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Abema TIMESによると、マンガで紹介された、とある痴漢対策に賛否が集まっている……らしい。その「話題の撃退法」を記したマンガの内容とは、以下のとおり。
Twitterに投稿された「人生初めての痴漢被害にあった時保健の先生が言ったこと」となるタイトルのマンガ──中学生の時に電車で痴漢にあい、その話を保健の先生に相談したところ「無理に声を出さなくていい。でも何もしないのはダメ」と安全ピンで刺して撃退することを勧められたという。投稿者は「でも血出るし」とあわてふためくが、その先生は「痴漢している時点でそいつがクズ」「変態に慈悲はない」と切り捨てたという。
同ツイートには16万件以上の「いいね」が付いているとのことだが、いっぽうで
「刺すな! 冤罪だったらどうする!」
「子どもの目に刺さったらどうする?」
「安全ピンで刺されておとなしくなるとは限らない。逆上するかも」
……ほか、“慎重派”の意見もあり、さらには、
「声をあげても誰も助けてくれなかったから『今更』安全ピンがバズっているんじゃないですか? 女性だけの問題だと思わないでいただきたい」
「『安全ピンなんか刺さずに声あげろ』というのは、被害者の声なんか針に刺されたほども怖くないからですよね」
……など、「反論に対する反論」も寄せられ、泥仕合の様相を見せている……のだそう。
たしかに、私も「痴漢している時点でそいつはクズ」だと心底思うし、「相手との願望が噛み合っていない変態(※すなわち正確には「変質者」?)にそこまで寛容な慈悲はいらない」とも思う。だが、仮に満員電車に乗っている私のまさにすぐとなりで、痴漢と被害者の鬩ぎ合いが起きた際、安全ピンや安全カミソリだけはさすがにカンベンしほしい……とは思う。単純に、じつは高価なブランドモノだったりする私の洋服に鋭利な針や刃物でとばっちりの傷をつけられたり、返り血を飛ばされたりしたら、たまらないからである。誤って刺されたりするのも嫌だし。そんな目に合ったら、マインドが無防備なだけに「痛あ〜っ!!!」と、車内に響き渡るほどの大声を張り上げてしまうに違いない。
だって、乗車中、常に安全ピンを開放したまま手に握ってるわけじゃないでしょ(それはそれで迷惑なんだが…)? 身動き一つできないぎゅうぎゅう詰めの状態で、バッグから安全ピンを取り出し、針の部分を外してから痴漢の手に絶対的精度で突き刺す──コレって、けっこう難易度高くありません? 必殺仕事人のおりくクラスのプロフェッショナルなワザ……みたいな。あくまで推測にすぎないけれど、16万件以上もの「いいね」の数割かは、「痴漢はクズ」といったくだりのみを称賛しているだけなのではなかろうか。ゼヒ声をあげてくださいよ〜! 必ずちゃんと助けますから……。
Abema TIMESの取材に対し、東京工業大学准教授の西田亮介氏は、こう述べている。
「司法の観点でみると、過剰防衛のきらいが強いと思う。直接の報復合戦にならないよう仲裁に入るのが司法。一方で正当防衛は認められているので、その範囲におさめるように自分の身を守らないといけない。
ただ、一番の問題は痴漢がなくならないことであって、痴漢を許さないということと反撃をすることは切り離して考えたほうがいい」
数日前、『とくダネ!』(フジテレビ系)で「痴漢に合った女子高生二人が、電車から降りて全力疾走で逃げる“犯人”を追いかけ、たまたまホームで立っていた別の男性が足をひょいと出して転倒させる」といったスマホ映像(※やはり、たまたまホームに居合わせた男性が「なにかの証拠になれば」と撮影したとのこと)を流していた。
幸い、その“犯人”と“されていた”中年男性が自身の痴漢行為を認めたため大ごとには至らなかったようだが、チキンなハートの私はその動画を観ながら、いろんな意味でヒヤヒヤしてしまった。「ひょいと出された足につまづき、豪快に転倒していた中年男性が、もし頭を強打したり線路上まで転がり落ちて電車に轢かれて死んじゃったりしたらどーしよう…」「逆ギレした中年男性がそのスジのヒトで、持参のナイフを振り回したり拳銃を乱射したりしたらヤバいかも…」「そもそも万一、この中年男性がいきなりおっかない女子高生二人にいわれないインネンをつけられて逃げただけの冤罪だったら、どうなるの?」……。
「痴漢を許さないということと反撃をすることは切り離して考えたほうがいい」──私もこの東京工業大学准教授・西田亮介氏の見解に同感だ。とりあえずは、痴漢対策を専用とする「手のひらサイズ・スタンガン」あたりの開発を、真剣に提言したい。だったら、ボクの洋服も傷ついたり汚れたりしないわけですし……?