姿勢はモテにも直結するんです。とは言え、あまりに強い頭痛やめまいの自覚症状があるなら、ぜひ一度、脳神経外科などの医療機関を受診してみてください。
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