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最近の宝くじ市場で、売上げが年々下がっているということがしばしば話題に上がります。記事によると2012年から17年度で東北6県の宝くじによる収益は50億円も減っています。宝くじの売上の39.6%が自治体の収入になるので、売上げの低下は地方自治体にとっては死活問題といえます。
■売上減少の原因はやっぱり若者?
売上げが下がるということは、つまり購入層が減っていることが想定されます。私が携わっている宝くじ雑誌では、50代、60代、そして40代がコア層です。以下70代、80代と続きますが、ここ10年ほどの推移を見ていると、70代以上がグッと減ってしまった印象があり、また将来のコア層にあたる20代、30代も増えていない印象があます。さらに若者が宝くじを買わなくなった、ということをよく耳にするようになりました。私が知る限りでは、
・買っても当たらない
・買い方がよくわからない(スクラッチくじは、即効性があるため、比較的買われている)
という声を聞きます。
買っても当たらないというのは、裏を返せば買わなければ絶対に当たらないのが宝くじですから、そこに楽しさや夢を見出せないのであれば、仕方のないことだと思います。
買い方がよくわからない、に関しては改善の余地はあると思います。実際に、ネットでは「宝くじの買い方」などをレクチャーするサイトをいたるところで見ることができます。
またお年寄りが買い続けるのはなぜか?という質問もしばしば受けますが、やはり宝くじを1度でも買って、その楽しさを知った人が、長きに渡り「宝くじファン」という形で続けているように思えます。もちろん買い続けるには「いつかは1等」という大きな夢があります。ちなみに1000万円以上当たった人がどのくらいの期間買い続けて、大きく当たったかという集計によると、「宝くじ購入歴10年以上」が最も多く、かつ60歳以上(男性女性ともに)だそうです(「平成29年度宝くじ白書」より)。低迷している理由のひとつに、こうした長きに渡って宝くじを買い続けてきた「宝くじファン」の減少も挙げられると思います。
■メディアやSNSが最後の希望になるかも
さて、どうしたら若者が宝くじを買うようになるのか? この問題は、私が編集している宝くじ雑誌でも大きな課題です。現在のジャンボ宝くじでは、1等の賞金が非常に高額になっているため、その分、1等本数が少ないのが現状です。つまり、当たりにくいという印象が先立ちます。大きな夢を見る前段階で大きなハードルとなっている気がします。ただ、最近では、ジャンボ宝くじに加え、1等が1億円前後のジャンボミニや、1等が数千万円のジャンボプチといった商品も登場し、選択の幅は広がっています。しかし、先述したように、確実性のないものにお金を使いたくない若者にとっては、選択の幅があっても、なかなか手を出せないのかもしれません。
ただ、おもしろい試みも最近経験しています。それは「テレビの力」です。若者に人気の男性アイドルグループが、10万円を元手に宝くじにチャレンジする企画に参加させていただき、なんと100万円強の当せんを達成しました。その番組のすごいところは、宝くじを純粋に楽しむ、ということを表現しているところです。雑誌にも、番組を見て宝くじにチャレンジするようになったという読者が増えているのも確かです。若者に支持されるアイドルや、インフルエンサーが、宝くじの楽しさを伝えることで、ゆっくりではありますが、若い宝くじファンが増えていくかもしれません。加えて、2018年10月より、宝くじのインターネット発売が拡充されたことで、より購入しやすい環境もできつつあります。
そして、一番重要なのは、「当てること」が目的ではなく、「当てたあと」に当せん金を何に使うのか、ということをしっかりと考えることだと思います。そうすることで、大きな夢を持って宝くじを楽しむことができると思います。誰かは当たっているのが宝くじ。もしかしたら、次にその夢を叶えるのは、これを読んだあなたかもしれないのですから。