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夫たちに話を聞くと、口を揃えて「妻の不機嫌が怖い」と言う。「妻が機嫌よく過ごしてくれるなら、浮気していてもかまわない」という男性まで出てくる始末。いったい、彼らは妻の何を怖れているのだろうか。
■なぜ怒っているのかわからない
「最近、妻がいつも不機嫌なんですよね」
そう言うのはユウタさん(41歳)。2歳年上の女性と結婚して10年、ひとり娘は8歳になった。娘は文字通り、目に入れても痛くない存在だ。
「娘がいるから生きていける。そんな感じすらあります。僕の理想は娘と妻と仲良く暮らしていくこと。ただそれだけなんですけどね」
ユウタさんは“ごく普通の”会社員だと自分で言う。上司に誘われれば飲みにもいくし、残業だって断れない。仕事にはそれなりの熱意をもって取り組んでいる。2年前、中古マンションを購入し、マイホームを手に入れた。
「まあまあ、ごく普通ですよね。妻は娘の入学を機にパートで働いています。もちろん僕もなるべく家事はやろうと思っているけど、妻が望むようにはできていない。それはわかっていますが」
数か月前までは、帰宅すると「お帰り」と笑顔を見せた妻が、最近まったく笑わなくなった。何か話していても、「それって私へのイヤミなの?」と攻撃的な発言をするようになった。
「イライラしているのはわかるんだけど、何に対してイライラしているのかがわからない。だからつい先日、聞いたんですよ。『なんかオレが怒らせるようなことをしたかな』って。そうしたら『別に』って。そういう返事はないでしょと思いましたね」
別に、と言われたことでユウタさんは気持ちが萎えたという。
「妻が僕に関心を失ったということかなと解釈しました」
■不機嫌は罪?
「たとえばタクシーなんかに乗ったとき運転手さんが妙に不機嫌だったりすることってあるでしょう? あれ、僕は罪だと思ってるんですよ。サービス業としてではなく、人として。自分の気持ちをフラットに保つのは大人としてのたしなみというかルールというか」
朝会って、おはようと言ったとき、相手が不機嫌だったら誰もが不快になる。夫婦といえども他者なのだから、やはり不機嫌なのはよろしくない。
「しかも、妻がいつどういうふうに妻が不機嫌になるのかわからないので対処のしようがないんです」
つい先日、ユウタさんは妻に聞いてみた。
「最近、なんか楽しいことあった? と。すると妻は、『あなたはあるみたいね』って。こういう会話自体がおかしいでしょ。僕が聞いてるんだよと言ったら、妻はふっとため息をついて、『何もないわよ』と。これで会話は終わりなんだけど、粘ってみたんです。『もうちょっと機嫌よくできないかな』と。遠慮気味に言ったんですよ。でも妻は『私が不機嫌に見えるなら、あなたにやましいことがあるからじゃない?』って。何か誤解しているなら話し合おうよと言ってみました。『何も誤解なんてしてないわよ。私の人生、これでいいのかと思っているだけ』と言われました」
もちろん、あまりの恐怖感にそれ以上は聞けなかったとユウタさんは苦笑した。