男性は意外と(失礼!)繊細でロマンティックだ。昔の女性が忘れられずに、今もひとりでいる人は少なくない。年齢を重ねるごとにそのロマンティシズムから抜けられなくなっているようにも見える。



 



 



■20代の大恋愛



 



「20代のとき年上の女性と大恋愛に落ちたんですよ」



 



照れたような情けないような表情でそう話してくれたカズノリさん(40歳)。30代前半くらいにしか見えない爽やか系の彼だが、今も心に重いものを引きずっている。



 



「21歳、大学生のころでした。バイト先の10歳年上の女性社員を好きになって。彼女と会いたい、彼女と話したい、彼女に認められたい。その一心でバイトに励みました。彼女も僕のことを信頼してくれていたと思います」



 



元気で明るくて褒め上手だった彼女が、あるときひどく顔色も悪く落ち込んでいることがあった。僕なんかでよければ話を聞きますよと声をかけ、仕事終わりに食事に行った。



 



「彼女、結婚を考えている人がいたんだけど、その彼が実は妻帯者だった、と。2年もつきあっていてわからなかったのが不思議ですが。涙を浮かべている彼女を見て、僕がなんとかしてあげたいと強烈に思って。送って行って彼女の部屋に上がり込み、自分の思いをぶつけました」



 



彼女も受け入れてくれた。その後は時間が合えば一緒に食事に行った。休みの日には映画を観たり公園を散歩したり。いい関係だと信じていた。



 



「半年ほどたったころ、僕が大学を出て就職したら結婚しよう、と彼女に言いました。彼女は『年齢差がありすぎる』と。年の差なんて関係ない、と僕は熱弁をふるいました」



 



彼女もきっとわかってくれたはず。彼はそう思っていた。



 



 



■就職したものの…



 



就職活動をしているころ、なかなか思うように会えない日が続いた。だが、彼はいつでも彼女を愛していたし、それは伝わっていると信じていた。



 



「やっと就職が決まったとき、彼女がお祝いしてくれました。就職して落ち着いたら結婚しようねと僕は念を押したんです」



 



就職、研修と彼は忙しい日々が続いた。夏間近、ようやく配属先も決まったとき、彼は半年後に結婚しようと彼女にまた告げた。



 



「すると彼女が、本気だったんだ、とひと言。どういう意味? と聞いたら、絶対本気じゃないと思っていた、と。そして1ヶ月後、僕は振られたんです。彼女はとにかく怖い、と。『あなたの将来を私がつぶすわけにはいかない』と。僕にとって彼女と一緒になることが将来の希望なんだと何度も言ったけど、現実が見えてないと言われて」



 



そこで粘れなかったのが、今も後悔していることだと彼は言った。彼がとまどっていると、彼女は自ら希望して出身地近くの支社に転勤していった。



 



「断られたショックで、どうしたらいいかわからなくなっていた。もっと彼女を信頼させるような言葉も、将来の展望も語ることができなかった。今になると10歳差くらいどうということはないのに」



 



それ以来、彼はたまにつきあう女性がいても長続きしない。彼女に抱いていたような強い恋愛感情を抱くこともなかった。



 



「情けないですよね。ずっと過去をひきずっている。彼女が今、どうしているのかを知るのも怖い。恋愛に関しては完全にあのときで止まっている状態です」



 



前を向いて、将来を考えなければと思いながら、すでに20年近くがたっている。


情報提供元: citrus
記事名:「 40歳独身男が20年前の「年上女性」を忘れられない理由