- 週間ランキング
血液型の分類法は、ABO式やRh式をはじめとし、じつに300種類近くもあると言います。そんななか、ふと疑問に思ってしまうのがO型。A・Bときたら普通はC……ですよね? なのに、なぜOなのでしょう?
そもそも「血液型」という概念が生まれたのは1901年のこと。最初の提唱者はカール・ラントシュタイナーという病理学者で、ラントシュタイナーさんは自身が発見した「ABO式血液型」によって、1903年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。しかも、この分類法が発見された当初は、なんと! O型はきちんと(?)C型だったのです。
血液型の違いとは、簡単に説明すれば「赤血球の表面にある物質の違い」を指します。そして、ラントシュタイナーさんの研究によって「赤血球には3つの種類があること」がわかり、それらを
1. A抗原でB型の血液を凝固させる「抗B抗体」を持つA型
2. B抗原でA型の血液を凝固させる「抗A抗体」を持つB型
3. 特定の抗原を持たないC型
……に、分類しました。
ところが、その後「抗A抗体と抗B抗体」のどちらをも併せ持つ「AB型」が発見され、このとき「抗A抗体と抗B抗体」のどちらをも持ちあわせていないC型を、数字の「0(ゼロ)」にちなんで「0(ゼロ型)」としたところ、アルファベットの「O(オー)」と間違えられて、いつのまにか「O型」と呼ばれるようになったんだとか……。ドイツ語の「〜ない」を意味する「ohne(オーネ)」の頭文字を由来とする……という説もあるのですが、どうもコチラは後づけ感が否めません(笑)。
血歴型の原理からすれば、なにもないO型は人類の原型。対して、欧州に多いA型とアジアに多いB型とが交配しないかぎり発生しないAB型は「もっとも進化した血液型」との主張も、たまに耳にします。ただし、こうした解釈には、またさまざまな異論・反論もあるようですが……。
ちなみに、血液型が発見される以前の輸血は、いわば「運を天に任せる」的な大ざっぱなもので、血液が合わずに命を落とす人も少なくなかったのだそう。いずれにせよ、根拠のあるなしにかかわらず21世紀になった今でも、血液型から人間の性格や運命までをも“断定”してしまう風潮は根強く残っているわけですから、このABO式の血液型分類法が偉大な発見であったことだけは間違いないようです。
【関連書籍】ざんねん? はんぱない! からだのなかのびっくり事典(ポプラ社)