先月米国のロサンゼルス・オートショーで初公開された「マツダ3(日本名アクセラ)」の新型が話題になっている。なによりもデザインに多くの人が注目している。



 



マツダは2012年に発表した先代CX-5以降を「新世代商品群」と称し、それ以前から展開してきたスカイアクティブ技術と魂動(こどう)デザインをフル投入。おしなべて高い評価を受けてきた。



 



その系譜を受け継ぐ新型マツダ3について、ロサンゼルス・ショー会場で同社代表取締役社長兼CEOの丸本明氏は、「新型マツダ3からマツダの新世代商品が始まります」と表明した。つまりマツダの新世代商品がセカンドステージに入り、トップバッターとして選ばれたのが新型マツダ3というわけだ。



 





筆者はロサンゼルスに行ったわけではないので、写真で実車を確認しただけだが、長いボンネット、高めのベルトライン、小さなキャビン、スロープしたリアなどが目立った。それ以上に感心したのは、キャラクターラインをほとんど使っていないこと。つまり線ではなく面で形を表現していることに驚いた。



 



新型マツダ3の原型は、昨年の東京モーターショーで、「魁(カイ) コンセプト」という名前で披露されている。線ではなく面で魅せる造形は、2015年の東京モーターショーに出展したコンセプトカー「RXビジョン」あたりから提示するようになり、昨年のモーターショーで魁コンセプトとともに公開された「ビジョン・クーペ」で、より明確にアピールしていた。



 





マツダではこれらを深化した「魂動デザイン」と呼んでいる。ワンモーションのシンプルなラインでフォルムを描きつつ、繊細な造形による光の移ろいやリフレクション(反射)の動きによって、これまで以上に力強く、味わい深い生命感を作り込んだとアナウンスしていた。でもそれが、ほぼそのまま市販型になるとは思わなかった。



 



先月、ドイツのBMWで長年デザイナーとして活躍する永島譲二氏が、スポーツカーの新型「Z4」と「8シリーズ」、日本でもまもなく発表予定の新型「3シリーズ」についてプレゼンテーションしたときのこと。三次元の面を多用したスポーツカー2車種に対し、3シリーズは線が目立つことに気づいて質問すると、実用車はスポーツカーよりも車体寸法の制約が大きいことを理由に挙げていた。



 





3シリーズについては日本の車庫のサイズも考慮して寸法を決めている一方、実用車なので室内空間を広くとる必要もあり、抑揚の強い面は使えない。そこで線を用いることでBMWらしいスポーティさを表現しているという。さらに燃費性能を良くしてほしいという要求もあり、「3シリーズのデザインは難しい」と本音を漏らすほどだった。



 



マツダ3もまた実用車である。2003年のデビュー以来、15年間の累計販売台数は600万台を超えるという。3シリーズセダンは40年間で1000万台だから、はるかにハイペースである。そんな車種の造形がBMWのスポーツカーのような、躍動的な面によってデザインされている。だから凄いと思ったのだ。



 





新型マツダ3には旧型同様、ハッチバックとセダンがあり、ここまで取り上げてきたのはハッチバック。セダンはキャラクターラインを用いた造形になっており、落ち着きが伝わってくる。それでも実用車のバリエーションのひとつに、ここまで躍動感あふれる造形を盛り込んだのだから、驚きを禁じ得ない。



 



新型マツダ3はメカニズムも注目だ。新世代車両構造技術「スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャー」や、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンのいいとこ取りと言われる「スカイアクティブX」など、革新的な内容を持つ。



 



その新型、日本でもマツダ3という車名で販売するのではないかという噂もある。デザインもメカニズムもこれまでのアクセラとは一線を画す存在なのだから、イメージ一新を図るのは良いかもしれない。



 





新型マツダ3は来年まず北米で発売し、その後日本などでも販売を始めていくという。車名を含めてどうなのか。2019年の注目の1台になることは間違いない。


情報提供元: citrus
記事名:「 2019年注目の一台! 新型「マツダ3」が「BMW3シリーズ」よりもスゴい理由